ブルーアイリスミンクのオーダーメイド(作りの部分)

今回は作りの部分にも少し触れていきましょう。今回の問題点は、メスといえども、オスと同じくらいになると、毛質はメスの柔らかさを持っていても、皮はさすがに2~3サイズと比べると厚くなり、そのまま仕上げたのではオスの0サイズを使ったような重い仕上がりになってしまいます。

当然、私が通常やる再なめしということも考えたのですが、再なめしによって、ブルーアイリスにわずかにかけたブルーイングという青味をつけた色がなめしによって必ず落ちてしまい、しかも、均一に落ちれば再度ブルーインをすればいいのですが、落ち方が均一じゃない場合は、せっかくマッチングして選びこんだ材料の色がバラバラになりかねません。そのために再なめしは諦めることにしました。

しかし、このままでは必ず重い仕上がりになってしまいます。もともと今回のミンクは私が使うと言うことで通常よりもリスクをおかしてもらって薄くすいてあるのですが、それでも、さらに薄くしなければなりません。そのために、通常であれば自社で作った機械を使い皮を鋤きなおすのですが、今回は機械で鋤なおすことで毛根を痛めるリスクを避けて、一枚ずつ、手で鋤くことを考えました。

枚数が多いので気の遠くなるような作業ですが、毛皮がどんなに綺麗に仕上がっても重ければ、昔のニューヨークの製品のように思い仕上がりになります。それではこのアトリエで作る意味はありません。そのため、今回は水で皮を一度軽く濡らし、少し時間をおいて、裏面のタンパク質が少し膨らんできた状態で道具を使って皮を鋤いていきます。なめし屋さんのように専門の道具はありませんので独自で考えた道具を使って鋤きます。

通常、なめし屋さんではコーンスターチを毛皮に塗って、皮のタンパク質が発酵して、厚く膨らんだところを鋤くのですが、コーンスターチを落とすようなドライクリーニング専門の機械はないので、水でわずかに膨らんだところを鋤いていきました。この方法が良いのは、厚い部分を確実に薄くでき、毛根すれすれまで仕上がりを見ながら鋤くことができます。皮の裏面を何度もこすっていると、身体からでる垢のようにボロボロとタンパク質が落ちてきます。

長澤

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