ムートンの黄ばみとり
今日はムートンのフード付きジレの黄ばみ取りの依頼です。
しかし、この黄ばみには大きな疑問があります。
ご依頼者からも、購入してわずかな期間で普通に保管していて画像のように極端に黄ばみが出てしまったそうです。購入先は国内でも一番、二番を争う百貨店のブランドショップです。
お客様からは原因がまったくわからないとのことなのです。しかし、ブランド側や百貨店側からは、この黄ばみの責任は負えないということらしいのです。
私たちも国内一番と言われる百貨店で20年やったことがありますが、原因をしっかり突き止めようともせず、適当に責任逃れをするだけで、百貨店ではとてもありがちなことなのです。
今回の黄ばみは、通常の年数が経って起こる黄ばみではないのです。黄ばみとは本来光に当たったり毛が空気中に触れたりして黄ばみがおきますが、今回のムートンジレは空気や光が一切あたらないポケット口の内側にまで強い黄ばみがついていたのです。
これはあきらかに購入されたお客様の無理な着用によって発生した黄ばみではないことがわかります。
おそらく、ムートンの鞣しや仕上げに使われた薬品が他のなにかに反応して発生した黄ばみであることが推測できます。
いつも黄ばみ取りには苦労しますが、今回も大変時間をかけて処理をして、なんとか酷い黄ばみをとることは出来ました。しかし、もともとの原因がわからないので、不安は残るのです。
販売元がプラダというビッグブランドですが、購入側が明確な原因をもとのコートにあったことを証明できないかぎり、プラダ側が認めることはありません。百貨店もブランドもそんなものなのです。
今回一度はほぼ、元にもどすことができましたが、もともと原因がつかめていないので、いつ再発するかわからないのです。できれば、なんとかこのままの状態で着用していただけるとよいのですが。
画像ではすべてをお見せすることはできませんが、少しだけ元の黄ばみの状態と、黄ばみをとった状態の画像を載せておきます。
一度みてください。通常の年数が経つことでの黄ばみは肩周辺の光が当たったことでの黄ばみですが、今回のムートンジレは、どう見ても通常の黄ばみではないのです。

上の画像は左のポケット口です。ここは普段は身頃側に隠れていて絶対に黄ばむところではありません。
ところがすごい黄ばみなのです。これをみても百貨店側やブランド側は非が自分たちにあることを認めなかったようです。

上の画像が身頃全体に黄ばみが発生した状態です。
下の画像が処理済の画像です。

これでなんとか恥ずかしくなく着用できる状態になったかと思います。
色は、人の感じ方によって差がでますので黄ばみとりの作業はとても難しいと感じます。
ですから、目の錯覚を利用して着用できる範囲まで戻すことしかできません。ここが限界点なのです。
長澤