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Fur_Cleaning

今日は毛皮のリフォーム前のクリーニングについて、もう少し具体的に書いてみます。

上の画像を見てもらうと解りますが、溶剤で丸洗いして出た汚れです。これだけ汚れているということになります。

業者関係者が見て誤解を生まないよう書きますが、回収設備のいるパークと専門的に呼ばれている溶剤ではありません。一般に市販されている溶剤を使っています。もちろん中国でいまだに使われているのではないかと疑われているフッ素(フロン系)溶剤でも、ありません。

脂を溶かす溶剤は市販されている中にもたくさんあります。要は毛皮屋さんが自分たちの知識や既成概念のなかで知っているものを通常は使っているだけで、世の中には、その業種に一般的に使われてなくて実際にはとても有効に使えるものがたくさんあります。

私はギターを弾きますがフィンガーイーズという弦やフレットに吹き付けてすべりをよくするスプレーがありますが、あれも私たちが良くミシンや糸に吹きかけるシリコンスプレーと同じ成分です。ただ、入れ物が変わって業種が変わっただけで高く売られていたりもします。

または、専門業者から毛皮用艶出し剤として買うもののなかに、ほぼ、ひとが髪の毛に使うものと同じものがあります。もちろんマーケットが大きい分、人が使う整髪料のほうが、とても安く手に入ります。当然ひとが使うものの方が安全性や品質も高いのです。

脂を抜く溶剤もそういう意味では同じで、毛皮業界を離れて考えればいろいろあり、クリーニング店でつかうターペンとかいう石油系の溶剤も毛皮の脂がよく落ちます。

ただ、石油の匂いが強く、落ちるまでに時間がかかるのと、回収装置が多分必要なのかもしれませんので私たちには使えません。

このように、私もまだまだすべてを試した訳ではないですが、気になったものはできるだけ試します。

話がそれましたが、今回の溶剤は当然、ほぼ、無色透明です。しかし、これだけ黒く濁るのです。さらに、脂分もこの溶剤に溶け出しています。業者が、この溶剤を使わない理由は、効果がパークのほうが強いのでしょう。

以前、フロンが使えていた時代もあり、その当時はもっと効力の強いフロンを使っていました。要は効率がいいのです。しかし、私が使う場合には脂の落ちる効果はパークよりも少し弱めで良いのです。

完全に脂を取りきってしまうと、柔らかさや軽さを通り越して繊維のすべりが悪くなり皮が切れやすくなってしまいますから。

それからもうひとつ、なめしの時に使う、脂と私たちや染色屋さんがつかう柔軟剤はまったく別物ですが、この柔軟剤にも二つの種類があり、シリコン系のサラッとしたタイプ、そして、脂っぽい、ベタッとしたタイプがあります。洗濯用のソフターも同じです。二種類あります。

この柔軟剤もシリコン系のものであれば良いのですが、脂系のものは、毛皮を触った時の感触が柔らかいのですが、重い感じがします。

リフォーム前にどういう加工がなされ、どのタイプの柔軟剤が使われたかは触ると、ほぼ解りますが、この柔軟剤も8割くらいは落としたいのです。

その理由は、ソフターが水に溶けることは、すべての人が知っていることだと思いますが、いわゆるこの界面活性剤が毛皮の場合湿気を呼ぶのです。日本は特に湿度が高いので、空気中の湿気を毛皮の皮に柔軟剤がたくさん入っていると、どんどん吸ってしまうのです。

そして、その水分が皮の脂分と混ざり水が酸化を促進させ、その結果、劣化が進みます。特に染色のしていないナチュラルの毛皮は水分は大敵なのです。チンチラの皮が脂分が多いため劣化が早いものこのためです。

毛皮のリフォーム品のなかでたまに、とても良い状態の毛皮があります。先日書いた、ビスカルディのロングコートなどは皮の状態がとてもよく、年数が経っていてもまったく劣化の兆候さえ見えませんでした。それほど、皮の状態というのが毛皮の毛以上に大切な問題なのです。

そして、皮に柔軟剤が染み込んでいるということは、毛にも柔軟剤が付いていて、べたつきが生じます。これも綺麗に取り除くことが望ましいのです。毛捌きがまったく違います。私たちが三日、頭を洗わなければ大変なことになりますね。

毛皮の毛は何年も洗わないのです。綺麗な毛皮を着ながら、汚い毛を纏うというような状態になり、とても夢のある商材とはいえなくなります。

しかし、毛皮をリフォームする時点で、これだけの処理をすれば、皮と毛は、ほぼ、一番最初の状態に戻すことができます。

ここから初めて、作りを始めることになります。そして、加工段階でまた汚れがつきますので、最後に、当たり前のことですが、オガに溶剤を少しだけ混ぜて、毛の汚れを取り、最後に付属をつけ裏地を張り、仕上がりになります。

ただし、皮によってはドライが難しいものもあり、そこは経験によって判断するしかないのです。ここまでやるクリーニングはリスクがとても高く慎重な判断が都度求められますが、ほんとの意味で毛皮をリフォームするというのであれば、私たちにとっては、この作業は避けては通れないのです。

写真の毛皮は強化のかかっていないナチュラルのダークミンクです。加工方法はレットアウトされています。ですから、強化の色が落ちた、または染色した色が落ちたということではありません。毛皮の間に細い5mmのレザーがはさまれていますが、このレザーからこれだけの濁る色が落ちることはありません。毛にも目に見えない汚れがたくさんついていることが解ります。

長澤祐一

 

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