毛皮を軽くする

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今日のテーマは「毛皮を軽くする」です。軽くする方法は最近の傾向は、毛皮の分量を減らし、オーガンジーのような軽い素材と組み合わせたりする方法が主流ですね。でも、これは、私にとっては、なんとなく逃げているようにしか思えずにいます。

私がいつも書いている軽さは、このことではなく、毛皮そのものを軽くする方法です。毛皮そのものを軽くできれば、他社がやっている軽い素材との組み合わせをすれば、もっと軽くなります。

そんななかで今日の写真はセーブルの皮を手作業で鋤いたものです。道具は、職人さんならわかると思いますので載せません。 (さらに…)

毛皮の染色後の毛癖取りと仕上げ

毛皮の染色後の毛癖取りと仕上げ

今日は毛皮が染色されたときに、一般的にどうなるのか?を書いてみます。毛皮の染色は、わたしは専門ではないので、いつもの自分のやったことのように100%の自信を持って書く事はできませんので、ご了承ください。

毛皮の染色の染料は、聞いたところによると特に毛皮用ということではないらしいのです。染色には酸性染料と酸化染料があるらしく、これは髪の毛も同じですね。このことについては、また次回お話することにして、今回は染色後の毛がどうなるか? そして、それをどうやって仕上げるかを書いてみます。

毛皮の染色後は、60~70度くらいのお湯のなかで染めるらしいので、熱がかかった状態で、おそらく、その毛皮を絞り、乾燥させるために、毛が上の写真のようにギラギラうねった状態になってしまいます。 (さらに…)

毛皮の水張りで使う道具

今日は一般の方には、まったく面白くない道具のお話です。

毛皮は生地のようにアイロンをかけたりして表面を平にすることもありますが、基本的には少量の水を使い、皮の表面に湿らせ、皮を伸ばしながら求める形に皮を張って平らな状態にして線を引いたりカットしたりして作業をします。

職人さんによって、その仕事の呼び名は様々なようです。水で湿らすことを味をする、、、ともいいますね。私は、職人さんに教わった経験がないので、あまり、通常、職人さんが使う言葉を知りませんので、ここではその呼び名は控えます。 (さらに…)

ミシン針の針先を研ぐ(その2)

2014年7月24日に、このタイトル「ミシン針の針先を研ぐ」で書いて、こんな記事誰も読まれないだろうと思っていたのですが、以外に検索から入ってくることが多く、今日は追加で毛皮用の針について書く事にしました。

一般的には、商品として完成している針を研ぐのは??と疑問に思うひとが多いと思います。しかし、検索ではよくこのタイトルに近い語句で入って来ていただいてます。

毛皮針の針先研ぎ方とその他、気になること

毛皮の針で、三角針という、先が三角に削られている針があります。毛皮の皮が硬い場合には、よく刺さって良い針です。しかし、この針で生地を刺すと、場合によっては生地を傷めます。それと、三角に削ってあるぶん、少しだけザラつきがあり、針先の三角部分は少しだけ、滑りがわるいことがあります。このザラつきが皮を切って刺さっていく大事な部分でもあり、しかし、この三角針の弱点でもあるのです。他のひとは違う考えをもつかもしれませんね。あくまでわたくし個人の意見です。 (さらに…)

毛皮技術の伝承 | 下積みは必要か?

一昨日、カンブリア宮殿という民放の番組で「東京すしアカデミー」という、すし職人になるための学校の放送を観ました。

寿司職人になるために下働きで、毎日何年も皿洗いをさせられ・・・、それがあたりまえになってしまっている。しかし、ほんとうに職人になるのに、そんなに毎日毎日皿洗いが必要なのだろうか?もっと効率よく技術を伝達する、または吸収する方法がないだろうか? そんな短期間で、すし職人になるための技術を教えるという内容でした。

私自身の35年の毛皮業界での生業を振り返ってみて、この「東京すしアカデミー」の「効率よく技術を伝達する、または吸収する方法を模索し、短期間ですし職人になるための技術を教える」の人材育成コンセプトに共鳴しました。 (さらに…)

毛皮用ミシンのテクニック 

2015年5月2日付けの当ブログ記事“フォックス (FOX) のボリューム感を減らすテクニック”の最後に書いた『パショーネコンセプトのなかに”あたりまえのことをあたりまえにこなす とあります。口でテクニックを語るひとはたくさんいますが、実際に正確に縫える人はひと握りだということも最後に付け加えておきたいところです』の箇所が少し誤解を招きそうな気がしましたので、”毛皮用ミシンのテクニック”の観点から補足を書いてみようと思います。

毛皮用ミシンのテクニック

毛皮用のミシンのテクニックというと、スピードとかを競うような部分もあり早く縫えるひとが優秀と、とられがちなところがありますが、実際にはスピードはさほど問題ではないと私は思います。 (さらに…)

フォックス (FOX) のボリューム感を減らすテクニック

今日は久しぶりに毛皮のテクニック的なことを書いてみます。以前、当ブログのシルバーFOXマフラー(Silver Fox) でも書きましたが、わたしが書いた記事ではないのでテクニック的なことがあまり書かれておりません。今回、少し書いてみようと思います。

フォックスのボリューム感

フォックスは見たとおり、毛も長く毛皮のなかでも、最もボリューム感のある素材です。そのため、エリなどはフルスキンで使う場合が多いですが、コート全体になると、ボリュームが出すぎてしまい、以外に綺麗に見えないことがあります。

そのボリューム感を減らすテクニックはたくさんあり、例えば直線で縦にレザーを挟んだり、横にレザーを挟んだり、Vにカットしてレザーをはさみこんだりしてボリューム感を落とすテクニックが一般的ですね。商品でもそのようなものは、よく見かけます。 (さらに…)

ロシアンブロードテールと島精機PGM(CAD)

ロシアンブロードテールという素材を接ぎ合せる作業について書いてみます。まずは下の写真を見て下さい。

1 パターン

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2 ロシブロの縫い

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3 袖の縫い上がり

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4 袖の仕上がり

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通称ロシブロと言われるこのロシアンブロードテール素材は、附に特徴があります。その附を利用して、原皮を接いでいくのですが、一般的には、手縫いの一着分になったプレートとして売られています。 (さらに…)

毛皮の褪色・変色(赤の褪色の証し)

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今日は、何回か書いている毛皮の褪色について、もうひとつ書いてみます。以前から褪色は赤から始まると書いてありますが、今回の写真がそのいい例ですね。写真は一番褪色しやすい肩の部分です。

コートの色はイエローを少しくすませた色です。写真を見てもらえばわかりますが、ほとんど変化がありません。

その理由はイエローの構成色に赤がないからです。当社アトリエのHPににもグリーンの刺し毛ミンクのマントの写真がありますが、このマントもほとんど褪色しませんでした。やはりグリーンはイエローとブルーが構成色なので、赤が存在しなく、変色はしません。 (さらに…)

レットアウトのシミュレーション(島精機のCAD(PGM)の使いやすさ)

本日は弊社アトリエで島精機のCADがどう生かされているかをご説明したいと思います。

島精機のアパレルCADは通常のアパレルCADと違い、レイヤー形式になっていません。大きなキャンパスに、自由にパーツ化したパターンを置き、そしてパターン内部線やそれ以外の線も自由に書くことができます。

自由にパーツ化するというのが意外に他のレイヤー形式のCADではできません。出来ないというよりも、大変な労力がいるということになるのでしょうか。通常は透明レイヤーに線を引き、重ねてみることによって様々な作業をしていますが、島精機のCADはすべてがパーツ化してあります。

仮に100個の小さなパーツを使って”自由に”作業をすると、レイヤー形式のCADだと、多くのレイヤーが必要になりますが、島精機のCADはパーツが100個大きなキャンバスにあるということになり、都度、アクティブにするためにレイヤーを指定する必要もありません。
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