チンチラマフラーのクリーニング

今日もクリーニングについての投稿ですが、一般的なものではありません。

以前、毛皮の編み込み(ヤーン)タイプのクリーニングを書いたことがあります。https://www.passione.co.jp/blog/yarn-muffler-cleaning/  今日は、この続きを書いて見ます。

クリーニング前

 


ヤーン(編み込み)タイプにはセーブルやチンチラの大判のショールやストールがあります。これは、どちらかというと首に直接触れずに、和服のように少し抜き気味に着用することが多いので、汚れ方としてはかなり軽いか、もしくはほとんど汚れないというケースが多いのです。しかし、細めのマフラーになると首に直に巻き付けることが多いので、チンチラにしてもセーブルにしても、皮脂がべったりと付いてしまうことがあります。

写真は以前使った写真ですがセーブルの編み込みタイプが皮脂がべったりついてしまったものです。この手のクリーニングはアトリエで何度もやっているにも拘わらず、小さなマフラーのクリーニング記事を掲載するつもりがなかったので写真がないのです。すみません。チンチラのクリーニング前と後があればよかったのですが。よく考えれば、こんな皮脂の汚れで困っていらっしゃるひとがたくさんいるにも拘わらず、、、なのですが、当時はお取引先の受注品の作業に追われっぱなしで、この手のクリーニングで毛皮ファンの役に立とうと考えておりませんでした。

以前の、取引先(百貨店)ではリスクが超高いものは万が一があるとクレームもすごく、私一人の問題ではなくなってしまうのでとてもビジネスにはならず、かといって、百貨店に出店していたこともあり、このブログでオープンに仕事としてアピールし価格を表に出すこともできなかったので、百貨店の本当に親しいお客様のものくらいしかクリーニングをしていませんでした。

お客様のものをやるという、その理由のひとつに販売した時期がわかるということでした。劣化がするような状態ではないことが分かっているからです。それと親しいお客様であればチンチラやヤーンの繊細さ故の弱さがあることもご理解いただき、そのうえでのクリーニングになりますので、繊細な作業にはなりますが、ある程度の安心感をもったなかでの作業でした。

しかし、やっと時間もでき、さらにこのブログで、価格を提示してもよい環境にもなりましたので、今後は少しずつ自分のところでしか出来ないようなクリーニングやお直しも受けようと思います。

まず最初に、チンチラは購入後どれくらい経過しているか、または保管の状態はどうであったのか?これによっても劣化の度合いが違います。ヤーンでも皮脂が皮に染み込んでしまって、それが原因で劣化が進んでしまっている等、様々な状況が考えられます。

最初にお聞きすることは購入から何年経過しているのか?さらに写真を撮っていただき見せていただく必要があります。

それ以外にも確認事項があります。クリップやカギホックがついていると、ヤーンはドラムに入れてクリーニングしたときにヤーンの細い毛皮を引っ掛けてしまうので一度取り外したりと、ものによって手間が全く違うのです。さらに表から見て大丈夫と思っても実際に現物を見ると皮がすでに劣化していてクリーニングの意味がなかったりもします。

そのため、チンチラにつきましては、どんなものでも一度現物確認が必要になります。それによって価格が決定します。一応の目安としては状態がよく留め具もついていないものでチョーカーのように短いもので6,600円プラス送料からになります。大き目のものや留め具を中を開いて取り外さなければならないものは11,000円プラス送料くらいか、それを超える場合もあります。さらにストール系になると、古いものは裏地も替えないといけないという場合が多く価格は都度現物を見てということになります。おおよそは見積もりがでますが、ここには書きません。遠慮なくお問い合わせくださいませ。すべては現物確認をしてからになります。

価格につきましては、よくある、 6,000~ と単純な表記もありますが、この手のもののほとんどが6,000円で収まることなどなく意味があるのだろうかと思ってしまい、私はできません。少し細かいですが、様々な条件を聞いた上で判断したいと考えています。

よくネットにもチンチラのクリーニングがYouTube等でありますが、ひとによってはパウダーのようなものやコーンスターチのパウダー等を使います。自分もこれをやりましたが、皮脂が完璧にはとれないのと、付けたパウダーが完全に取れないという、結果としては中途半端なものでした。さらに業者さんがやるパウダークリーニングもありますが、パウダークリーニングで使う有機溶剤の量では落ちないのと、クリーニングドラムに入れるならば留め具は最低でも外すか保護する必要があるのと劣化に業者さんが気付くことが出来るかどうかという問題もあり、安易に受けて適当な仕事をするか、怖がって全てを断るかのどちらかになる気がいたします。

それくらいチンチラは難しいのです。例えば新品で買って2~3年で皮脂でべたべたになった場合は費用を少しかけてもクリーニングすることで2~3年は使え、結果的に5~6年使えるというパターンが一番理想的と思います。あとは購入価格や品質によって、さらにクリーニングをして長く使うかどうかの判断になろうかと思います。もちろん、ヘビーに使えば一年でべたべたになりますから、毎年クリーニングが必要になります。クリーニング費用も掛かりますが、その分たくさん使用するわけであきらめもつきます。お客様によってはスカーフ等を上手く使い地肌に直接付かないような使い方をされていらっしゃるケースも見受けられます。

写真上が、皮脂でべたべたになったセーブルの編み込みマフラーです。下が綺麗にクリーニングされた状態です。上の写真の状態で使う気はしませんよね。

何かございましたら、遠慮なくお問い合わせくださいませ。

長澤祐一