ロシアンブロードテールと島精機PGM(CAD)

ロシアンブロードテールという素材を接ぎ合せる作業について書いてみます。まずは下の写真を見て下さい。

1 パターン

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2 ロシブロの縫い

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3 袖の縫い上がり

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4 袖の仕上がり

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通称ロシブロと言われるこのロシアンブロードテール素材は、附に特徴があります。その附を利用して、原皮を接いでいくのですが、一般的には、手縫いの一着分になったプレートとして売られています。

近年、そのプレートが高額でなおかつ、歩留まりが悪いこともあって、スキンをミシンで縫って仕上がっている商品も多く見られます。

当社でも着分のベージュのプレートもストックとして持っていますが、スキンで仕入れている在庫も、黒、グレーとあり、今日はそのなかでグレーのロシブロを使ってコートの袖のパーツを接ぎ合せる方法をみてもらおうと思います。

アトリエではCADを使って、パーツを原皮にあわせて区切り、接ぎ合せる位置をランダムな波型でカットしています。

最近の商品のなかには、簡単に直線でカットして縫い合わされているものもありますが、弊社アトリエでは、あくまでも手縫い風ということにこだわり波型にカットして縫い合わせています。

もともと一般的な着分プレートは、聞いたところによるとイスラエルで手縫いされているようで、プレートの裏側によく、紙テープが小さく残っていることがありますが、おそらく、スキンを一枚ずつ大きな接着紙の上に色と附を合わせながら張り付けて、スキンどうしを波型にカットして合わせ、接着紙に付いている状態で、手縫いしてるのだと思います。とても気の遠くなるような作業です。

そんなことでコストも高くなることもあり、最近ではスキンから作られるコートのほうが多いのかもしれません。

写真でみるように波型でカット、縫い合わせしたものは附が自然に混ざり合います。直線で縫うよりもひと手間かかるのですが、このほうが綺麗にみえるので、アトリエでは手縫い風ということを意識して、大きい波型や小さい波型をパターンで準備し、原皮に合わせて使っています。

こんなところにもパーツ化できる島精機のPGM(CAD)はメリットがあり、助かっています。

以前、書いた記事のコートも、同じ手法で作られています。ただ、私が作るコートで他と違うところがあるとすれば、コート左右の原皮をカットしているラインが対象で作られているということです。これによって、自然の附で一見ランダムに見えるのですが、左右対称のラインでカットすることで安定感を持たせることができます。

ロシアンブロードテールのMEN’Sロングコート http://wp.me/p2t2t1-8q

ロシブロ、是非店頭でも、ご覧になってください。

長澤祐一

 

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