毛皮用ミシンのテクニック 

2015年5月2日付けの当ブログ記事“フォックス (FOX) のボリューム感を減らすテクニック”の最後に書いた『パショーネコンセプトのなかに”あたりまえのことをあたりまえにこなす とあります。口でテクニックを語るひとはたくさんいますが、実際に正確に縫える人はひと握りだということも最後に付け加えておきたいところです』の箇所が少し誤解を招きそうな気がしましたので、”毛皮用ミシンのテクニック”の観点から補足を書いてみようと思います。

毛皮用ミシンのテクニック

毛皮用のミシンのテクニックというと、スピードとかを競うような部分もあり早く縫えるひとが優秀と、とられがちなところがありますが、実際にはスピードはさほど問題ではないと私は思います。

大事なことは、いかに綺麗に毛を入れて素材に応じて一定の厚さで、糸調子も都度パーフェクトな状態で縫うことができるかということだろうと考えます。

速さは、実際には縫いのバランスを欠いたり、あってはいけない縫いハズレ(パンク)を起こしたりと、失敗を生むリスクが高くなり、最終的には丁寧に縫ったほうが結果が勝ることはやってみると解ります。

正確に縫える人はひと握りだということ・・

 

前の記事で、実際に正確に縫える人はひと握りだということ・・ ということに少し触れてみましょう。ここで私のいう基準とは、ミンクやセーブルと同じ基準でフォックスを縫えるかどうか・・ということです。そういう意味で前回のチェス盤のようにレザーが入ったシルバーフォックスの縫い上がりをみてもらえば解ってもらえるかもしれませんね。

ちなみに、私が一番難しいと思うのはセーブルではなく、アメリカンミンクの極端なショートナップのものが、仕上がりと縫い目の綺麗さ両面からみて一番難しいと考えます。セーブルは毛の長さや色を合わせるというところでは難しいのですが、以外に薄く均一にさえ縫えれば特に問題なく縫えてしまいます。セーブルの難しさは、またいずれ書きましょう。

フォックスは毛も長く、多少、厚く縫って毛の根元を縫い込んでも、まったく解りません。だからといって、厚く、適当に縫っていいというものでもなく、特に、フォックスのお尻に近い部分は毛がフェルト気味になっていることが多く、最初の皮張りの段階から、どのくらいの固定剤を使うかを最終の仕上がりを頭にいれながら考えなければなりません。

シルバーフォックスのように皮の薄めの素材のときに、そのまま水張りしてしまうと、柔らか過ぎて綺麗に縫えない時もあります。1cmカットくらいになると柔らか過ぎて、フェルト気味の毛を離そうとするだけで皮は伸びてしまいますので、そうならない程度の固定剤は必要になります。

ミシンワークも、毛をしっかり丁寧に入れて、セーブルやミンクのように浅く一定の厚さで縫うことが大事ですが、、フォックスのフェルトになった毛を入れようとすると、皮も一緒に、めり込んでしまい、毛を入れて皮の淵面を綺麗に起こして縫うのは、とても難しく高度なテクニックが必要になります。

フォックスだから、毛皮の表面からみて目立たないから適当に縫う、、、では、やはり何を縫っても、そのいい加減さが、他の局面で、どうしても出てしまいます。そんなこともあり、私はフォックスもミンクやセーブルと同じ基準で常に縫います。結果として、柔らかくしなやかな、毛皮本来の魅力が得られると信じています。

あたり前の事(技術)を
あたり前にこなし

厳選した素材の持つ魅力を
最大限に生かし
最上級の着ごこちを追求する・・・

身につけるたびに心躍る毛皮を
最高のクチュール技術で作り上げます。

PASSIONE http://www.passione.co.jp/

ひとつひとつ手を抜かずに、頭で描いたとおりにやってみることができるテクニックとは、そう簡単ではありません。実際に正確に縫える人はひと握りだと書いた意味もそこにあると私は信じます。

この業界に若い技術者が少しでも増えることを期待し、その方たちに”速さ”に偏らないテクニックの大事さが伝われば嬉しいです。

長澤祐一

フォックス (FOX) のボリューム感を減らすテクニック

にほんブログ村 ファッションブログ オーダーメードへ
ファッションブログランキング