Skip navigation

Category Archives: 毛皮のリフォーム

今日は毛皮のリフォーム時に、いかにクリーニングや皮の脂を抜くことが必要かを書いてみます。

とにかくしつこく書きますが、一般的には誰も気にしていないどころか、そこそこ脂は必要だと言い張る専門家が多いのが現状です。いちいちそんなたくさんの専門家のみなさんに喧嘩を売るような気はさらさらありません。

しかし、このたくさんの専門家の多くのひとが、実際にどれくらい毛皮の作りを真剣にされたかは私にはわかりません。通り一遍の知識というのは、業界にいれば大体、知識として持つことになります。

しかし、皮に含まれる脂の量が毛皮の作りや仕上がりに大きな影響を与えるということを知るひとはほとんどいないでしょう。ゼロではないでしょうが、大半のひとは考えていないと思います。

特に国内の業界人の中ではです。これは少し皮肉的な言い方ですが。その点、中国はやはり世界の工場と言われるだけあって、ピンキリありますが、上のレベルでは、ちゃんと脱脂をして、柔らかさを表現しています。

日本国内ではCO2の問題もあり規制がかかって使えない薬品等も、もしかしたら中国ではまだ、使えるのかもしれませんが、後先考えずに徹底して脱脂された商品もあり、素人目には”くたくた”になった柔らかい皮が毛皮の良さを表現しています。

一般的な国内の技術では、あそこまでできませんし、作る現場の目が、あの柔らかさを体感していない、さらに、売り場での、その柔らかさの評価を知らないという事実がある以上、国内の技術者が上のレベルに行くことは難しいのです。

ただし、上記で、後先考えずに、、、 と書きましたが、パーフェクトの脱脂は、やはり、危険が伴います。中国製品の一部にある、あの強力な脱脂は、ドライクリーニングをして脱脂をするわけですが、おそらく裏付け前にガーメントの形になった状態でするわけですから、すべての補強テープの粘着糊は溶けてしまいます。

形も確実に縮みますし、最後にドラムに入れながら乾かすので、あれだけ柔らかくなりますが、間違って皮に水が染み込んだりしたら、確実に思いっきり硬化します。

さらに、切れやすくもなります。毛皮業界の過去にも、完全な脱脂をして柔らかさを出した過去があったことを覚えているひとも、ご年配の方にいらっしゃるかもしれませんが、当時のひとのほうが優秀な方がいらっしゃったようで、そのパーフェクトな脱脂を当時は危険だと判断し、やめているのです。

例えば、一般的な毛皮クリーニングでは、ドライはせずと、良く記載やyoutube等の動画で見ることができますが、それも、過去の経験からの知識で脱脂はよくないという意識が今現在もあるのかもしれません。

ここから私の意見を書きますが、パーフェクトな脱脂はやはり絶対に良いとは言えません。ただ、一般的に考えられている原皮屋さんや鞣し業者さんの基準はやはり、商品仕上がり時にどうあるべきかというところからみると少し違いがあると私は思います。

よく、原皮屋さんが仕上がってきた時は軽い感じで良いけど、時間が経つと、ズシッと重くなると言いますが、それは、原皮が湿気を吸収してさらに、湿気が入ることで、そのままラックにかかったままだと硬化も進みますから結局、湿気と硬化で、鞣し上がり時よりも確実に重く感じるようになるのです。

イタリア鞣しが、そうならないと聞くこともありますが、私が仕入れたイタリア鞣しのミンクもやはり、国内の鞣しと、ほぼ同じ状態になりました。

私は、鞣しについては詳しくはありませんが、一度、脂を入れるようです。そして仕上げのときにドライクリーニングをして脂を抜くわけですが、ここがやはり、手でキッカー(間違っていたらすみません)という道具を使って脂を入れ、それをひとの感覚(時間)でまたドライクリーニングをするという、極めて計測しにくい作業があります。

結局、そのロットごとの残留脂の量に差があったり、手で入れる脂を加える作業にも差があったりと、とても難しい作業のなかで仕上げられるわけで、さらには原皮の個体差などもあるかもしれないことを考えると、とても難しい作業に感じます。

結果、やはり、作るところで最終的な脂の量をコントロールするしかなく、私のところでは、原皮の段階でドライをする場合や、仕掛り途中でもっと抜きたいと思えばドライする、、、というような感じで都度、皮を触って感触で決定するしかありません。ひとつ、中国のドライと違いがあるとすれば、ジャブジャブドライ液に漬け込むようなドライはしていないということです。当初何度も、このジャブジャブ液に漬け込む洗い方を試しましたが、専門の何千万円もする機械がないので、回収しなくても良いレベルの有機溶剤を使いますが、やはり、気化させるのにも時間もかかり、この方法は使えないなと判断しました。以前、カビが蔓延してしまったコートは、この漬け込む方法で二度洗ってカビを落としましたが、やはり手間がかかりすぎて、現実的ではありませんでした。

私が今やっている方法は具体的には書きませんが、皮の表面からドライ液が染み込み、皮の表面から脂を抜いていくという方法を取っていますので、皮の奥に少しだけ脂分が残るという状態になり、こうすることで万が一水に濡れても、思いっきり硬化することがなく、軽さもでて、さらに、空気中からの水分も吸収しにくくなり、重さや劣化防止にも効果があるという、理想的な状態になるように処理しています。

私のところでは、鞣し上がった皮を再度、皮を軽く薄くするために機械や手で鋤いていますが、脂が抜けている皮のほうが鋤くのが楽なのです。脂がたくさん入った皮はベタベタして繊維がなかなか切れず、タンパク質が剥がれてくれません。ですから、皮が厚い場合にはドライをかけて、皮の表面を一度削り安い状態で削って、さらにドライをかけて、また削るという場合もあります。それくらい、皮の状態をいい状態に保つということに注意を払います。

リフォームのときにも当然、ドライをして古くなって劣化が進行しそうな状態を一度そこで止めてしまわないとリフォームする意味などありませんから必ずやります。やらなくてもいい状態のコートなど、年に1点あるかないかです。たまに、奇跡的に脂の入り具合が抜群によいものがありますが、それは本当に希です。

脂の分量が適正になれば、コートにしたときの皮の繊維の状態もよくなり、皮が伸びたら伸びっぱなしというのではなく伸びても、また元に戻る柔らかさというのがでて、型崩れせず、柔らかさも出るという状態になり、毛皮本来の良さがでます。

一般のひとは毛に魅力があるのだと思いがちですが、皮が柔らかいことで、表の毛が本来の輝きを発揮できるのです。皮が硬い状態のミンクなんて、まったく魅力がないのです。

それくらいに皮が大事だということを覚えておいてください。そして、それをコントロールする大きな要素として脂の量を適切に調節するということが大事なこのなのです。

今日も、結局難しい話になりましたが、作る側にとっても、買う側にとっても、とても大事な話だということです。デザインがどんなに良くても、毛皮の本来の魅力が表現されていない商品をいいと錯覚してしまうのは、売る側の勉強不足や、正確で正しい情報を持っていないということに他なりません。

毛皮の魅力が分からないからデザインだけで選ぶしかなくなるとも言えます。一人でも、毛皮の魅力を理解できるひとが増えること期待してこのブログを書いています。

上の写真は、レイヤード(細くカットした毛皮を生地に間隔を開けて縫い付ける技術の総称)のために5mmにカットされたミンクをバラバラにならないように、ボール紙に挟んでおいたら、皮の裏面が密着していたボール紙に今日のテーマの脂が染み移ってしまったものです。これくらい、毛皮の皮の脂は多いという証です。

リフォームをするならば、この無駄な脂を必ず落としてもらってリメイクしてもらうのが本来のリフォームの姿でしょう。手で拭き取るクリーニングや毛皮専門のクリーニングなど意味がありませんから。

長澤祐一

 

にほんブログ村 ファッションブログ オーダーメードへ

PS.ついでに、ミンクレイヤードのボレロの写真も載せておきます。

今日は”毛皮の魅力を撮る”のタイトルで書いてみます。

最近、インスタグラムを始めました。自分が一番アップする写真でこだわっているところは、Furの本質的な魅力が表現できればと思ってアップしてます。

【Instagram】株式会社パショーネ
https://www.instagram.com/passione.co.jp/

Furや毛皮やFurbagとハッシュタグ検索すると、もう見切れないほどの画像が出てきますね。でも、あの小さな携帯の画面で、ハッとするような画像はあまりないように感じます。あくまで私の主観ですが。

毛皮の魅力を知らずに、ただデザインだけで掲載されている写真は腐るほどありますね。毛に癖がつこうが、毛が潰れていようが、お構いなしの写真がたくさんあり、毛皮の奥深い魅力を知っている自分にとっては、とても残念な気がしてなりません。

私はカメラマンの技量などまったくなく、カメラワークの技術もまったくありません。ただ、他人と違いを出せるとしたら、毛皮の奥深く秘められている、毛の柔らかさ、天然だからこそ表現できるその色、毛皮にしか出せない陰影、ここしかないと思って撮っています。

撮影技術が無い分、数枚撮って、自分がハッとするものをアップしています。見ていただくひとに感じるかどうかは二の次なのです。まずは自分がハッとするかどうかで判断しています。パショーネ作品にとって一番大切にしている部分だからです。

毛皮の商品を作る上で、このハッとする毛皮の奥深く潜む魅力を感じて作ることは、私にとって何よりも大事だからです。逆に言うと、その本当の魅力がわからずに作る技術者の作品には毛皮として一番大事なものが欠けていると、いつも思います。

よく、今はデザインの時代だと言うバイヤーや専門家がいますね。それも大事なことです。でも、デザインだけでよければ、大事な毛皮を使う必要なんてないんです。生地でも皮でも何でも良いはずです。例えば、ジュエリーが全てはデザインだと言い張るなら、本物の石じゃなくてもいいはずです。

毛皮も同じなのです。販売の現場にいても、ほんとうによくそんな言葉をよく聞きます。悲しいことですが、そんな言葉を間に受けて作られた毛皮商品に魅力などあるはずがありません。

デザインが大事なことなど、あたりまえのことなのです。だからと言って毛皮の品質がどうでもよいということにはなりません。それなりのお値段を頂いているからです。

話を戻しますが、だからこそ、ひたすらその魅力にこだわるのです。毛皮の毛も皮も、人間の毛や頭皮と同じです。作り方だけではなく、毛そのものを綺麗に仕上げ整える、まるで綺麗な髪のモデルの髪の毛のように仕上げるのです。

もともとのポテンシャルの高い毛皮は、大きく化けるのです。そんなものが表現できればと思い、インスタグラムにも投稿しています。もし、パショーネのインスタグラムを見る機会がありましたら、是非そんな部分も少しでも感じていただければいいかなと思っております。

長澤祐一

 

にほんブログ村 ファッションブログ オーダーメードへ

今日は毛皮のクリーニングで使う、オガについて書いてみます。

毛皮用のオガは何種類もあり、用途によって使い分けをしているようです。私のところでは、スペースの問題もあり、そんなに何種類ももっていませんが、それでも三種類くらいの、細かいものから粗目のものを持っていて、素材によって使い分けています。

写真を見てもらうと、色が少し違うのが解りますね。左の少し赤みのあるのが新しいものです。右のオガは青みがついていますが、これは、使用済みのもののオガです。

oga

新しい原皮を使って作られたコートなどからは、このように色が変化したオガになることはありません。これは、リフォーム品を溶剤で洗い、オガと一緒にドラムがけして乾かしたときにできた、汚れたオガです。 Read More »

今日は前回の記事にあった、有機溶剤で洗ったチンチラコートをロングマフラーに仕上げたビデオです。

二点、リメイクを受けて、一点は少し黄ばみがあり、コートにするのはやめました。内容はビデオを見てもらうしかありませんが、柔らかさと毛の風合いです。

大事なことはビデオで、すべて言いたくないことまで言ってますので、書く事はほとんどないのです。

チンチラは場合によっては、新しいバンドルでも、劣化のあるものが、たまに混じります。そんなこともあり、リフォーム品のほとんどが劣化してると言って過言ではないのです。 Read More »

毛皮のリフォーム前のクリーニング「オガドラムの効果」について書いてみました。毛皮のリフォーム前に、弊社アトリエでは、徹底したクリーニングをしていますが、そのなかで一番大事な脂を抜く作業があります。

脂を抜くことの意味については、何度も書いているので他の記事を読んでもらえればよいのですが、今日はその脂を抜く作業のなかで、ひとつ大きな問題があることを書いてみます。

溶剤を使って皮の脂分を抜く工程は皮、毛、ともに溶剤に漬け込みます。そこで、溶剤に脂を溶け出させるのですが、あまり長時間つけすぎると脂が落ちすぎてしまい皮にとっては危険な状態になります。

しかし、中途半場に溶剤からだしてしまうと、液に溶けだした脂が毛全体についてしまいます。これは専門の業者さんにやっていただいたとしても、起こり得ることです。溶剤から取り出すタイミングや溶剤の量などに、微妙な感覚が必要だということが解ります。 Read More »


Fur_Cleaning

今日は毛皮のリフォーム前のクリーニングについて、もう少し具体的に書いてみます。

上の画像を見てもらうと解りますが、溶剤で丸洗いして出た汚れです。これだけ汚れているということになります。

業者関係者が見て誤解を生まないよう書きますが、回収設備のいるパークと専門的に呼ばれている溶剤ではありません。一般に市販されている溶剤を使っています。もちろん中国でいまだに使われているのではないかと疑われているフッ素(フロン系)溶剤でも、ありません。 Read More »