既成の工法の見直し

この時期になると作り出して納めるまでの期間がどんどん短くなります。ものによっては数日で作り上げることもあります。こう書くと手を抜いているように思われがちですが、それを承知で書いてみます。

私たちは常日頃から仕上がりと効率を両立させることを考えています。このことは多分どの技術者も同じだとおもいます。しかし、私たち技術者の考えのなかには以外に既成概念が強くあり、こうしないといけない、こうすべきだ、こうあるべきだと思うことがたくさんあります。

そして常日頃から、今の作り方から一割ニ割をどうやって効率を上げていこうかと、多分、多くの技術者は考えていると思います。それは材料費をたたいたり値切ったりせずに確実に利益につながるからです。しかし、一割ニ割というと、以外に既存の工法や段取りを大きく替えてみるということには至りません。その結果、一割すら達成することが出来ないことが多いものです。

ところが、通常の半分の日数、つまり五割短縮しなければならないとなったとき、、 以外に一割ニ割の効率を上げることよりも成功する確率が高いことがあります。もちろん毎回ではありません。

その理由は、一割ニ割というと、以外に既存の作り方を残したままで考えようとします。しかし、さすがに半分に短縮しなければ期日に間に合わないというようなときには、これまでの方法を大きく変えた作り方が要求され、これまでにない発想が生まれます。そして、今までは、これは絶対に外せないと思ってた行程が、大きな見直しによっていらないものとなってしまうことがあり、大きな改善につながることが多いのもです。

普段から頭を空っぽにして考えろと思うのですが時間にゆとりのあるときには、どうしても既存の工法から大きく外れた作り方は出来ないもので、この時期に、火事場の馬鹿力ではないのでしょうが、以外に新しい作り方が生まれます。そして、その仕上がりも、手を抜いて作ったなどとは言えない程、以前よりも綺麗に仕上がることが多く、手をかけ過ぎ、いじり回すことの弊害に気づかされます。

このブログでも毛を綺麗に仕上げることを度々書いていますが、ついもっともっとと思いながらアイロンをかけ過ぎることもあります。しかし、アイロンもあて過ぎると必ずどこかを基点にして毛のキューティクル等が壊れ始め毛全体が痛み始めます。その頂点でぴたっとやめることが出来るかどうかが鍵になることもあり、手のかけ過ぎを思い知らされることが多いのです。

昨日作ったアーミンもまさにその既存の工法の見直しの典型的なものでした。

長澤

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