毛皮の基本的な技術(その2)

お尻合わせの縫い

毛皮の縫いで難しいと思われるのが、お尻合わせの縫いであることは、少しできる技術者ならわかりますし、仮にわからないひとがいるとすれば、難しい、綺麗に縫わなければいけないという意識というかレベルにない人であろうと思われます。

お尻同士の毛が何故縫いにくいのかは、毛が頭からお尻に向かって生えていることで、縫い合わせるときに、毛が向かいあい、毛をなかに入れて縫うことが難しくなります。毛が硬くなれば余計に入りづらいし、刈毛のように短いのも、とても毛を皮から出ないように入れて縫うという基本的な毛皮の縫いが、しにくくなるからです。

もっとも大事なBCの縫い

コートや小物のなかでも、もっとも大事な部分にBC(バックセンター)という部分があります。例えば、ヘチマカラーであれば首の後にくるカラーの中心、ストールもそうですね。

コートであれば横段仕様の場合には背中の中心にお尻同士を縫い合わせた部分がきますね。みな、どれもとても目立つ位置にきます。私が見る中ではお尻合わせがまともに縫えているところは、まず皆無です。

厳しい言い方ですが、ひどいレベルはたくさんあり、まあまあかな??と思えるレベルがほんとうにたまにあります。国内生産のものには逆に少ないという現実もあり、前回も書きましたが国内の職人さんのレベルがとても低いことを実感しています。

大事な原料を使い、それなりに高い加工料を払っても、この程度かという現実は、やはり厳しいものがあります。

これは、リフォームでお預かりした小物を有機溶剤で洗いオガで匂いをとった状態のものです。 (さらに…)