毛皮の皮の劣化とクリーニング その2 脂を抜く方法

こんにちは。今日は前回の続きです。

まず、業者さんがやる方法を私が知る範囲で簡単に説明します。

以前はフロン系のものを使っていたと記憶します。しかし環境問題があり当然使用不可になりました。
現在はパーク(パークロロエチレン)というものを使用していると聞いています。一般的なドライクリーニングと同じだとも聞きます。ドライクリーニングでは様々な(石油系やフッ素系)ものが使われているらしいですが、ドライの溶剤が気化したものを再度液体に戻す装置が付いている、一台何千万もする装置がいるらしいです。さらに、クリーニング屋さんもそうかもしれませんが、届け出が必要であったりと簡単には使えません。

染色してあるものはクロム鞣しという処理がしてあり、水に漬け込んでも劣化しないということが解っているので、自分で洗濯機で専用の脱脂材を鞣し屋さんからいただき洗ったことがありますが、やはり、ドライ系溶剤のようには脂が落ちません。というか、ほとんど落ちないと言った方がいいくらいに変化はありません。

パークロロエチレンで専用の機械でドライクリーニングをした場合、私は何度も自分の作った裏地が付く前のコートや原皮を洗ってもらったことがありますが、時々、毛に脂が回ってべた付くような仕上がりになることもありました。皮から染み出た脂がパークに溶け出し、その僅かな脂が毛についてしまうことが原因だと想像できますが、さすがに業者さんは気が付きません。時間が短すぎるのか、溶剤が少ないせいかは分かりませんが、実際に何度もありました。気になるものは再度やり直しをしてもらったりと、当時は業者さんに、ずいぶんとわがままを言った記憶があります。私達の髪の毛でも皮脂が付いていないサラサラの状態と少しべた付いたときがあるように毛皮も同じです。それを感じ取れるかどうかは、普段から毛の良い状態を知っているかどうかにもよりますが、微妙な違いでもあり大きな違いでもあるのです。

以前、鞣し屋さんとも話したことがありますが、ドライをすることでほとんど劣化しないということで私達の意見は一致しました。

次回は私のところでやる毛皮クリーニングについて書いてみます。  長澤祐一