特殊ミシン | ハンドステッチミシン

ハンドステッチミシンの新しい投稿 ハンドステッチミシンをお譲りいたします を2023/2/11日にしました。良かったら見てください。

今日は特殊ミシンをひとつ紹介します。ハンドステッチミシンです。このミシンは通常平ミシンのように上糸と下糸があるタイプではなく、一本の糸で手縫いと同じように縫うミシンで、ハンドステッチは紳士服や、婦人服のジャケットやコート、またはカジュアルなシャツ等、最近では様々なアイテムに使われるようになりました。

ミシンのタイプでいうと二種類あり、代表的なものはAMF社のもので、それをまるコピーしたOEM機をJUKIが販売しているものもあります。さらにイタリア製のコンプレット社が作っているタイプがあり、それをコピーした中国製のものがあります。さらにもうひとつ、このタイプの中国製のミシンに重要な部分を日本製の精度の高いパーツに組み替えてあるものがあります。

今回買ったのは最後に書いた一部のパーツを精度の高い日本製に替えたタイプのミシンでした。当社では一年のなかで表生地のついたリバーシブルやライナーのコートは、たくさんは作りません。AMFタイプのJUKIが販売しているハンドステッチミシンは新品で600万くらいするらしく、費用対効果として考えるとまったくあわず、コンプレットタイプで探していました。

ネットで検索していたら、福島県郡山市のミシンショップおかだというところで、最新型のコンピュータ制御タイプのミシンがみつかり、価格もJUKIのタイプよりは遥かに安く、性能については使ったことがないので不安もありましたが、ミシン屋さんの情熱と具体的な説明に負けて買うことにしました。

AMFタイプは針を上下で受け渡しをするように作られています。コンプレット社タイプのものは針穴が鍵状になっていて、上下する度に針穴が開いたり閉じたりしてステッチを縫います。AMF、コンプレット、それぞれ長所短所があります。AMFは針の太さを替えるのに、とても手間がかかるそうです。しかし、針穴が鍵式になっていないため生地を引っ掛けるようなことはないとも言われています。

AMFを持っているところは、価格の安いコンプレット社タイプのものをあれは、駄目だとかいう記事をネットで見たり実際に人から聞いたりもしました。使ってみた私の感想を言います。糸の太さによる針の太さを変更するパーツの取り替えも、そう難しくもなく、ステッチの一回で縫える長さも60cm(AMFは90cmくらい)くらいといわれていましたが、縫い方を工夫すれば90cmは普通に縫うこともできました。

そして、心配していた糸裂けや糸切れ、目飛びもゼロではありませんが、工夫次第では極力減らすこともできます。さらに、一番心配していた鍵穴のため起こりやすい生地を針の上下運動で傷つけてしまう現象などは、まったく発生しませんでした。私たちが使う表生地のシルクはウールやカシミヤ等に比べ、とても繊細で糸引きが出やすい素材です。しかし、まったく問題はありませんでした。

以前、ハンドステッチをやっていただいていた工場では糸のテンションが強過ぎて縫い縮みがあり、もっと糸のテンションを緩くすることはできませんか?と要望を出したことがありますが、あっさり、これが限界ですと言われ、こんなものなのかとがっかりしたことがあり、今回のミシンでも糸の強さがどうなるのか心配をしておりました。

しかし、結果は、アイロンが必要ないほどの仕上がりになり驚いています。要は、ミシンを使いこなす知識とやる気があれば、大半の問題は解決できるのだと納得した次第です。

このミシンはミシンショップおかだの岡田社長と輸入元の小山ミシン商会・渡辺さんに設置から操作説明までしっかりとやっていただきました。お二人のミシンに対する情熱と知識は素晴らしく半日かけて丁重に説明をして頂きました。そのため買う前の不安は、今はなにもありません。このお二人に感謝申し上げます。

長澤

にほんブログ村 ファッションブログ オーダーメードへ
ファッションブログランキング