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背中心

背中心を出す

今日は「毛皮の基本的な技術」について書いてみます。写真を見てもらうとわかりますが、セーブルを水張りして余分な部分を落とし、背中心でカットしたものです。

写真が少しぼやけてますが許してください。写真では中心でカットしてあり、その中心側の左右が黒っぽくなっていますが、これがセーブルのキャラクター(背中心)です。左右にバランスよく、黒い毛が分かれていますね。

これが以外に難しいのです。写真では幅が2cmくらいありそうに見えますね。しかし、毛が広がって、そう見えているだけで、実際の毛の濃い部分は左右あわせても1cmあるかないかです。この背中心の出し方は、それぞれ技術者によって違いがあるかとおもいます。例えば一番多いのは下にチャコぺーバーを敷いてルレットなどで毛皮の上から、背中心の濃い部分をなぞる方法があります。他にもいろいろとあるでしょう。

しかし、大体の職人と呼ばれる人達の、そのキャラクターを出す精度は、かなりいい加減なレベルであると断言できます。一般的なものづくりでは、技術の日本と呼ばれていても、こと毛皮の技術になると、技術者のレベルは残念ながら、厳しい言い方ですが、こんな基本的なことさえもできないひとたちが大半であると言わざるをえません。

なんだ、そんなこと、、、と言っている職人がいるかもしれません。しかし、私の前で実際にやってみてもらうと、完璧にやることの難しさがよくわかるはずです。先程も書きましたが、背中心の濃い毛の部分はセーブルで約1cmくらいの幅なのです。この1cmの中心を正確にしかも、頭からおしりまでださなければなりません。

これが、仮に、、、 というよりも。よくあることなのですが、3mm違ったとします。そうすると右側に8mmの濃い色のキャラクター、左に2mmのキャラクターになり、左右の濃さは極端な差になります。

最近流行の横段仕様

昔からあるのですが、近ごろ特に多くなった最近流行の横段仕様があります。半裁(原皮を半分に割り左右に使う)仕様もよく見られます。これを作るには、正確は背中心を出す必要がありますが、世にでている製品のなかで、背中心がずれてカットされているものが多く見受けられます。

背中心の濃い部分の幅が少ないこともあり、わずかに片側によっただけで左右のバランスは大きく崩れます。ルレットなんかでは毛の上からどんなに正確になぞっても無理があります。それともうひとつ重要なのは、毛を完璧に真っ直ぐにして背中心をださないと、完璧なことができないのです。

しかし、一般的な職人さんたちは、背中心を出す仕事をあまり大事な仕事とは考えず、最初の下段取りくらいにしか考えていないのがほとんどのようです。それは、国内で仕上がった商品をみればすぐにわかります。

横段はレットアウトもしないことが多く、簡単にできると考えられていますが、実は、手間はかからないけど、ひとつひとつが高い精度を求められる作りなのです。

色の白い原皮のキャラクター

写真はセーブルでしたのでキャラクターが濃いから背中心がよくわかりますね。例えばホワイトミンクであればどうでしょう。残念ながら、一般的にはそうとういい加減にキャラクターを扱っています。

しかし、ホワイトミンクにもキャラクターははっきりと見えるのです。しっかりとスチームで仕上げ、毛の乱れを取り、毛を立てると、見る角度によって、うっすらとキャラクターが浮き出てきます。

この状態でしっかり出さないと背中心がいい加減になり、横段などにした場合に、片側に中心に向けて寄り添うように生えている背中心の毛が、大きく片側に寄ってしまいます。

ブラックグラマなどもホワイトと同じように逆に真っ黒な分、キャラクターは見づらいですが、商品になったときに、見る角度によって何気ない薄らと浮き出たような、さらに濃く見えるキャラクターが、その商品を魅力的にすることがあります。そうなのです。キャラクターはほんとに大事な部分で毛皮の魅力の大きなもののひとつです。

このような基本的なことの積み重ねが、毛皮のどこが、ここが、、、というよりも、全体として、ひとの気持ちを引き付ける大きな要素、要因、そして魅力、魔力になるのです。

最近、外注加工を一部試みました。国内では優秀な技術者と言われている方たちですが、残念ですが、期待どおりには行きませんでした。

海外のものを普段から見ることが少ないせいかは、わかりませんが、自分たちの技術が遅れている、、、劣っている、、 しかも、中国にさえも、、という現実に気づかないのは、やはり、残念な気がします。

あたりまえのことをあたりまえにこなす・・・

今日のテーマも私がいつも謳っている、あたりまえのことをあたりまえにこなす・・・ という基本的なことについて記述でした。次回、また違った、基本的な技術について書いてみます。

万が一、このブログを読んで、そんなことはないとおっしゃる技術者の方がいらっしゃったら、是非声をかけてください。そして、私のアトリエで実際にセーブルでもホワイトミンクでも、全体が黒くて見えづらいブラックミンクなどを私と一緒に背中心を出してみましょう。

ほんとの意味で正確な背中心出しは、私も毎回、緊張し、カットする前には大きな緊張感のなかでの作業になります。そして、そんな基本的なことが簡単にできる技術者がいたら、やはり私は嬉しくおもいます。あ~~国内にも優秀な技術者の方がいらっしゃったのだ、、、 とほんとにそう思います。

長澤祐一

 

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