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商品の撮影という局面とプロの仕事?

最近、商品の撮影という局面があり、なかなか思うように行きませんでした。

カメラマンは撮影のプロであるわけですが、しかし、仕上がってきたファーの写真は正直、期待に添えるものではありませんでした。もちろん、カメラマンは自分はプロなのだから、、、という自信もあるのでしょう。または、たくさんある仕事のなかの一つなのかもしれません。

しかし、ファーに関しては知識がまるで無いわけで、そんなプロが撮った写真が、人を引き付けるわけもなく、期待通りの仕上がりでした。もちろん残念ながら皮肉です。こちらも、もちろん予測はできていたので、立ち会いを申し入れましたが、そこは、プロの仕事場に素人はいらない、、という発想なのでしょうね。

または、組織上の問題もあるのかもしれませんので、そこはハイ分かりましたと言うしかない訳で、自分なら、最大の魅力を引き出すためにわからないことは少しでも聞こうとしますが。

たかだかショールの着せ方、コートのエリの開け方、こんなことさえできず、それはアシスタントが悪いのかもしれませんが、カメラマンに感性があれば、そうじゃない、、と注文をつけることもできるはずです。やる気がないのか、それが実力なのかはわかりませんが辛い仕上がりでした。

プロでありながらプロじゃない

まあ、プロでありながらプロじゃないなどということは、よくあることで毛皮の世界にもレベルの差は大きくあり、自分もどこまで行けばレベルが高いと言えるのかは自分ではわからず毎日試行錯誤していますが、ときどき上で書いたようなことを目にすると、おい!何勘違いているんだ!言いたくなったり、または、あ~やっぱり組織の問題なんだとがっかりしたりすることがあります。

写真を撮ることはプロでも、ファーのどれほど魅力を知ってる?どれほどのデザインを知り、その着こなし方をどれほど知っているというのですか?と言いたくなる訳で、こういう人たちがいかに多く、その大半が謙虚さを忘れ自分が何でもできると思い込んでしまっているか、組織の問題ということで最高の仕事をしようとするところから逃げてしまっているように思えます。

もちろん、カメラマンに関わらず大きな組織には、このようなケースは、たくさんある訳で、ときどき疑問に思うことがたまにあります。

別にものをつくることだけのことではありませんね。いろんなところにプロがいて、プロと勘違いして高飛車に仕事をしているひとたちも多いのが現実です。もちろん、少しフォローしますが、優秀だなあと思える方や、下からの依頼をしっかりと受け止め適切に判断・処理する方も多くいることも事実です。

プロという言い方はおかしいのかもしれませんが、お客様にもマナーが必要な訳で、お金をだせば何でもできると勘違いしているケースも極まれにあります。

昔、半年間だけ起業家を対象にしたビジネススクールで学んだことがあり、そのときに、プロサイドの椎名社長という方が講師でいらっしゃり、お客様にも品質があって、商品買ってお金払わないなんて論外な訳であって、みなさんが会社をやるのであれば、顧客の品質をしっかりと管理してくださいと言っていたのを記憶しています。

もちろん、このブログに入って来てくれて、こんな難しいブログを最後まで読んでくださる人が質が悪いお客様なんてことはないのです。誤解のないようお願いいたします。
要は、買う側にもマナーは必要であり、買う側も販売する側もそれぞれにインフォメーションを互いに、しっかりと出し合って、購入・販売を正しく成立させる役割があるのです。

誤解を受けるといけませんので、これ以上は書きませんが、プロというくくりで言えば、お客様にも、少し通じる部分があるかなと思い書くつもりじゃないことまで書いてしまいました。大半は素敵なお客様ばかりで、学ぶことがとても多いのが本当のところです。

自分のことで言えば、もう少し時間がコントロールできればいいのですが、時間に余裕があればあるだけ使ってしまうというのが、なんとかしたいところです。

小さなアイデアを大切にすることがプロの領域に近づく道

今日は毛皮の写真ではないのですが、私が作業以外でも小さな工夫をしているなかの一つをご紹介して終わりにします。

これは、写真をみてもらうとわかりますが、電源タイマーです。アトリエではお客様の大切なコートや商品、材料を保管していますが、万が一火事になれば大変なことになる訳で、そんなときのために工夫しているのがこのタイマーです。

アイロン、その他の熱の発生する機材やモーター等の機械はすべて、切りタイマーにしています。使う時には、あらかじめこのアイロンを作業で何時間使うかを想定して2時間なら2時間半くらいで切れるようにセットして使います。こうすることで、仮に、別の作業に行ってしまい、うっかりの消し忘れや、退社時の消し忘れにも対応でき、火災のリスクを極力減らしています。

もちろん、タイマーがついてるからといって元の電源を切らないということはありません。地震とか災害で勝手にタイマーが回ってしまったら大変なことになりますから。さらに要らないコンセントは一緒に写っているコンセントを埋めるプラスチックのパーツを使って塞ぎます。作業場はどうしてもカットされた毛や細かい生地の裁断くずがあり、安全とは言えませんから。

当たり前のことですが、意外にやられていない工房は多いのではないでしょうか。作業のなかでの工夫は、もちろんたくさんあるのですが、それ以外でもやれることはたくさんあり、実際にやるかやらないか、それだけのことです。

そんなことの延長線上にプロ意識があると自分は信じて全ての仕事をしています。そして、小さなアイデアを大切にすることがプロの領域に近づく道であればいいなとも思います。

長澤祐一

 

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毛皮の作る時に注意しないといけないこと

今日は毛皮の作る時に注意しないといけないことを書いてみます。毛皮は裏側で作業します。皮面で線を引いたりカットして縫ったりです。でも、肝心なのは表側の毛なのです。それで、当然、私は何度も毛の方を確認します。カットして縫ったら毛の確認は絶対に必要です。

表の毛の色、毛の長さ、毛の質感、とにかく綺麗に馴染んでいるか、自然に見えるかを確認する作業をします。縫いっぱなしだと、毛が自然に見えないのでスチームをかけながらブラシをかけて何度も確認します。

ここで、少し注意しなければならない素材があります。繊細な素材、例えばセーブルやチンチラなどは、ブラシを強くかけると毛が切れてしまうことがあるのです。仕上がるまで何度も確認するためにブラシをかけますが、かけ過ぎると、毛のボリューム感がいつの間にかなくなってしまうことがあります。

ブラシに切れた毛や抜けた毛がつきますので、ブラシをすればするほど毛が少なくなるわけです。もちろん、ひとに分かるほどじゃないのですが、その素材の元の凄さを知っていると、時々、あっ、やってしまったと後悔をします。人にはわからないレベルでも自分ではわかるのです。

そのときのショックはものすごいものがあります。素材は元には戻りませんから。現在の状態を見たい、見たいと何度も確認するためにブラシを強くかけ過ぎると毛のボリュームがなくなり、気がついたときには、もう元に戻らない時もあります。やっぱりつい安心したくてブラシをして確認したくなるのです。もちろん、一般的には誰も気が付かない範囲のことなのですが、それでもプロであれば、そこは気がつかないといけません。

ブラシを確認作業でかけすぎない

そうならないためにどうするかというと、単純なことですが、ブラシを確認作業でかけすぎないということしかないのです。この我慢をすることが意外に難しく、ついつい確認と言いながらブラシをしてしまうのです。私も以前は、何度も仕上がりが怖くて確認作業のためブラシをかけすぎた経験があります。そして何度も後悔をした経験があります。

先日、インスタグラムのDMから、毛皮の仕事をしていらっしゃる男性か女性かはわからないのですが、DMがありました。毛皮の作ることに興味があり、お仕事もされていらっしゃるようです。この毛皮の業界のなかできっと貴重な存在だと思います。今日はそのひとに、これから毛皮を作るときに参考になればと書いています。

個別のテクニックも大事なのです。しかし、意外に誰もきにしてないようなことなのですが、今日書いていることはとても大事なことです。コートを仕上げていくときに、何度も確認したくなる。

これをできるだけ我慢して、もちろん最低限の確認は必要ですが、我慢しながら、自分のやっている作業をしっかりと毛の長さ、色、質感を常に意識し、毛が仕上がったときに下を向くのか、横なのか、上を向くのかで、自然になじむ、なじまないを判断し、頭のなかでシミュレーションしたことが現実になるように作業をしていくのです。

そうすることで、最後の仕上がり状態が最高の状態で仕上げられるのです。私は、このことで今でも本当に悩みます。もっとよくできたんじゃないだろうかと。毛質はファーの命ですから。

ブラシをかけ過ぎていけない素材のなかにチンチラがあります。毛の質感を綺麗に残すのが一番難しい究極の素材です。作り手によってはブラシなんて論外だろうというひともいるかもしれません。しかし、場合によっては、ブラシが必要な場合もあります。このチンチラは毛ぐせなどないように感じますが、背中心の部分に強い癖がつき、取れないときがあります。

世にでている汚いチンチラのほとんどは、この癖がとれていません。この癖を一般的にはとることができませんが、私はとります。ほとんど、とることができます。この癖を取った状態はチンチラの命ですから。でも、それだけではありません。毛の全てがコントロールが難しい素材です。そして、扱い方で、目も当てられないほと、ひどい状態になる場合もあります。毛も抜けやすい、切れやすいという、超難関素材です。

途中経過を極力、見ないで我慢する

今日のテーマに戻りますが、途中経過を確認することは大事なのですが、やり過ぎないということを本当に注意することです。世の職人さんには傷やハゲもたいして見ないひとも一杯いますが、それはダメですが、やり過ぎ、毛・皮をいじめ過ぎも良くないのです。ここの、さらっと確認しながら我慢して、自信をもって作業していくことが一番難しいのです。手を抜いて確認を省くこととは、まったく違いますからここは、しっかり認識しておくことです。

今日は、私が今でも苦しんでいる、悩んでいることを書きました。これから毛皮を始めるひと、すでに始められているひと、そんな誰かに役に立てればと書いてみました。

最後にもう一回、仕上げのブラシ、ひとによってはアイロンを毛にあてる(私は必要に応じて使います)、スチームをあてる等、いくつかありますが、夢中になって、やり過ぎないよう気をつけ、その作業を少し省くためにも、頭のなかで仕上がりをイメージして毛の長さ、色、質感を確認して組み立てていくことです。

これをするには、各素材別の毛の長さ、質感、色の部位による変化、毛の向きの強さ(場合によってはどっちにでも向く毛もある)等を覚えて頭のなかでシミュレーションすることができるようになることです。もちろん、それでも悩みますが。

最近、インスタグラムにもアップしたチンチラのショールを載せます。チンチラ画像がインスタグラムにも反乱してますが、ひどいものが多いです。国内業者のものをたまにみますが中国で作っているかはわかりませんが、がっかりするものばかりです。最近、フォロオーをしてもらったところにチンチラの業者(海外)さんがいますが、さすがに一社だけですが、綺麗だとつい、いいね!をしてしまったところがあります。

もちろん、相手も、自分のその写真に自信をもっていらっしゃるのでしょうね、逆いいね!されました。ほんとにそこは綺麗です。見る度に私でもドキッとします。チンチラの真髄を知っていないと、ああは作れませんから。また、書きます。

長澤祐一

 

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今日は、インスタグラムに最近載せた、カシミヤのコートに取り外し仕様で取り付けたカフスのことで書いてみます。

一般的なものは、どちらかというと簡易的に作られたものが多く、とりあえず、取り外しにしてあります、、、という程度のものが多く、完璧な作りのものがありません。言葉が少しきついですね。どちらかといえばいい加減なものが多いですとでも書けばいいのかもしれません。でも、本音じゃないことを書いてもしょうがないので、はっきり書きました。

仕上がるまでのストレス

取り外しのエリもそうですが、やはり完璧なものを作るのは毎回、仕上がるまでのストレスはきついのです。

後から付けたカフスやエリでも、まさに最初から取り付けられていたように完璧に作るのですが、ほとんどのものは、最初から取り付けられていても、はっきり言って、完璧だといえるようなものはありません。

この手の、丸みのあるものや立体的になっているエリ等を作るのは、ものすごく難しいのです。もちろん、どうでも良いものはいくらでもできます。でも、そんなものを目指して作っても意味がありませんから、必死に完璧を目指すのです。

今、この手の立体的なものや丸みのあるものは難しいと書きましたが、その意味を少し説明いたします。生地が例えば紙のように薄いものであれば、そう難しいものではありません。しかし、冬物のコートとかになると、ウールやカシミヤを殆どの場合使いますね。例えばカシミヤを使えば、薄いもので袖口の厚みは3mm、厚いもので4~5mmくらいあります。

そうすると袖口の外側と内側で約2cの長さの差ができます。単純に、一枚を少し円錐形に作って、袖口の中に返せば、当然、2cの差があるわけですから、カフスの見返し分として2~3cくらいを袖口の中に返せば、裏側でものすごい分量でだぶつきます。これを解消しないといけません。特に袖口が細いコートの場合には、本当に難しいのです。中でカフスの見返し部分が余ったりすると、手がうまく通りません。

たかがカフス、されどカフス

たかがカフスなのですが、厚み分を加え、内外の周長差をつけて作るのには、普通の手でパターンを引いていては、正確なパターンが作れず、それどころかコストがかかり過ぎで仕事にもなりません。たかが取り外し仕様のカフスといっても、画像に載せますが、かなりのパーツ数が要ります。結果としてCADが必要になってしまいます。

さらに、素材によってはしっかりとした芯を入れないと、袖口からずるずると落ちてきてしまったりします。芯の硬さも微妙ですし、どこまで入れるかもものすごく繊細です。入れ過ぎれば、袖口が下がってしまうし、不足しても下がってしまいます。

基本的には、袖口の裏に毛皮が3cくらい帰り、その先にボタンホールのついた生地の見返しをつけ、コート袖口の裏に返って裏地が縫われているギリギリのところにボタンをつけて、そこだけでピッタリと安定させないと、余計なところにもボタンやループをつけなければなりません。

さらに、カシミヤの生地がやわらかいとさらに難易度は高くなります。写真のカシミヤもかなり薄いものです。薄いと何が問題かというと、カフスを止めるボダンを見返しだけだと落ちでしまいますから、表側にも少し針をかけますが、表にあたりがでないようにしたり、かなり神経を使います。さらに、カフスの重みでも袖全体に歪みが出たりします。このくらいはしょうがないと作る側は思うのですが、お客様はそうは思いませんから、何とかしなければ、ご満足いただけないのです。

一番下にパターンをスクリーンショットした画像を載せますので、興味のある方は見てください。袖口の厚みや外径内径の差をつけて、立体的に袖口にぴたっと合うように作るには、1枚のパターンではできません。

写真上から三番目の袖口側から撮った写真を見れば、袖の中で毛皮が余って蛇行してないのがわかります。

たかがカフスです。少し円錐形になってるだけなのですが、中にピッタリに返すということを考えると、意外に難しいのがわかりますね。綺麗に作れたカフスは、袖口に取り付けなくても、取り付けたように綺麗に形になります。

毛皮のコートやその他の小物を作る場合

今回はカフスですが、毛皮のコートやその他の小物を作る場合でも、立体的なもの、素材に厚みのあるものを扱う場合には、必ず内径外径の寸法差を素材厚みに応じて計算して作る必要があります。バッグなどもそうですね。袋物のバッグなどは、あまり気にせず一般的には作られていますが、ちゃんと作ろうと思うと、バッグのパーツ数もとんでもなく多くなります。

参考までに、パロミノミンクで作ったバッグの画像を最後に追加しますが、そんなことを考えながら見ると、こんなバッグでも面白いかもしれません。ちなみにこのパロミノミンクのバッグがインスタグラムでは一番アクセス数が高く人気があります。

今日は、久しぶりに書きましたが、最近、車のメンテナンスのことを知りたくてユーチューブでいろいろ見てると、本当にたくさんのひとがいろんな動画を上げていて、ライブなんてものまでありますね。ライブに参加するひとが1000人超えてたり。すごいです。動画でカフスの作り方なんかやってもいいかと思いましたが、きっと誰も見ないだろうと思うと、無理かな?と思ってしまいます。

少し、真面目にアップしないといけないとも思っています。また書きます。また、見にきてください。

長澤祐一

 

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今日は毛皮のリフォーム時に、いかにクリーニングや皮の脂を抜くことが必要かを書いてみます。

とにかくしつこく書きますが、一般的には誰も気にしていないどころか、そこそこ脂は必要だと言い張る専門家が多いのが現状です。いちいちそんなたくさんの専門家のみなさんに喧嘩を売るような気はさらさらありません。

しかし、このたくさんの専門家の多くのひとが、実際にどれくらい毛皮の作りを真剣にされたかは私にはわかりません。通り一遍の知識というのは、業界にいれば大体、知識として持つことになります。

しかし、皮に含まれる脂の量が毛皮の作りや仕上がりに大きな影響を与えるということを知るひとはほとんどいないでしょう。ゼロではないでしょうが、大半のひとは考えていないと思います。

特に国内の業界人の中ではです。これは少し皮肉的な言い方ですが。その点、中国はやはり世界の工場と言われるだけあって、ピンキリありますが、上のレベルでは、ちゃんと脱脂をして、柔らかさを表現しています。

日本国内ではCO2の問題もあり規制がかかって使えない薬品等も、もしかしたら中国ではまだ、使えるのかもしれませんが、後先考えずに徹底して脱脂された商品もあり、素人目には”くたくた”になった柔らかい皮が毛皮の良さを表現しています。

一般的な国内の技術では、あそこまでできませんし、作る現場の目が、あの柔らかさを体感していない、さらに、売り場での、その柔らかさの評価を知らないという事実がある以上、国内の技術者が上のレベルに行くことは難しいのです。

ただし、上記で、後先考えずに、、、 と書きましたが、パーフェクトの脱脂は、やはり、危険が伴います。中国製品の一部にある、あの強力な脱脂は、ドライクリーニングをして脱脂をするわけですが、おそらく裏付け前にガーメントの形になった状態でするわけですから、すべての補強テープの粘着糊は溶けてしまいます。

形も確実に縮みますし、最後にドラムに入れながら乾かすので、あれだけ柔らかくなりますが、間違って皮に水が染み込んだりしたら、確実に思いっきり硬化します。

さらに、切れやすくもなります。毛皮業界の過去にも、完全な脱脂をして柔らかさを出した過去があったことを覚えているひとも、ご年配の方にいらっしゃるかもしれませんが、当時のひとのほうが優秀な方がいらっしゃったようで、そのパーフェクトな脱脂を当時は危険だと判断し、やめているのです。

例えば、一般的な毛皮クリーニングでは、ドライはせずと、良く記載やyoutube等の動画で見ることができますが、それも、過去の経験からの知識で脱脂はよくないという意識が今現在もあるのかもしれません。

ここから私の意見を書きますが、パーフェクトな脱脂はやはり絶対に良いとは言えません。ただ、一般的に考えられている原皮屋さんや鞣し業者さんの基準はやはり、商品仕上がり時にどうあるべきかというところからみると少し違いがあると私は思います。

よく、原皮屋さんが仕上がってきた時は軽い感じで良いけど、時間が経つと、ズシッと重くなると言いますが、それは、原皮が湿気を吸収してさらに、湿気が入ることで、そのままラックにかかったままだと硬化も進みますから結局、湿気と硬化で、鞣し上がり時よりも確実に重く感じるようになるのです。

イタリア鞣しが、そうならないと聞くこともありますが、私が仕入れたイタリア鞣しのミンクもやはり、国内の鞣しと、ほぼ同じ状態になりました。

私は、鞣しについては詳しくはありませんが、一度、脂を入れるようです。そして仕上げのときにドライクリーニングをして脂を抜くわけですが、ここがやはり、手でキッカー(間違っていたらすみません)という道具を使って脂を入れ、それをひとの感覚(時間)でまたドライクリーニングをするという、極めて計測しにくい作業があります。

結局、そのロットごとの残留脂の量に差があったり、手で入れる脂を加える作業にも差があったりと、とても難しい作業のなかで仕上げられるわけで、さらには原皮の個体差などもあるかもしれないことを考えると、とても難しい作業に感じます。

結果、やはり、作るところで最終的な脂の量をコントロールするしかなく、私のところでは、原皮の段階でドライをする場合や、仕掛り途中でもっと抜きたいと思えばドライする、、、というような感じで都度、皮を触って感触で決定するしかありません。ひとつ、中国のドライと違いがあるとすれば、ジャブジャブドライ液に漬け込むようなドライはしていないということです。当初何度も、このジャブジャブ液に漬け込む洗い方を試しましたが、専門の何千万円もする機械がないので、回収しなくても良いレベルの有機溶剤を使いますが、やはり、気化させるのにも時間もかかり、この方法は使えないなと判断しました。以前、カビが蔓延してしまったコートは、この漬け込む方法で二度洗ってカビを落としましたが、やはり手間がかかりすぎて、現実的ではありませんでした。

私が今やっている方法は具体的には書きませんが、皮の表面からドライ液が染み込み、皮の表面から脂を抜いていくという方法を取っていますので、皮の奥に少しだけ脂分が残るという状態になり、こうすることで万が一水に濡れても、思いっきり硬化することがなく、軽さもでて、さらに、空気中からの水分も吸収しにくくなり、重さや劣化防止にも効果があるという、理想的な状態になるように処理しています。

私のところでは、鞣し上がった皮を再度、皮を軽く薄くするために機械や手で鋤いていますが、脂が抜けている皮のほうが鋤くのが楽なのです。脂がたくさん入った皮はベタベタして繊維がなかなか切れず、タンパク質が剥がれてくれません。ですから、皮が厚い場合にはドライをかけて、皮の表面を一度削り安い状態で削って、さらにドライをかけて、また削るという場合もあります。それくらい、皮の状態をいい状態に保つということに注意を払います。

リフォームのときにも当然、ドライをして古くなって劣化が進行しそうな状態を一度そこで止めてしまわないとリフォームする意味などありませんから必ずやります。やらなくてもいい状態のコートなど、年に1点あるかないかです。たまに、奇跡的に脂の入り具合が抜群によいものがありますが、それは本当に希です。

脂の分量が適正になれば、コートにしたときの皮の繊維の状態もよくなり、皮が伸びたら伸びっぱなしというのではなく伸びても、また元に戻る柔らかさというのがでて、型崩れせず、柔らかさも出るという状態になり、毛皮本来の良さがでます。

一般のひとは毛に魅力があるのだと思いがちですが、皮が柔らかいことで、表の毛が本来の輝きを発揮できるのです。皮が硬い状態のミンクなんて、まったく魅力がないのです。

それくらいに皮が大事だということを覚えておいてください。そして、それをコントロールする大きな要素として脂の量を適切に調節するということが大事なこのなのです。

今日も、結局難しい話になりましたが、作る側にとっても、買う側にとっても、とても大事な話だということです。デザインがどんなに良くても、毛皮の本来の魅力が表現されていない商品をいいと錯覚してしまうのは、売る側の勉強不足や、正確で正しい情報を持っていないということに他なりません。

毛皮の魅力が分からないからデザインだけで選ぶしかなくなるとも言えます。一人でも、毛皮の魅力を理解できるひとが増えること期待してこのブログを書いています。

上の写真は、レイヤード(細くカットした毛皮を生地に間隔を開けて縫い付ける技術の総称)のために5mmにカットされたミンクをバラバラにならないように、ボール紙に挟んでおいたら、皮の裏面が密着していたボール紙に今日のテーマの脂が染み移ってしまったものです。これくらい、毛皮の皮の脂は多いという証です。

リフォームをするならば、この無駄な脂を必ず落としてもらってリメイクしてもらうのが本来のリフォームの姿でしょう。手で拭き取るクリーニングや毛皮専門のクリーニングなど意味がありませんから。

長澤祐一

 

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PS.ついでに、ミンクレイヤードのボレロの写真も載せておきます。

私が34歳の時、この仕事で独立した頃、当時、海外の有名な某ブランドのアトリエに入って仕事をされた経験をお持ちの方に付属屋さんの紹介で、お会いする機会がありました。国内でも当時は有数の職人さんだったかと記憶しています。

その当時、数回お会いし、当時のその方のアトリエを拝見させていただいたり、いくつかヒントを頂いたり、お作りになられた商品を見せていただいたり、自分の作ったものを見ていただいたりと、大変お世話になった記憶があります。

当時、私は、まだWindowsではなく、DOSVパソコンをいじりだしたころで、その頃、すでに、いずれ、こんな手仕事でも必ず、コンピュータを多用する時代がくると、今では考えられないような貧弱なソフトで作り方を記録していたり、アシストカルクという表計算ソフトでデータを管理したりして、毛皮という超アナログな仕事にコンピュータを使うことをトライしていました。

何かの電話で、当時その崇拝するほど距離のあった、その職人さんにコンピュータについて話す機会があり、こっちは独立したばっかりの超ド新人で、それでも、熱く思いっきり、いつかコンピュータの時代が来ると、その職人さんに語ったのを記憶しています。

反応は、もちろん冷ややかなものでした。ご自身の仕事に大きなプライドをお持ちでしたから、コンピュータでものが作れるなら苦労しないと言われ冷ややかに笑われたことを覚えています。
もちろんこっちは、何も言えるはずもなく、黙って奥歯を噛むしかなかったのですが。

それから28年くらい経ちました。私の今の、この超アナログ的な作業の連続の毛皮を作る仕事のなかでも、コンピュータが使えなくなったらどうなるか?など想像しなくてもコンピュータがなければ何もできないことがよくわかります。東北の大震災の時にも電気が使えないというだけなのに、手作業の私たちの仕事が何もできませんでしたから。。

作業の全てが、CADやデジタルデータによってコントロールされているから

その職人さんも、当時を思い出すと細かくノートに裏地のまとめ方などを記録していたのを思い出します。そうなのです、その職人さんも実は、アナログですがデータ化をしていたのです。私はそれを、デジタルデータとして保存したり、作り方の難しいもは動画化して、それをエクセルのハイパーリンクですぐに見たいデータが見れるということをしているだけなのです。

今では、動画はあたり前の時代ですが、20年前では、デジタルビデオカメラなどない時代で、8mmビデオカメラで撮って、デジタルデータ化するのも撮った時間と同じ時間をかけて8mmを回してデータとして取り込んだものでした。今は一瞬で取り込めますが、そんな時代から動画化をしていました。

私たちのような手作業の多い仕事は基本的には頭脳と手先の熟練によって作業が行われていますが、どうしても全ての情報を覚えることは出来ません。膨大なデータ量ですから。仮に、私はデータなど使わないで仕事が出来るという人がいれば、それは、毎日、同じ種類の仕事をしていらっしゃるか、もう一つは少し否定的な意見ですが、たいしたレベルの仕事をしていないという証です。決して自慢できません。

私のアトリエでの仕事は手作業の部分が大半ですが、その作業をコントロールしているのはデジタル化されたデータなのです。こういう場合はこう作れ、、、とか、CADもそのひとつです、何度でも同じデータが使え、プロッターで出力できます。

以前、youtubeで孫正義さんの公演を聞かせていただきましたが、そのなかで、多分チップの能力の話だったかと思いますが、この30年で2の20乗、いわゆる100万倍進化し、さらに今後30年でまた100万倍進化すると言っています。もう、数字が大き過ぎて、よく解らない世界ですが、おそらく私たちの仕事もきっと大きく変わるのだろうと想像はつきます。

私のところにある島精機の古いSDS-ONEでも、コートの色をリアルに替えることができますが、そんなことはもうあたり前で、3Dシミュレーションでデザインやトワルのチェックも出来るという、つい、10年前ではおもちゃのようなソフトも、コンピュータの能力がものすごい勢いで進化したことで、今後はソフトもどんどん進化して私たちの毛皮を作る仕事でさえも、実際にコンピュータのなかで全ての予測や段取りができてしまい、あとは実際のモノづくりだけが手作業として残ってしまう、そんな楽しみな時代が来るのかもしれません。

オーダーもZOZOTOWN(ゾゾタウン)のような考え方があたり前になり、私たちのような小さな規模の企業にも、新しいシステムを導入して行かないと生き残れないというのは、おおよそ想像がつきます。

私たちの、大半が手作業のような毛皮を作る仕事でも、作る人のテクニック以外のほとんどのものがコンピュータやデジタル化された機器によってコントロールされる時代がくるのでしょう。そうなればなるほど、私たちの手作業の部分だけが大事な仕事として残ります。もちろん、手作業以外がデジタル化によってコントロールされた企業になったときの話ですが。

そして、当然、三回目のブームと言われているAIも大きく関わることになるのだろうと思います。私のところも、パターンを作る作業等で、毎回同じ作業を強いられます。毎回やっているにも関わらず、毛皮専用のパーツパターンを作ったりすると、細かいミスが頻発します。

マニュアル化しても、人がやれば、やはりミスは何度も起こります。AIがもっと身近になれば、こんな問題はなくなるのでしょうが、現状はまだ難しいのです。

私の仕事が現役で出来る限られた時間との勝負になるのでしょうが、早くそんな時代がくれば、より手作業でしかできない仕事の大切さがクローズアップされるのだろうと思います。

今日のテーマは、一週間かけて少しずつ書き溜めましたので昔のブログのように少し長めになりましたが、今日のテーマのコンピュータは、私のなかでも、本当に大事なツールであり、同志のような存在です。

もちろん、分からないことが多くてたくさん苦戦もしていますが、これからも、コンピュータの能力に注目し、自分の仕事にどう活かせば、もっと仕事が楽しくなるのかを考えて日々の仕事をして行こうと思います。

長澤祐一

 

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以前、毛皮の基本的な技術(その1)というブログを書きました。

毛皮の基本的な技術(その1)

今日はその続編を書きます。

以前、毛皮の背筋(キャラクター)についてこの中で書きましたが、そのときにホワイトミンクでも見る気になれば、はっきりと見えると書いたような記憶がありますが、写真の薄いピンクに染色したミンクで背中心を出す作業をしたときに撮った写真です。

丁度良い写真がありましたので載せますね。

ミンクをバキューム台の上でスチームアイロンをかけて、毛を真っ直ぐに整えてから、ミンクの毛を立てた状態のものです。

ここでわかるのは中心が少し周りの色よりは暗く沈んで見えますね。

こうすることでミンクの背中心がはっきり解ります。ホワイトミンクも同じです。

何故こうなるかと言うと、スチームアイロンでまっすぐになった毛をバキューム台の上にパンパンと叩きつけるとスチームアイロンで伸ばされて均一になったミンクの毛が立とうします。

そのときに背中心の刺し毛だけは、毛根の生え方が他の刺し毛に比べてお尻に向けて急な角度で生えていることと毛が少し硬めで短い分、立ちにく、そのため、おしり側から斜め45度くらいの角度から見ると、ちょうど視線に対して真っ直ぐ向かってくるようになり、刺し毛の腹に当たる光の反射がなく、綿毛だけが見えて、暗く沈んで見えます。

それ以外の刺し毛は背中心の刺し毛よりも毛も少し長めで立ちやすい角度で生えていますので、毛の横面の光の反射が目に映り白っぽく見えるのです。

ただ、背筋の濃い部分をチェックするだけではなく、迷ったら、こんな背中心のチェックの方法もあります。ホワイトミンクで真っ白なためキャラクターが見えにくいと、つい、この辺だろう、、、と安易に背中心を出すことが、最終の仕上がりに大きく影響があることを知っていれば、いい加減な作業は出来ません。

綺麗な仕上がりとは、こうした基本的な作業の繰り返しの延長線上にあるだけのことで、特別なことをするというわけではありません。

このブログでも、哲学のように、あたり前のことをあたり前こなすと何度も書いていますが、わずかな甘えが、あとから取り返しのつかないことになることを常に頭に入れて、ものづくりをしたいものです。

読者の皆様へ
今は、以前のように、長い深く踏み込んだブログが書けません。申し訳ありません。しかし、文字数は少ないですが、都度内容の濃さに変わりはありません。どうぞ、これからもときどき見に来ていただければ嬉しく思います。

長澤祐一

 

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