ぴか蔵で毛皮用ナイフの刃を研ぐ


ナイフ

今日は毛皮用ナイフのことについて書いてみます。

先日「ミシン針の先を研ぐ」ことを書きましたが、毛皮のナイフには昔の職人さんたちが使っていた、畳包丁のようなものから、写真のように刃が取り替えられるものといくつかあります。

包丁は私も以前使いましたが、研ぐのに手間がかかりすぎます。細かいところも切りずらいです。

上の画像は長方形の刃を半分に割って使うタイプのナイフです。私は付属屋さんからドイツ(多分)製のナイフをいただいています。今日も、ただの紹介で終わるのでは、このブログの意味がありませんので、隠しネタを少し書いてみます。

このナイフの刃、特にドイツのものは本当によく切れます。危ないほど切れます。

ただ、刃の持ちが私のなかでは若干いまひとつなのです。でも、付属屋さんの名誉のためにいっておきますが、この刃は抜群に切れ味が長持ちするほうです。以前、何度も国産品を使いました。それはもう、一度刃を毛皮に入れたら、もう切れない・・・というようなことが何度もありました。

それ以降、私は日本製は使っていません。もしかしたら、どこかに良い刃があるのかもしれませんね。日本製は一般的には良いものの代名詞ですから。

でも、このナイフの刃に限ってはドイツ製が素晴らしく切れます。それでも切るものが粘りのある皮だったり厚かったりすると、数回切るだけで最初の切れ味はなくなります。

それで、私はいろんなものを買ってみて刃を研ぐことをやってみました。セラミック砥石や、ハサミを研ぐ本格的なものやダイヤモンドやすりの一番細かいものや、小さなグラインダーでバフをかけたりと、そうとういろいろ試しました。昨年でしたか「ピカ蔵」というのをテレビショッピングでみて、これはと思い、すぐに買って試しました。

pikazo

もともと、ぴか蔵の用途は忘れてしまいましたが、多分、ガラス等のくもりや油膜を落とすものだったと思います。

そして、使ってみました。なんと、これが素晴らしい切れ味を復活させるのです。この”ぴか蔵”には二種類ついてきて、一つはチューブになっていて、練り歯磨きみたいななかにダイヤモンドの粉が入っているタイプで、もう一つは小さなスティック状になっているものです。

わたしは、この7cmくらいのスティック形状のものがテレビで見た時に、絶対に使えそうだと思い、届くまでワクワクしながら待っていました。

届いて、すぐに使ってみると、もう、今までどうやっても難しかった、切れ味が可能になったのです。

誤解を生まないように書きますが、ナイフの最初の切れ味がパーフェクトに戻るのではありません。そして、最初の切れ味が常に良いとも限りません。新しい刃は切れすぎて、毛も切りやすいのです。しかし、よく床屋さんなどで、皮にこすり付けてカミソリの刃を研いでますが、あんなレベルでは毛皮の切りにくい皮は切れません。

以前はグラインダーのバフを使っていました。研ぐための粉を使いながら、でも、バフだと切れるようにはなるのですが、刃の表面がどんどん、ツルツルになっていって、徐々に研いでも切れ味が戻らなくなります。毛皮を切る刃の表面は手で、触って滑らすとツルッと滑ったらあまり切れない刃ということになります。

先がとがっていて、尚且つ、わずかなのですが指を切れない程度に刃の上を滑らすと、少しだけザラッとした状態が最高の状態なのです。

粘りのある皮や柔らかい皮は、薄くても、滑る刃では、綺麗に切れません。逆に、表面がざらついていたほうが、皮によく食いつき切れるのです。

この”ぴか蔵”のスティックタイプは硬めの粘土みたいなものにダイヤモンドの粉が混ざっていて、これで研ぐと適度に刃の表面にざらつきがでます。これが、伸びる皮や柔らかい皮の逃がさず切れる要因なのです。

こんなこと書いてしまうと、尊敬する、付属屋さんの社長に怒られてしまうかもしれません。でも、きっと、こんなこと実践するひとはいないはず。そう期待しながら、替刃が売れなくなるなんてことのないことを祈ろうと思います。

私の場合は、刃のお金がもったいないのではないのです。最初の切れ味から8~9割くらいの切れ味を常に維持したいのです。

最後に、もうひとつ、最近は、ほとんどの職人さんがドイツのナイロンの糸を使うようになりました。この糸は、ナイフの刃の状態が悪くなってくると、糸の部分で刃が滑ってしまい、縫い目のある皮は切りずらいのです。刃の表面にざらつきがあると、この強い糸も、のこぎりで切られるように、簡単に切れてカットミスも少なくなります。

私は見るもの聞くもの、全て一度は仕事のフィルターを必ず通します。「ぴか蔵」は、そんななかで、ひっかかり、見事に仕事にマッチしてくれた道具のひとつでした。

長澤祐一

 

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