毛皮の毛の癖とり 最新版

毎年、毛皮を着る時期になると下のリンクにアクセスがあります。

毛皮の毛の癖をとる

毎年、新しい記事を書こうと思いながら書けていませんでした。

今年は書いて見ます。

本来はYouTubeなんかでやれば良いんですが、ビデオを撮るほどでもないので、ここに書いて見ます。

 

最近はシャツなどのしわ取りアイロン、例えばハンディタイプの小さなものや、丸いブラシのようなものからスチームが出るタイプがたくさん販売されていますね。

軽い毛の癖は、これですぐに取れます。仮にこの方法で取れない毛の癖は、染色や毛皮元々の毛の問題によって出たものですから、弱いスチーマーでは取れません。

ひとつ注意しなければならないのは、毛よりも皮にスチームが入ることで、クロム鞣しがかかってないナチュラルの毛皮素材はスチームが強くあたると、ギュッっと縮みます。場合によってはニカワのように硬くなって縮んでしまいます。危険なのはこれだけです。

ただ、意外に知らずに、こうなってしまうケースが多いのです。

そうならない方法は一つです。毛皮から3~5cは離して蒸気をかけることです。フォックスのように毛の長いものは、皮に蒸気が届くまでの距離がありますから良いですが、ミンクのように毛の短いものはスチームが強く勢いよく出ている場合は皮にすぐスチームが届いてしまい皮を縮ましてしまう可能性がありますから注意が必要です。

それともう一つ、最大限に注意しないといけないことを書きます。

毛皮の例えばマフラー等であれば、クリップやカギホック等の留め具がついていますね。アイロンスチーマーを近づけ過ぎて、うっかり留め具にぶつかってしまう場合があります。この時に毛皮を留め具で引きずったままスチームを書けてしまうことがあります。こうすることで、スチームが同じ場所にかかってしまいます。一瞬でも例えば1~2秒くらいでも、同じ場所にスチームがかかると、ナチュラル素材の毛皮は簡単に縮みます。これだけは厳禁です。

上にリンクを貼った当時は普通のアイロンが主流だったので、別の方法を記載していますが、今は簡易的なスチーマーがありますのでそれをお勧めします。

ただし、今書いた、留め具で毛皮をうっかり引きずるようになってしまい、スチームが一箇所に集中されることだけは絶対にしないでください。

これをやったクリーニング屋さんや個人のお客さまがたくさんいらっしゃいます。でも、本人は無意識なのです。毛があるので縮んだことが分からないケースがたくさんあり、本人に聞くと、そんなことはやってないと言います。しかし、縮む場所の多くは留め具付近が多く、それしか考えられないのです。是非、気を付けてください。

ナチュラル素材の毛皮とは、例えば染色されていない毛皮素材のことです。ただし、黒は場合によってはクロム鞣しがされてない通常鞣しの強化ブラックもありますから、ナチュラル素材の毛皮を判断するよりは、全てが危険だと思って、スチームを離し気味にすることが大事です。

縮んだ場合、一般的にはクリーニング屋さんでもどこでも治りません。

価値のある大切なものをやってしまった場合には、元に戻せる可能性もありますので、迷わずお問い合わせください。他所では絶対に修復できませんから。

ただ、そうなる前に、スチームと毛皮の距離は出来るだけ開けてください。

ついでにですが、裏側の裏地側もスチームは厳禁です。裏地はあってもスチームは簡単に皮に届いてしまいます。結構、クリーニング屋さんが、このやり方でうっかりでしょうが、皮を縮ませてしまって私のところに来ることがあります。

スチームをかける速さは、よくシャツの癖とりのように、毛に接触した状態で、ゆっくりなんてのは絶対にだめですから、そこだけは気を付けてください。スピードはシャツの癖とりのCMビデオなどがよくありますが、あれの3~4倍くらいは速いスピードです。

手にスチームをかけても火傷しないようなスピードと距離です。

機器によってスチーマーの量が違いますので、最初は離し気味にスタートしてみて毛の癖の取れ具合を見ながら距離を近づけてください。 スチームをかける前と後には毎回櫛やブラシで毛を真っすぐにするようにするとより早く取れます。ペット用のブラシも使えます。

いろいろと書きましたが、これは急ぎの場合の方法です。

着る前に数日時間があるならば、ハンガーにかけておくと軽い癖は自然に空気中の湿気を吸収して取れていきますので無理にスチームをかけない方がベターです。

 

今日は以上です。ビデオでも撮れればいいんですが、時間がなくて、ごめんなさい。少しでもお役に立てばです。   長澤祐一