毛皮リフォームの本当の意味と価値

毛皮のリフォームで検索するとたくさんのリフォーム専門業者さんがトップページに出てきますね。私のところは以前は4ページ目くらいに出てきましたが、最近はリフォームの投稿もないため、何ページめくっても出てきません。

出てくるのは私が知っている業者さんが一ページ目に何件かでてきて、あとはほとんど知りません。それくらい様々な業者さんがリフォームをテーマにネットでアピールしています。

それはそれでいいんです。ただ残念なのは、ほとんどの業者さんが既成の商品をつくらずにリフォームしかやっていないことです。なんとなく、ただのお直し屋さんオンパレードになっていませんか?正規の商品を作ることをあきらめたその腕に大事なリフォームを託して良いのだろうかと悩みます。もちろん、リフォームは決して簡単な仕事ではありません。

 

今現在行われているリフォームとは一般的には、よく言われる表紙を変えて中身が変わらないというものがほとんどです。でもそれで良いんですか?だって皮も劣化進行中なのですよ。そのまま放置したら、どんどん劣化が進行するのです。もちろん、染色加工のしてあるクロム鞣しが施されているものは劣化しにくいですが、20年以上前の時代のものでコートで染色加工をしてあるものは少なく、ほとんどのものがドレッシングという毛皮を柔らかく仕上げるための鞣しがほとんどで、劣化しやすいものがほとんどです。黒でも鞣し屋さんで酸化染料で加工されたものは、やはり劣化は進みます。

 

それでも、知ってか知らずかは分かりませんがそんなことには、全く関知せずに形だけ変えるリフォームがほとんどなのです。一部には私のこのブログで気が付きリメイク前にクリーニングをと謳っているところもありますが、それでも、通常の業者がやるパウダークリーニングでしかやっていません。通常のパウダークリーニングで使う有機溶剤やオガの量では毛皮の皮から適切に劣化の原因になりやすい脂を抜くことはできません。

さらに自分でやったこともないのにパウダークリーニングが良いと何故言えるのかが解りません。毛皮のクリーニングは結果が目で見て解りにくく、様々な経験をしてやっとこれだと辿り着けるものです。クリーニングをホームページやブログに記載するならば、自身でそこまでやってから書くべきです。

以前からも、このブログで書いていますが、皮の劣化を止めるクリーニングをするタイミングがあるとすれば、リフォームをするこのタイミングしかないのです。

 

その一番大事なタイミングを知識経験がないことを良いことに、自分の都合で見た目のデザインだけを替えて、それをリフォームだと言い張るのは正直、どうなんだろうかと感じます。

本来、毛も、皮の状態も良くなったのであれば店頭の売り場に出してもおかしくないものが出来るはずです。

 

しかし、一般的には、これはリフォームだから、一般の既製品には劣りますという言い訳が、よく聞こえます。

パショーネのリフォーム品のレベルは、絶対ではありませんが、私が目指すものは、常に店頭で販売できるレベルにするということです。出来るかどうかは問題ではなく、そう思って努力や工夫をするところに意味があり、毛皮の状態が良いものは本当に店頭にだせるようなものになることがあります。

 

ただ、表表紙だけを替えてリメイクしましたという、よくある他社のリメイクとは違います。本気で店頭に並べ新品同様に扱ってもらえる仕上がりをリメイク後の状態と考えています。ここで書いてるだけではないですから。本気でそうなるよう、努力しています。良く考えれば当たり前のことです。低い技術で作られたコートをパショーネがクリーニングをしてリメイクするのです。最初より綺麗になるのは私にとっては当たり前のことです。また、かなり危ないことを書いてますが、本気で店頭に置ける品質のものを常に目指します。

例えばバッグやマフラー等の小物を作るときでも、必ずコートをばらしたときにクリーニングをします。古いコートにはダニや匂いが付いているものがほとんどです。小物だからと言って手を抜くことはありません。

 

本当に形だけのリフォームが多いことに残念な気持ちになることが多いのです。

 

最後に記載しますが、パショーネはリフォーム専門業者ではありません。メインの仕事は常に新作も作り、オーダーも受けています。そしてお客様のクリーニングも受けています。そのパショーネがリフォームをするというところに価値と意味があるのです。

 

長澤祐一