真逆のこと

先日、テレビショッピングでチンチラとセーブルのヤーンマフラーを激安で売っているのを見ました。それはそれで良いのです。確かに安いです。

しかし、最後に言った言葉がまずいです。

チンチラは傷が一番抜きにくい、、、というか、傷物はそのままでは使えず、半裁の使い方にしてその部分を捨てるか、またはポンポンなどの小さなパーツにして使うかしか出来ず、それ以外で唯一出来るとすればヤーン(編み込み)なのです。ミンクやセーブルは同じ高額素材でも傷は、技術があれば綺麗に抜くことができます。しかし、チンチラは私でも難しいです。傷をぬいたチンチラをむくの状態で使うのは、品質を気にしなければ良いのですが、まともなものを作ろうとすれば、傷のあるチンチラの使用は無理です。もちろん傷のないチンチラを使っても綺麗に作るのは難しいのですが。

そんなことはないという技術者がいれば、その技術者が作るものはまともなものではないはずです。それくらいチンチラに傷があるのはまずいのです。

裏を返せば傷のあるチンチラは二束三文になるということです。私は買いませんが買うとしても当然半額以下以上の価格です。いやそれでも買わないかもしれません。それくらい傷のあるチンチラは使い物にならなず価値がないのです。もちろん、傷のあるチンチラを無駄にしないという発想は大事です。しかし、だからといって、何を言ってもいいかというのとは別の問題です。言ったひとも、もしかしたら製造現場の現実を知らないのかのしれませんが、おそらく私の想像が正しいと思います。

話戻しますが、そのテレビショッピングの最後で、たくさん買い付けたチンチラの中から悪いものをはねて、良い物だけを選んで作ったと言いました。唖然としますが、それは真逆だろう、良いものをはねて、悪いものだけで作ったと正直に言わなければいけないところを真逆に言うのは消費者を騙す行為だと、唖然とし、少し時間をおいてから笑いました。よくこんなことが言えるなと。

作りがわからない消費者をそこまで真逆のことを言って騙すのは、同じ業者として、毛皮に対する不信感を植え付けるようで辛いです。その言い方はどうかな~というレベルではありません。真逆の理屈です。傷のあるものを集めて丁寧に安価に作りましたというべきところなのです。

ただ、それでは夢がないのでいろんな柔らかい言い方はありですが、真逆の理屈を言っては困ったものです。これがネットやテレビショッピングの現実なんだ、見えなければ何言っても何を書いてもいいんだと、とても残念な気持ちになります。 最後にひとつ付け加えますが、今日ここに書いたことが100%事実かどうかは分かりません。推測で書いています。一部間違いがあるかもしれません。しかし、今回の記載がどの程度の確率で正しいかどうかの判断は読む人にお任せいたします。併せて、私が過去に書いてきた記事をもって信頼出来るかどうかを判断していただければと思います。    長澤祐一