Skip navigation

今日は、最初から謝ります。ブログはあくまでブログ用に記事を書くと、先日公言したばかりですが、今日はその約束を破ります。

理由は、どうしてもパショーネの商品に興味のある方には必ず読んでいただきたいからです。

 

インスタグラムにもアップしましたが、このブログにも今日はアップしようと思います。

インスタグラムのコメント欄を全部読む方は少ないと思いますから、そんな意味でここにもアップします。

ここから下がインスタグラムのコメントです。画像が見たい方はインスタグラムを見てください。https://www.instagram.com/passione.co.jp/  本日2021年8月19日の投稿です。

 

こんにちは。コメント最後まで読んでいただけると嬉しいです。今日は商品のアップではありません。でも、素材はまたチンチラです。もう飽きた!と言れるかもしれませんがチンチラの投稿が目的ではありません。

今日の画像のテーマは二つあります。チンチラの原皮が綺麗でボリューム感があることはもちろんのことですが、画像の二枚目三枚目にはもう一つの意図があります。

パショーネでは原皮や商品の取扱いには、かなり気をつかっています。

その理由は、今在庫としてある原皮や商品は、いつか買っていただくお客様からの、お預かり品のようなものだからです。

商品をショップで綺麗に展示することも大事です。しかし、展示によって蛍光灯の光で色焼けしたり退色したり、または汚れたりするリスクがあることを常に頭に入れておく必要があります。

原皮も同じように気を遣います。二枚目と三枚目画像のようにバンドルごとに黒い生地をかけて光や汚れから守ります。少量だから出来るのだろうとも言われるかもしれません。確かに専門の業者さんの扱う数量とは比較になりません。それでも総原皮枚数で言えば、千の単位は簡単に超えます。それを全て生地をかけて同じように管理するのは大変な作業です。それでも、将来のお客様のためにやらなければなりません。カバーをかけることが大変なのは、バンドルを見て、それが何の種類か、何色かが瞬時にわからないという不都合があるからです。でも、それは原皮のためではありませんよね。自分の作業が都合よく出来なくなるという、管理する側の自分都合から発生していることです。

パショーネが商品の魅力にこだわるのはあたりまえのことですが、商品や原皮そのものの扱いにも気を使います。毛皮を綺麗に飾ること、華やかに見せることも大事です。しかし、そこには常に商品や原皮そのものの価値が下がるというリスクを意識しなければなりません。クオリティが高いという意味は、そういう地味な部分もできて初めて言えることだと思って仕事をしています。自分の商品だからといって、香水をつけて毛皮の試着はありえません。でも、ちゃんとそこまで気をつけて毛皮商品と接していますか?私達は、私はあたりまえのことですが、デザイナーも香水は付けません。神経を使うということはそういうことです。繊細な仕事とはそういうものです。見えないところを何処までやるのかです。

 

以上、ここまでがインスタグラムのコメントです。

 

なかなか気を付けようと思っても、一般的には出来ていないことです。国内業者さんにも見受けられますが、海外などでは当たり前に床に原皮を置きます。私達は昨年4月まで日本橋にある某百貨店毛皮サロンに常設していましたが、常に、綺麗に見せることと飾ることのリスク(褪色・変色)との間で大きな葛藤がありました。今は、それはなくなったといっても、アトリエでお客様をお迎えするときに常に綺麗に商品を展示したかたちで置くのかどうかを悩みます。現在はオフシーズンなので全て保管状態になっていますが、シーズン中にはどうするかを考えなければなりません。

基本的にはラックにかけて一時的に展示したとしても、お客様に見せる瞬間以外はラックに黒い生地をかけての展示になるかと思います。

宝飾品のように磨けば戻るという素材ではありません。知れば知るほど扱いに神経を使います。

 

毛皮商品の色焼けにつきましては、また後日このブログでアップいたしますのでお待ちください。  長澤祐一

 

今日はブラックのミンクについて書いてみます。

黒のミンクで代表的なものの一番がアメリカ産のブラックグラマミンクでしょう。私はこの分野の専門家ではないですが、もしかしたら専門家が知らないことも伝えられるかもしれませんので、是非最後まで読んでみてください。

まず、ブラックグラマミンクについて書いてみます。産地については専門ではないので詳しくは書きません。知っている範囲で書くとすればアメリカ(北米)ですが、すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、ほぼブランド化してしまっているようです。一般的にはパールミンクとかパステルミンクのように色としての名前がありますが、ブラックグラマミンクは色の種類というよりは一つのブランドのようになっています。ナチュラルでここまで濃いミンクはおそらくないのでしょう。以前は軽く強化(黒くする)されているものもあったような気がしますが、最近のブラックグラマは本当に刺し毛が短くシルキーで綺麗です。しかし、ブラックグラマミンクは黒ではないのです。離れてみるとほぼ黒にみえますが、基本的に真っ黒という毛皮はいません。茶を思いっきり濃くしたダークという色がありますが、それをさらに濃くして刺し毛が綿毛に埋まってしまうくらい短くなったものです。ショートナップとよく言われますが、ブラックグラマミンクのそれは他のものとはまったく違うといえます。もちろん生産者ごとに品質の差はあるようですが、他の色のミンクのショートナップとは違います。私のインスタグラムでもdixonminkさんというアカウントがあり、よくDMでもやり取りをしますが、素晴らしいミンク生産者です。私のもつ在庫に素晴らしく綺麗なブラックグラマミンクがありますが、それが彼が生産したものかはわからないのです。でも、私の持っているものも素晴らしく綺麗です。

次に染めてあるミンクについて少しだけ説明します。

よく私のオンラインショップの商品にも強化という説明書きがあります。出来るだけ解りやすく説明すると強化とは、漢字で見てわかるように強調するとか強めるとかになります。例えば、ダークミンクを黒に近づけるための処方になります。ですから、薄い色のミンクからは強化では黒くはなりません。元々濃いダークやデミバフミンクを強化することで黒に近づけるということです。ですから、色の濃いダークに比べて少し薄いデミバフミンクだと、強めの強化をするようですが、色をよく見ると少しだけブラウン系の色なのが分かります。良くミンクにブルーイングすると言いますが、これも同じく青味を付けるとか青味を強調するとかの意味になります。ホワイトミンクをより白く見せるためにホワイトニングするとも言われます。全てが同じ系統の薬品を使うかは私は分かりませんが、相対的に見て強調するという意味です。

ブラックに戻ります。黒くする方法に二種類あり、一つは染色です。一般的には染色は酸性染料を使うと言われています。
しかし、強化とは、酸化染料を使っているそうです。染色は確かではありませんが、50??度前後のお湯のなかで染めるらしいです。温度を上げると綺麗に色が定着するらしいですが、皮を痛めてしまうことがあり、とても難しい作業のようです。酸化染料は水の中で色を付けると聞きます。酸化染料の一番わかりやすいのは人間が使う髪染めのなかに、よく最初はクリーム色していて、空気中の酸素に触れて黒く発色するものがありますが、あれが酸化染料です。毛皮の場合は鞣し工程のなかで水の中に毛皮を入れて強化するのだと思いますが空気中の酸素ではなく水のなかで染料が酸化発色しミンクの毛を変化させるということらしく、その分真っ黒にはなりにくいと言われています。だから強化なのかもしれませんね。

 

この強化のメリットは染色のようにお湯につけずに色を付けることができるためにクロム鞣しという処理をせず、通常のドレッシングという鞣し工程の過程で色を強化することができ、仕上がった皮が染色にくらべて柔らかく仕上がるというのが最大の特徴です。

ただ、この強化だと黒っぽくはなるのですが、真っ黒にはなりません。よく見ると濃いブラウンです。これをブラック強化と一般的には言われています。

さらに、酸化染料で染める方法がもうひとつあります。染色工場でやる方法です。上のほうでも書きましたが、これは水のなかではなくクロム鞣しをして、耐熱の皮にしてからお湯の中で染める方法です。これは同じ酸化でも、真っ黒に染めることが出来ます。その代わり少し皮が固くなったり皮の伸びが悪くなったりします。ブラック強化と一長一短の特徴があり、用途によって使い分けるしかありません。

それから、一般的には黒は染色工場さんでも酸化染料で染めるようですが、皮が固くなるのを嫌い私は酸性染料で染めてもらっています。これは通常の赤や青のような染料で染めるようです。もちろん黒という酸性染料があるのかは分かりません。調合して黒にしているのかもしれないのですが、私は刈毛用として酸性染料の黒染を依頼していました。
その理由は、刺し毛が綿毛に比べ染まりにくく、どうしても綿毛は黒になるのですが、刺し毛が黒になりません。グリーンっぽくなったりします。黒の染料が三原色を均等に合わせて作るからなのかどうかは不明ですが、わずかなバランスでグリーンっぽくなったり他の色が出てしまいやすいのです。そのために刺し毛をカットしてしまう刈毛でしか酸性染料では染めません。黒染めの酸性染料染めが何故いいかは、皮が酸化染料の染色よりも柔らかく仕上がることが私にはとてもメリットがありました。当時の担当者さんには苦労をかけたようですが、それでも仕上がりが柔らかいということには代えられませんでした。

ちなみに酸化染料で染めたブラックは皮は硬くなりがちですが、しっかりとドライクリーニングをすれば柔らかさはでます。
さらに、酸性染料で染めたミンクの刺し毛がグリーンっぽくなったりしましたが、酸化染料で染めたミンクの刺し毛はちゃんと黒になりやすいという結果が出ています。酸化染料自体が三原色を組み合わせた染料ではなく詳しくは分かりませんが薬品に近いのかもしれません。間違っていたらごめんなさい。

毛皮のブラック染色とブラック強化の説明は私が知る限りでは以上です。強化そのものの意味がよく分かりにくいことと、酸化と酸性染料の違いなど染色方法で皮の柔らかさや色の出かたが違うことなど、とても複雑で分かりにくいですね。

今回のことについても、あくまで私の感性で感じたことなので、他のひとが同じように感じるかどうかはわからないのです。

そして、手法の説明も完璧ではないはずです。しかしひとつ言えることは、仕上がった結果に対する説明に関しましては絶対の自信をもって書いています。そこだけご理解いただき信頼してもらえると嬉しいです。    長澤 祐一

今日は、数回に分けて書いてきたなかで、さらに書き切れなく、一つのテーマとして書くほど長くもないという単発的なことをいくつか書いてみます。

 

毛皮の劣化やクリーニングについて、私が書いてきたことが正しいかどうかは、私自身も100%の確証はありません。
その理由は、毛皮の性質からいうと、毛と皮の両面から考える必要があり、学術的に正しいといってもそれが絶対とも言えないのが現実です。その理由は、毛皮自体に個体差があり、鞣し作業でも個体ごとに作業の差があったり、さらにはその後の保管状況によっても差が出たりと、あらゆる局面で差があることが、劣化やクリーニングに対してのそれぞれに考え方が違う要素になっています。
さらには、今現在の一般的な毛皮のクリーニングに使われているパウダークリーニングという手法も、もう何十年も前に、当時の専門家が考えた手法であり、その当時と今では、一年を通じての気温も違い、当時は毛皮の歴史も浅く今のように劣化した毛皮がたくさん出たということもないという、そんな時代と現在とでは、本来であれば考え方が変わってもいいはずですが、業界が小さいということもあり新しい考え方が出てくるほどでもないのかもしれません。

今回私が書いたことの証明が出来るとすれば、私自身が作った商品で見てもらうほかなく、劣化で言えば、私が納品したものが年数を経ても硬化したり劣化したりしないという、そのことでしか証明が出来ないという気の長い話になるのですが、そこは、これまで記載してきた記事を読んでいただき託してもらうしかないと考えています。

 

 

 

脂を抜く作業をたまにですが上手くいかず、抜き過ぎる場合もあります。そんな時には柔軟剤を皮に多めに入れてから再度有機溶剤とオガで脂を抜きなおすこともあります。その時に、柔軟剤を入れて皮を縦横に伸ばして皮の繊維に十分に柔軟剤が行きわたるようにします。繊維が縦に伸びている状態だと十分に細部まで柔軟剤がしみ込まないことがあります。このように手もみをして、この状態で再度ドライをします。これで、また柔らかさが戻ることがあります。絶対ではないのですが、もうダメかと思いながらもやり直してみる価値はあります。

 

 

オガに水分を含ませてドラム(回転式洗浄機)を長時間回すとドラムの中の温度が上がります。化学的なことはわかりませんが、オガが発酵のような状態になるのかもしれません。しかし、少量の水をオガに染み込ませることで毛に効果があるように感じます。例えば静電気防止剤や艶出しは水溶性液体で、これを水で薄めて使うのですが、水だけでやっても毛に少量の湿気が加わり、しっとりとして綺麗になります。ただし、水分が抜けていくときに一番繊細な毛の先がカールすることがあります。特にセーブルのような繊細な刺し毛を持っている素材の場合には起こりやすいのです。ですから、今は艶出しも静電気防止剤も使っていません。人間の髪の毛は少しオイリーなほうが良いと言われますが、毛皮は人間の髪の毛よりも何倍も細くて繊細です。ですから今は余計な薬品は使わずに仕上げています。
よく、ヌートリアのような抜き毛になったものをクリーニングに出すと毛がパサパサになって戻ってきてがっかりされるお客様がいらっしゃいますが、元々の状態に戻ったということなのです。クリーニング段階で何をすればそうなるのかわかりませんが、仮にあるとすればパウダークリーニングで有機溶剤系以外の水溶性の洗剤または艶出し等が使われると人間の髪の毛と同じで毛が僅かにウェーブがかかります。というか戻ります。元々ヌートリアのような抜き毛素材は、高温の回転アイロンで人間の髪の毛で言うストレートパーマをかけたような状態にして毛艶をだしていますので、水分が少しでも入ると毛は元に戻ります。パーマではなくドライヤーで髪を伸ばした状態なので水分を含むと縮れる性質なのです。そのためにヌートリアのような抜き毛素材はクリーニングに出して戻ってくると白っぽく艶のない状態になり、がっがりされることがあります。私もアトリエに回転アイロンがあり高温にしてヌートリアの毛を伸ばしますが、製品になったものは出来ません。理由は、毛を伸ばすためにアイロン部分を200度くらいか、それ以上に上げないと綺麗に毛が伸びません。しかも伸ばすために薬品を使うこともあります。クリーニングにくるものは商品になり裏地などが付いたカフスだったりコートに取り付けられたものがほとんどのため、裏地や他の生地を傷めるリスクが高過ぎて本格的に毛を伸ばす仕上げが出来ないのです。

 

 

毛皮につく匂いのほとんどが人間からつくものと、湿気から発生するカビ、そして香水です。女性の方は信じたくはないでしょうが匂いの発生元の多くは人間からなのです。クローゼットのなかは、ご自分では絶対に大丈夫だと思っていると思いますが、一回でも着たものをクローゼットに入れれば匂いは移ります。そしてそのなかで匂いが蓄積します。空調があるからといって安心もできません。洋服や毛皮を密着させた状態では部分的に湿気はたまって、カビの発生原因となるからです。
香水は、ご自分のものですから仕方ないとしてもカビは気になりますね。
ご本人は気付かれてないかもしれませんが、大半の毛皮コートにカビが生えています。ですから、よく保管中に不織布のカバーがかかった状態で倉庫に保管されているケースがあるかと思いますが、あれはかなり危険です。私のアトリエでも顧客のコートをクリーニングと保管を承ることがありますが、一番気を使うのが汚れではなく匂いです。コートを密着させれば不織布カバーでは絶対に匂いとカビは移ります。私のところは販売する商品もありますから、ものすごく神経を使います。
クリーニングにオガを使う理由は消臭効果もあります。有機溶剤で消臭効果が期待できるかどうかは分かりません。脂分が発生する匂いもあるので効果がないとは言えませんが、一番の効果はオガだと思います。私が使っているのはヒノキですが、詳しくはわかりませんがヒバとも言うようです。このヒノキのオガが消臭に効果があると感じます。最近使っている、家電のLGスタイラーというのがありますが、これも消臭効果が実際にあります。これはいつか別の記事で書きますが確かに消臭効果があります。強力な香水の匂いは難しいですが、軽い匂い程度であれば取れます。これは薬品やオガを使う訳ではないのですが、おそらく高温の蒸気が匂いを取るのだと推測しています

 

 

業者さんのやるパウダークリーニングとは何か変じゃないですか?パウダーという言葉の意味は、よく書かれているのはトウモロコシの芯を粉末にしてとか、皮に必要な油分を補充するとか? ありますね。それでは皮の脂分がどれほど不足しているんですか?裏地もとらず、皮を触りもせずにどうやって必要な油分を割り出すのですか?毛の栄養分?よくわかりませんよね。皮の必要な油分も毛の栄養剤も全て一回のパウダークリーニングという処理でやるのですか?汚れを取り除くのと栄養と油分を加えるのと一緒にするというのはかなり強引です。皮の油分を調整して足すなんてことも書かなきゃいいんです。だって裏地をとらずに毛の側からどうやって奥の皮まで必要な油分を補充するんですか?毛にも必要な栄養分をというなら先に汚れを落としてからでしょう。私はそう思います。人間用でリンスインシャンプーなんてありますが、毛皮は基本的に水洗いなんかできません。あれもこれも効果のありそうなことを書いてはありますが、全て一回のドラム処理では難しいと私は思います。毛皮の機械でグレージングマシンと言われている回転アイロンがあります。私も持っていますがセーブルやミンクの刺し毛の一番先の顕微鏡で見ないとわからないような細い毛先は、グレージングマシンを少し強くあてると毛先がわずかに切れてしまいます。毛皮が毛皮らしさを出している一番の部分です。毛先がバチっと切れてしまえば、フェイクファーと同じになってしまいます。特に危険なのは、クリーニング仕上げでコートになった状態でかけるのは、肩やエリというように凹凸があり、回転するアイロン部分が部分的に強くあたってしまい、毛切れの危険性があります。チンチラのように柔らかい毛は危険かというと柔らかすぎて切れないという結果が私のなかでは出ていますが、どちらにしてもグレージングマシンは危険があります。ただ作業をしている分には気が付きませんが、毛皮の本来の輝きを知っていれば、作業の結果からでる様々な違いに気が付くはずです。お客様受けしそうな文言を精一杯並べても、これは矛盾ががあるだろう、、、と私は感じています。私自身もネットという、この場所で競い合う場を作って書いているわけですが、日本製だとか、選りすぐりの職人が作るとか、、、書きたい放題書かれていますが、いつも自分も同じにならないようにと感じています。日本製だからいいのか?選りすぐりの職人とは誰が決めたんだ、、、といつも思います。クリーニングについては全てわかるわけではありません。しかし、少なくとも毛皮のことであれば分かります。ネットに出ている画像を見れば、どの程度の職人が作っているかなんて分かります。その度に、私も同じように見られないようにと記載する”言葉”にはいつも気を使います。

 

最後に一つ大事なことを書きます。私がオガを使ってドライ処理をするのは、リフォームや例えば裏地を交換するタイミングでやることです。裏地替えのときは普通は芯や付属は変えずに、ただ裏地だけを交換しますが、せっかく裏地を外すのであれば、出来れば費用は掛かりますが芯や付属を全て外して毛皮を毛と皮の両面から洗うことをお勧めします。もちろん、購入金額等とのバランスもありますが、セーブルや品質のよいミンクなどであれば価値はあると思います。

 

じゃあ、裏地がついたままのクリーニングはお前はどうするんだと質問が出るかもしれません。もちろん、シークレットですが、それにしても裏地を付けたまま、オガドラムなんて絶対にかけません。オガが裏地のなかに必ず入って取れませんから。正直、個体ごとにやることを考えないといけないのです。ドラムでたくさん回せば、カギホックや毛皮専用の留め具などをしっかりカバーしないとドラム回転中に裏地に傷がついたり、カギホックそのものの先が傷がついたりと難しいのです。私もネットに入れますが、それでも傷がつきます。よく、長い毛のもので留め具周辺の毛が切れていることがありますが、お客様が着用しただけでは、あそこまで切れないのです。ドラムにかけ、ドラムのなかの棚のような部分や蓋にあたって切れています。書き出すときりがないくらい諸々問題がでます。それをパーフェクトにクリアするのは一律の作業ではかなり難しいのです。もちろん、だからといってマニュアル化は否定しません。やるべきだと思います。やればどこかで出口が見つかるのかとも思います。私自身の作業もマニュアル化はしています。ただ、最初の段階では失敗の連続です。私自身もまだまだ全てが解決できていません。

 

今日は補足の寄せ集めみたいになりましたが、内容はそれぞれに大切だと感じることを記載しています。予定は2000字くらいでしたが4600字になってしまいました。申し訳ありません。
このブログが何百万人に一人でも、面白いと思って読んでもらい、ひとつでもお役に立てることがあれば嬉しいです。      長澤祐一

今日は前回に続いてパショーネでやっているクリーニングと皮の劣化を防ぐ方法について追加で書いて見ます。

大きな設備(専門業者)でドライクリーニングをやる場合、想像ですが、例えば裏地を剥がした毛皮コートをドライクリーニングする場合に溶剤の量は多少関係すると感じています。例えば、溶剤の量が少ないと皮から溶け出した脂分が当然のことですが、溶剤が少なければ溶剤のなかの脂分の濃度は上がります(この濃度があがるということは、本来であれば有機溶剤に脂は溶けて脂分としての成分がなくなってしまう訳なので学術的にはあり得ない理屈なのですが、実際には私の想定していることが起こっていないと、毛のべた付きは起こらないと考えます)
。その結果何が起こるかというと毛皮の皮から溶け出した脂分が毛につきます。私がドライ加工依頼をして仕上がってきたものの3割は、私の基準では毛に脂分が付着した状態で乾燥仕上げが行われていました。当然のことですが、毛を触った感触はサラサラという感じではなく、少しベタっとして、私達の汚れた髪の毛のような感触になります。溶剤を節約した結果か、時間が短すぎるために、こうなるのかどうかはわかりません。でも、おそらくはそうであろうと思います。

コート一着をドライにかける時間は私にはわかりません。しかし、聞くところによると、そう長くはないらしいです。もちろんそのために脱脂効果の強いパークロロエチレンを使うわけですから当然と言えば当然なのです。

ただひとつ言えるのは短い時間になればなるほど調整は難しくなると感じます。もちろん大量の原皮をドライするなら量が増えることで効果の均一化は図れるのかもしれません。しかし、コート一点となると、どのくらいの時間と溶剤の量が必要なのかは逆に難しくなるとも言えます。

それでは、私がやっている方法はというと、脂分が強いものは直接、刷毛やブラシのようなもので溶剤を直接、皮裏面に染み込ませます。脂分が弱いものの場合には、オガ屑に溶剤を混ぜて、毛や皮面に間接的に溶剤を染み込ませます。

直接、皮に溶剤を染み込ませた方が当然ですが強い効果が得られます。コートを溶剤で濡らし、オガと一緒にドラムに入れます。この時のオガは、水洗い洗濯で言えいば水の役割になります。溶剤で溶け出した脂分をオガが吸収してくれるわけです。毛に付着した脂分も取ってくれます。ですから、オガの量イコール水の量になりますから、オガの量が節約して少なければ、どんなに有機溶剤で脂を溶かしても、脂分を取ることの効力は落ちることになります。一般的に加工業者さんが使うオガの量は鞣し業者さんに比べれば、かなり少ないのですが、それは加工段階でカットされたムダ毛を取り除くことが主たる目的だからです。しかし、クリーニングとなると目的が変わり、オガの量も当然変わります。オガの量イコール、水洗い洗濯で言えば水の量になるという意味はそういうことです。当然、水をケチってしまえば、濯ぎが足りないという状況になり、オガで言えば、せっかく有機溶剤で溶かした脂分を取り切れなくなるということになります。

それと、もうひとつ書くとすれば、オガと有機溶剤で取られた脂分も、この方法だと完璧ではありません。皮に厚みがあり、脂分を吸収するのが皮裏面からオガが付着して吸収するために、皮裏面の表面が、より強く脱脂されます。その結果何が起こるかというと、ドライした直後は皮の表面はカサカサして脂分が完全に抜けたようになりますが、時間の経過とともに、皮の奥(毛のある方)から少しずつ脂分が染み出て、皮裏の表面に移動し、結果として皮の脂分の状態が均一化します。

もちろん、これではもう少し脂分を抜きたいと思う状態のときもあり、その時は二回目のドライをすることになるのです。

確かに大変なのですが、この方法だと手間はかかりますが確実に脂分の量をコントロールできるのです。
クリーニング屋さんでやるドライクリーニングの意味は洗剤を同時に入れるとも聞いたことがありますが、主たる目的は汚れ落としです。毛皮の場合のドライクリーニングは鞣し工程で使った脂分を落とすことが目的です。その違いは言葉は同じでも大きな違いがあります。

ほとんど知られてはいませんが、脂分の量のコントロールは仕上がりの軽さや柔らかさに大きく影響し、さらには劣化という一番のリスクに対しても影響があるのです。どんなにデザインや綺麗な形を作ることに気を使っても、毛皮の持つ本来の魅力を引き出せない仕上がりでは、毛皮を生かしたとは言えません。

脂分の量が適切にコントロール出来れば、https://www.instagram.com/p/B18aNR2nj84/ この動画のように何年経っても、まったく硬さも劣化もなく綺麗な仕上がりを維持できるのです。もちろん、100年持つとは言えません。しかし、何もしない鞣しあがったままの脂分のコントロールされていないものから比べれば明らかに耐久性は出ると考えます。

もちろん、染色され、その途中工程でクロム鞣しという処理をしているものであれば、劣化のリスクはかなり軽減されていますが、染色屋さんが、リフォーム等の作業で染色された毛皮を再染色するときに再度、クロム鞣しをすることを考えればクロム鞣しの効果も永遠ではないということを証明しています。それとクロム鞣しがしてあっても脂分が多いことで湿気を吸いやすかったり、柔らかさが不足したりします。クロム鞣しが劣化に対しては有効であっても、軽さや毛のべたつきや柔らかさには効果を持たないということです。従って、毛皮の脂分のコントロールは品質面から考えても必要であると言えます。

単に、鞣し上がってきた原皮を何も考えずに使うのであれば、工賃は少なくて済むのです。
しかし、毛皮には必ず個体差や鞣し工程のなかで起こる不均一さというものがあります。
それを極力、皮を鋤いたり脂分をコントロールしたりして均一化することがガーメントには特に影響します。
わずかそれだけのことですが、手間は倍以上違うのです。ものづくり日本と日本製ということを一番に謳うなら、最低これくらいは考えてもの作りをする必要があると思います。

今日はこの辺で終わりにします。ごめんなさい、いつも過激になる一歩手前で書くことをやめてます💦

あと一回書くことがあるか考え、またアップします。     長澤祐一

こんにちは。前回と少し間隔が短いですが、書き溜めてあったのでアップします。

今日は、私のところではどうやって劣化の間接的な原因となりやすい皮の脂分を抜いているのかを少しだけ説明します。

もう、30年以上前にアントレプレナーカレッジというところに半年通ったことがあって、そこにはいろんな仕事や起業をしようと思っている人たちがいて、たまたま同期にクリーニング屋さんが実家だったような友人がいました。丁度独立したばかりのころでしたが、その友人にドライクリーニングで使うターペンという石油系の溶剤を譲ってもらったことがあり、その溶剤をおが屑に混ぜてドラムという機械にコートをかけました。当時は何もしらずに使いましたが、多分規制がかかった溶剤なのかもしれません。ターペンはすごく石油の匂いがきつく、この石油の匂いが取れるのかと心配になるくらいきつい匂いでした。

ドラムとは毛皮の毛取をしたり柔らかくしたり、おが屑を入れてクリーニングに使ったりする機械ですが、私のドラムは八角形のドラムで網の蓋と密閉にするための蓋が四枚ずつついていて、密閉をしておが屑にターペンを混ぜて一日洗いました。
一日かけて、その後、網の蓋にかえて、おが屑を落とし、コートを綺麗な状態にします。

仕上ったときの感動は今も忘れません。それほど綺麗だったのです。柔らかさ、毛の本来の輝き、匂いも取れたりで、びっくりしました。

それから、30年かけていろいろ試して今の溶剤にたどり着きました。聞きたい人がいたらメールをください。ここには書きませんが教えます。以前も、何度か教えろとコメントを頂きましたが、名前もどこの誰かも名乗らずに、情報だけを教えろというひとがいましたが、それは無理ですから。

私達は専門業者ではないですし、パークロロエチレンを回収するような高額な設備もありませんから市販で買える規制のかからないものを使っています。

業者が何故人体にも影響のあるパークロロエチレンを使うがというと、脱脂の強さと乾燥のスピードです。仕事でやる以上、大事なことです。しかし、私達が自分で使う分には特にスピードは求めません。逆にいうと、その脱脂効果の弱さが少しずつ脂を抜けるということで私にとっては逆にコントロールしやすくメリットになっています。

パークロエチレンよりも脱脂効果が弱いということは、自分で抜きたい脂分の加減を調節しやすいということになるのです。
ただ、弱いと言っても、溶剤を手に付けるてティッシュ等でふき取ると手はカサカサになりますから、決して弱いというほどではありません。

前回か前々回にも書きましたが、パークロロエチレンでやると、脱脂効果が強いこともあり、私がやる何時間もかけて脂を抜くのではなく、一瞬のようなのです。逆に言うと望むレベルに脂が抜けたのか、または抜け過ぎたのかの判断はかなり難しいとも言えます。結果的に仕上がってみてから毛をチェックしてみて、皮の脂が溶剤に溶けて、その脂分が毛に逆についてしまうことが発生し、べたつきが出たりしますので仕上がりを見るしかないのです。これは、コートでも原皮でも同じでした。複数の鞣し屋さんや染色屋さんに出しても同じ悪い方の結果が出ることがあり、当時はその意味が解らず黙って受け入れることもありましたが今は、手間がかかっても自分でやることが出来るので納得いくまでやることができます。

ひとつ参考までに何故ドライクリーニングがいいのか?ということですが、もちろん汚れが落ちることや乾燥が早いことなどいくつかのメリットがあります。しかし、一番のメリットは多分ですが、形が崩れにくいことです。
ティッシュペーパーを有機溶剤と水の両方に付けてみると、その差は歴然とします。ティッシュペーパーを水につけるとすぐに組織が崩れてしまいます。形の維持が難しいのです。一方で有機溶剤に付けたティッシュペーパーは形が崩れません。

この原理を利用して毛皮でもパークロロエチレンを使うことによって、仕上がった完成品のようなものでも、大きく形を崩すことなくクリーニングができるのです。

今日のテーマはわたしのところでやるクリーニングでしたが、少しテーマから外れました。ごめんなさい。次回もう少し続きを書きます。

長澤祐一

今回のテーマは専門業者さんからクレームが来そうですが、とりあえず、分かることを書いてみます。

前回はドライ液で丸洗いすることを書いてみました。

私は、専門業者さんの工場に入ったことも、直接聞いたこともありません。しかし、大体の想像は付きます。
ただ、少し違っていたら、ごめんなさい。

毛皮コートは一般的には裏地がついて仕上がってしまうと、ドライの丸洗いは出来ません。というかしません。
少し余談ですが中国では日本国内で規制されている溶剤も、もしかしたら違反して使っているのかもしれませんが、おそらくですが、裏地がついて仕上がってから強いドライをかけてコートをクタクタに柔らかくしています。もちろん全てではありません。リスクが多少あるのと前回書いたようにドライクリーニングする機械が高額なので小さな工場ではドライができませんから、余程設備がしっかりしている工場だと想像がつきます。
ただし、この方法は効果はありますが、かなり乱暴です。ドライ溶剤でコートを作るとき伸び止めテープ等を使えば、そのテープの糊は溶けてしまい、中のテープは剥がれてしまいます。見えないだけで、コートのなかのテープは、あっちこっちはがれてしまっている状態です。でも、外側からは見えないからそれでも良しとする、いかにも中国らしい方法です。

話がそれましたが、毛皮の一般的なクリーニングでは専用のおが屑とパウダーとよばれるトウモロコシの実なのか芯の部分かはわかりませんが、粉にしたものと場合によっては有機溶剤を少し混ぜるようです。100%正確ではないかもしれません。ただし大きな違いはないはずです。

おが屑といってもヒノキ等の専用のもので、大きさも都度指定したものを使います。私はすごく細かいものと普通のものを混ぜて使っています。

この方法のメリットとデメリットを書いてみます。メリットは少量のドライ液がおが屑にしみ込み毛の表面や奥の方まで入り込み有機溶剤(ドライ液)がしみ込んだおが屑で脂分を溶かし、おが屑にしみ込ませます。さらにおが屑の表面にあるチャカチャカした部分で汚れをひっかけるようにして取り除くとも専門家のあいだでは言われています。この作業自体は毛にはとても効果はあると思います。ただ、一つだけダメだしをするとすれば、細かいおが屑が、裏地のまつりめからコートの中に入ってしまい、そのおが屑がコートの裾や袖口にたまってしまうのです。業者さんはエアーガンや掃除機で取り除くとは言っていますが、リフォーム時に裏地を剥がすと裾の見返し部分にたくさんのおが屑がたまっています。その量はコートごとに違いますが、ひどいものになると裾にかたまりになるほど入っているものもあり、これで仕事として成立するのかと思うほどです。

クリーニング業者さんが自分がクリーニングしたすべてのコートの裏地や付属を外して確認する訳ではないので、末端で作業するひとたちは指示に従うしかないことを考えると仕方ないのかなとも思います。

当然ですが、皮裏面まで有機溶剤が入ることはないので皮の劣化を止めることや皮面に染み込んだ匂いも取れることはないのです。
古い毛皮コートのかび臭い匂いは、毛についているだけではなく、その多くが皮に染み込んだ状態でついています。ですから毛の表面だけを洗っても匂いは全く取れません。

さらには業者さんのホームページでは、これもどこかで書いた記憶がありますが、最初のページではあれもできます。これも出来ますと書いてありますが、ページ最後のほうをみると、逆に、少しリスクがありそうなものは、あれも出来ません。これも出来ませんと記載があります。それくらい、毛皮のコートはリスクがあり深く入り込んだ作業はリスクが大きすぎてやれないということです。

次回は、私のところでやる方法を少しだけ書いてみます。      長澤祐一