アパレル3DCADの二つの似ているようで全く違う要素

今日もアパレル3DCADのことです。当初、私もアパレル3DCADの用途に対して、整理出来ていませんでした。ソフトを無償で使わせて頂いたりするなかで、こんなことをしたいんじゃないんだよな~と思うことが多かったのです。15年くらい前のことでした。

しかし、ソフト開発は、どちらかというと私の欲しいと思う方には進みませんでした。

すべてを知る訳ではないですが、デザイナーが欲しがる3DCADとパタンナーが欲しがるものの二つがあるように見えます。

企画等で使われる、モデルが着たような、よりリアルなものと、私たちが普段使うアミコさんの人体のようなものに、様々なタイプのシーチングを着せ付けて寸法やバランスを普段使っている人体に仮想で着せてみて確認をすることをメインの機能として作られているものとがあるように感じます。

一般的には、先に書いたデザイナーさんや企画会議に使うような、よりリアルなものが、いわゆるアパレル3Dと言われているように感じます。

私がソフトの試用をさせて頂いたりしたものは、そういうものが多かったのです。そんなこともあり、なかなかしっくりと来ませんでした。

もちろん、今、世にあるトップクラスのアパレル3Dソフトはすごいですね。毛皮素材も表現できるようなものもあります。

ただ、自分が欲しいものではありませんでした。理由は、毛皮素材に置き換える3Dソフトのようなものは私の頭の中にありますから。

私の欲しかったタイプの3Dソフトは、私の弱点を補い、生産効率を上げるためのソフトでした。トワルチェックに特化した3Dソフトだったのです。

そのことの違いをはっきり自分のなかで自覚したのは東レACSさんの3Dソフトとの出会いからでした。

よりリアルな3Dに一般的には目が行きがちです。しかし、簡単に個人レベルで導入できるものではありません。その点東レACSさんのものは、私のような個人レベルが大昔に大きな投資をした島さんのようなものではなく、とても導入しやすいソフトです。

今のCADや3DCGが以前の半分以下になったといっても、個人レベルで導入するには高額です。そう考えると、東レさんのものは私にとっては一度使ってみようと思って導入する決断が簡単にできる仕組みでした。

一般的には華やかで、よりリアルな3Dに目が行きがちです。デザイナーや企画側にとっては大事なツールです。

ただ、なかなかパタンナーが単純にトワルチェックがしたい、それが出来れば十分なんだけどな~と思うソフトはありませんでした。4年前まで出会うことがなかったのです。

私も、一時はリアルで綺麗な3Dに惹かれました。ただ、現実的にこれを今現在、導入して、3Dを本格的に勉強して自分にそこまでメリットがあるだろうか?そう考えるとなかなか他社さんのものには興味はあっても本当に欲しいものとは大きく違っていたのです。

ここ三回続けて東レACSさんの3Dソフトについて書いてきました。様々な私の知識不足からの誤解もあるかもしれません。あくまで私の目線から出たものであり、私の個人的な意見です。

パターンという仕事にかけている人から見れば、自身のパターン技術を磨かずに楽をしようとしているように見えますが、仮に同じ結果か、または、自身の力を上回る結果が短時間で得られるのであれば、このソフトを使おうと思った次第です。

このホームページのモデリストページにある、当社の哲学の一部を下記に記載しますが、この部分も東レACSさんの考え方とも一致していました。大昔に考えた言葉ですが、ここにも同じような考えかたをされているところがあったんだと驚いています。

大半が手仕事の毛皮製品作りは

作業そのものに時間をとられがちです

デジタル化・機械化することにより

正確さとスピードが得られ

私たちの感性を生かす

大切な時間が生まれました

一般的には効率は儲けに直結すると考えるところですが、私は、効率があがって生まれた、その大切な時間をさらに品質を上げるために他の作業時間に充てようと考え、今は廃棄しましたがパフ3560という大型機械や一般的な毛皮加工にはない機械設備、さらにはCAD・CGソフト、そして東レACSさんの3Dソフトも含め導入してきました。

いろんな考え方がありますが、この3Dソフトは当社の哲学を表現する意味でも必要なツールです。

どこかでトワルチェックに時間をとられ苦労しているひとがいるかもしれません。そんなひとに少しでも参考になればと思います。   長澤