ミンクは毛が短いほうが価値があるという誤解

ミンクは毛が短いほうが価値があるという誤解。この記事は当社オンラインショップの昨日のニュースに投稿したものですが、結構知らないひとが多いので、ここにも載せてみます。画像はここには載せませんので、是非ショップのニュースで見てください。

一般的にいうとミンクは毛が短いほうが価値があると言われています。ただ、この短いという意味には、いくつか誤解があります。いわゆるショートナップといわれるアメリカンミンクのようなタイプのミンクの本当の意味は毛が単純に短いということではありません。ショートナップの本来の意味は綿毛に対して刺し毛の飛び出す長さが、とても短いという意味です。一般的にサガミンクは綿毛から飛び出す刺し毛の長さが長いとされていますが、最近ではヨーロッパのミンクもコペンハーゲンファーのようにアメリカンタイプのように刺し毛が短いものが多くなりつつあります。
しかし、フェンディのようにヨーロッパ系のブランドの多くはアメリカンタイプの刺し毛の短いタイプではなくサガミンクのようにすごく長い毛のミンクを好んで使っています。アメリカンタイプのシルキーといわれるものよりも毛が長く、より毛皮らしいものを好んで使います。一度フェンディのショップにでも行って見てみると、それが良く分かります。今回のこのウィスパーピンクのボレロも毛が長いタイプを使っています。写真でも解るように拡大して撮ってある写真がありますので前回アップしたダスクブルーボレロと比べてみてください。毛皮を少し知ったひとはショートナップをことさら良いと思い込んでいますが、実はフェンディはミンクについては真逆のスタンスを取っています。フェンディの発症の地がイタリアであるためにヨーロッパ系のミンクを好んで使うのかは分かりませんが、そういう事実があるということも認識したうえでショートナップについて話す必要があります。

ここまでがニュースで書いたことですが、少し付け加えようと思います。ショートナップの意味は上で書きましたが、このブログでも以前書いています。それ以外で書いてないものというと、綿毛と刺し毛も含めた全体の毛の長さです。ショートナップという基準でいえば、やはりアメリカンミンクの最高ランクのものには敵いません。特にブラックグラマ系のミンクのほんとうに綺麗なものは刺し毛も綿毛もほとんど同じくらいの長さになります。このクラスは一般のひとは、おそらくですがほとんど見ることはないと思います。

デンマークのミンクも素晴らしいのですが、さすがにこの最高ランクのブラックグラマミンクには敵いません。私が、敢えてデンマークのミンクとアメリカのミンクのわずかな違いを言うとすれば、他の業者のひとは感じないと思いますが、綿毛が長いと感じます。その分、触り心地は、ふっくらとした柔らかなボリューム感があり刺し毛はアメリカほど短くはないのですが、触り心地はアメリカと同じように心地よいのです。まあ、これは実際に業者の方が触ってみたくらいではわからないくらいの差ですが。私は実際に色を合わせたり、お尻同士や、腹同士を縫い合わせたりしますので、必ず、綿毛の長さをミリ単位で測ります。その結果はミンクの個体差はあるとはいえ、相対的には上に記載したようにデンマークのミンクのほうが少しだけ綿毛が長いと感じます。

フェンディも長い刺し毛の長いタイプだけを使っているというわけではありません。時々ショートナップのものを使っているときもありますが、相対的にいうと長い毛足のあるものを多くつかっているような気がします。短い毛のミンクも時々見受けられますが、アメリカンミンクのような超ショートナップのものは、私は見たことがないのです。某百貨店時代に毛皮サロンのそばにフェンディがありましたので、よく見に行ったことがあり、店長から顔を覚えられてしまい嫌味をいわれたことがあります。💦 フェンディの商品については、また別の機会に書いてみます。

毛皮の中でも、オスとメスの区別やサイズの細かい区別、さらには色の種類、毛の長さ、、、というように、ここまで細かく区別されている毛皮素材はとても珍しく、だからこそ細かい知識が必要になるのです。

今日はこれくらいでやめておきます。

長澤祐一

 

ブラックグラマミンクのショートナップ

 

ミンク2枚をジョイントするテクニック

新作の作りで少しブログの更新が滞りました。また今日から少しずつ書いていこうと思います。

せっかく新作を作ってきたので、少し新作で使ったテクニックを書いてみます。今日はミンクを2枚ジョイントしてからレットアウトした写真を紹介して、それについて書いてみます。

ミンク2枚をジョイントするテクニック

Mink_joint_1

写真1は仕上がったコートです。裾にカーブでミンクが三列はめ込んでありますね。使ったのは日本のミンクです。多分50本くらい買ったなかから6本選んでます。日本のミンクの生産は詳しくは知りませんが、一社しかないようで、その生産量もとても少なく、4月くらいに東京オークションというのがあり、そこで落としてもらったものです。 (さらに…)

毛皮のプロの落とし穴(ミンクの毛の長さ)

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上の写真はパールミンクです。一般的にミンクはアメリカもののショートナップが良い、または高級・・とされています。最近ではデンマークのものもショートナップタイプが増えてきました。私たちもずっとそう思いながらミンクを扱ってきていました。

しかし、それは毛皮のプロとして仕事をしてきている私の大きな間違いだと気づかされつつあります。

薄い色のミンクでは、ヨーロッパ系の刺し毛が長いタイプのミンクも横段などに使うと、とてもボリューム感がでたり、毛先が長い分、毛皮らしさや優しさが、よく表現されることに気づかされます。 (さらに…)

ブラックグラマミンクのショートナップ

ミンクでもっとも価値があると言われているアメリカンミンクのなかで最高峰と言えば一般名称でブラックグラマミンクがあります。

これはダークミンクのなかで、さらに選びこまれたもので、その特徴は、ボリュームがあること、毛が柔らかく弾力があること、ダークのなかでも、さらに濃いこと、ショートナップであること、等が思い浮かびます。

一般的に誤解されがちなのが、ショートナップという意味です。文字本来の意味からいくと短い毛というのが正しいのでしょうが、本来の意味は違います。

アメリカンミンクの特徴といえるショートナップの本来の意味は、綿毛と刺し毛の差が少ないということです。 (さらに…)