毛皮のクリーニングをどこまで知っているか?

今日は、また面白くない、毛皮のクリーニングのお話です。すみません。ほとんどの毛皮のサイトでクリーニングについて書いてありますね。

そして、その内容のほとんどは毛皮はパウダークリーニングがいいと書かれています。しかし、そのサイトでパウダークリーニングがいいと書いた、どれだけのひとが実際にパウダークリーニングを自分でやったことがあるのでしょう。この私も実はやったことがないのです。

やったことがあるひとは、私の予想では、ほとんどいないでしょう。ほとんどが業者任せですから。それくらい、どこかに書いてあることをただ記載しているというのが現実です。

昨年、志木にあるクリーニング屋さんに、お客様から依頼された、生地に毛皮のトリムがついたコートを出したことがあります。ネットで探し、いろいろ書いてあり、ここならと思い、染み抜きとクリーニングに出したのですが、撥水加工スプレーをして、その輪染みが、そこらじゅうに出てしまい、がっかりさせられたことがあります。

当然、クレームを付け、それはやり直せというならやり直しますと答えられ、なんで検品もしないのか?という疑問に駆られた記憶があります。

話それましたが、その店主との会話のなかでも、毛皮が取り付けてあったことを話したときに、毛皮はパウダークリーニングがいいと言っていて、素人が言うなまだしも、クリーニング専門の方が毛皮の素材がなんで、どういう状態かも聞かずに、いきなりパウダークリーニングがいいというのは大きな疑問が残るところです。厳しい言い方ですが、レベルが知れます。

パウダーとは、よく記載されているのをみるとトウモロコシからとれたパウダーらしく、これで、汚れが落ちるかどうかは、私はやったことがないので解りません。よく書いてあるのは、汚れが取れるという書き方ではなく、栄養を与える、、、というような記載が多いですね。

確かにオガと一緒にドラムがけするわけですから、オガによってホコリとか簡単な汚れは取れます。オガの効果は大きいですから。しかし、人からついた脂や臭い、さらには油汚れなどは、絶対に有機溶剤でなければとれません。だから、毛皮のなめしの工場では、毛皮仕様になったドライクリーニングの高額な機械があるのです。

先日も、毛皮のなめし段階で入った脂を取り除くために脱脂剤を使ってクロムなめし済みの毛皮だったので水洗いしましたが、皮の表面は少し落ちますが、完全に中までは落ちません。

アトリエでも有機溶剤以外での脱脂をいろいろ試みましたが、有機溶剤のように綺麗には落ないのです。

パウダークリーニングも決して悪いとは言いませんが、先ほど書いた、クリーニング店主が薦めるように、まるっきり信用できるものではなく、あえてクリーニングと記載するならば、毛皮簡易クリーニングとでも表示したほうがよいのではと私は思っているくらいです。

それくらい、毛皮は実際には汚れていますし、パウダークリーニングでは毛の表面の汚れしか落ちないのです。

毛皮の汚れの実態

ビデオは私がボソボソと話していて、お粗末で、何を言っているのか訳がわかりませんが、アトリエでチンチラをクリーニングして有機溶剤を取り除いたあとの状態です。恐ろしいような、完全な油が残ります。そして、その油のなかに黒い汚れも残ります。

さらに、不思議なのは水も残りますね。チンチラの毛と皮に含まれていた水分が有機溶剤には溶けないので残ります。以前も書いたことがありますが、毛皮の皮の状態によって水分を吸収しやすくなるという証です。
確かに、毛皮の一般のクリーニングは裏地の付いた製品の状態でやるので、難しさもありますが、パウダークリーニングをやることで、「リフォーム品 | 保管の仕方考」オガがコートのなかに入ってしまい、取れなくなるリスクを考えるなら、有機溶剤を使って丹念に、手作業にて拭き取ったほうが私はいいと思います。

もちろん、手間はかかります。でも、確実に、えりや袖口についた皮脂の汚れなども取れます。

長澤祐一

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