毛皮のプロの落とし穴(ミンクの毛の長さ)

Fur_passione_8_29_2014

上の写真はパールミンクです。一般的にミンクはアメリカもののショートナップが良い、または高級・・とされています。最近ではデンマークのものもショートナップタイプが増えてきました。私たちもずっとそう思いながらミンクを扱ってきていました。

しかし、それは毛皮のプロとして仕事をしてきている私の大きな間違いだと気づかされつつあります。

薄い色のミンクでは、ヨーロッパ系の刺し毛が長いタイプのミンクも横段などに使うと、とてもボリューム感がでたり、毛先が長い分、毛皮らしさや優しさが、よく表現されることに気づかされます。

濃い色、特にブラックなどは毛の長いものは、刺し毛の面に直角に光があたった場合はギラギラと光ってしまい、決して綺麗とはいえなくなります。しかし、薄い色のミンクの場合には光を強く反射することなく、とても綺麗な柔らかさがでます。

ご年配のお客様は、ブラックグラマ等、毛の短いものが良いものという知識を持たれている方もいらっしゃるようですが、30~40代のお客様には、あまりアメリカものや毛の短いものがいいとかいう感覚がなく、より毛皮らしい表現ができる毛質を求められる傾向もあり、特にショートナップにこだわらない傾向があるようです。

もちろんショートナップが悪いということではありません。おそらく好み違いなのでしょう。そして、毛の長いぶん、イメージとして毛皮らしさや柔らかさ、ボリューム感等を感じられるのかもしれません。

最近見た、フェンディーなども、ヨーロッパ系の刺し毛の長いタイプのミンクを使っていることにも、なにがしか通じるものがあるのかもしれません。私の尊敬する原皮屋さんの社長は、ヨーロッパ系のブランドは、もともと毛の長いミンクを好む、、、とも聞いています。

きっと、新しい世代に向けた、私の新しい認識が必要なのかもしれません。

写真はヨーロッパのパールミンクです。刺し毛はアメリカ産よりも長いのですが、見る角度によってはショートナップを超える魅力があります。もともとパールミンクは色が合わないといわれています。ブルーアイリスもそうですが、しかし、400枚くらい買えばさすがに綺麗に見事に色の仕訳ができます。

次回お見せいたしますが、それはどのバンドルをとってもぴったり合っています。そして、色合いが揃うと、私がいつもいう、毛皮の魔力といえるほどの力強さが生まれます。

毛皮を一本で見るよりも、たくさんで見たほうが良いのですが、さらに色がピッタリそろうと、さらにインパクトが強くなります。いつかバンドルの写真を撮ってみますね。綺麗に撮れるかどうかわかりませんが。

今日は、この写真でパールミンクの柔らかさを感じてみてください。横段にしてボレロなど、絶対に素敵です!

長澤祐一

 

にほんブログ村 ファッションブログ オーダーメードへ