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お尻合わせの縫い

毛皮の縫いで難しいと思われるのが、お尻合わせの縫いであることは、少しできる技術者ならわかりますし、仮にわからないひとがいるとすれば、難しい、綺麗に縫わなければいけないという意識というかレベルにない人であろうと思われます。

お尻同士の毛が何故縫いにくいのかは、毛が頭からお尻に向かって生えていることで、縫い合わせるときに、毛が向かいあい、毛をなかに入れて縫うことが難しくなります。毛が硬くなれば余計に入りづらいし、刈毛のように短いのも、とても毛を皮から出ないように入れて縫うという基本的な毛皮の縫いが、しにくくなるからです。

もっとも大事なBCの縫い

コートや小物のなかでも、もっとも大事な部分にBC(バックセンター)という部分があります。例えば、ヘチマカラーであれば首の後にくるカラーの中心、ストールもそうですね。

コートであれば横段仕様の場合には背中の中心にお尻同士を縫い合わせた部分がきますね。みな、どれもとても目立つ位置にきます。私が見る中ではお尻合わせがまともに縫えているところは、まず皆無です。

厳しい言い方ですが、ひどいレベルはたくさんあり、まあまあかな??と思えるレベルがほんとうにたまにあります。国内生産のものには逆に少ないという現実もあり、前回も書きましたが国内の職人さんのレベルがとても低いことを実感しています。

大事な原料を使い、それなりに高い加工料を払っても、この程度かという現実は、やはり厳しいものがあります。

これは、リフォームでお預かりした小物を有機溶剤で洗いオガで匂いをとった状態のものです。見ればすぐわかりますが、お尻合わせの縫い目から毛がたくさん出ています。最初はこうは見えません。縫い目に入ってしまっているからです。いい加減に縫った本人はわかりますが。

これを、長時間、ドラムにかけると、縫い目に挟まっている毛が少しずつ皮表に出てくるのです。こんなのよくあるという職人もいるでしょうが、実はそうではありません。ちゃんと毛を真下に下げて0.5mmくらいで縫えばこんなことには絶対になりません。

原因は、毛を横にして、2mmくらいで厚く縫えばこんなふうにすぐなります。簡単です。当然、毛のほうからみたら、大きな溝になります。

早く適当に縫う

よくYoutubuなどで毛皮の縫いをしている動画が見られますが、”早く適当に縫う”というような縫いがほとんどです。

素人目にはいいかもしれません。とても慣れているような手つきですから。しかし、私から見ればずいぶんいい加減な縫いだな~~と思うものばかりです。これでは、毎日縫い慣れた中国などの優秀な工場に勝てないというのは良くわかります。

このお尻合わせの縫いの基本は、ひとつは1mm以下で縫う、そして、毛をすべて真下に向けて縫うことです。やるとわかりますが、これが完璧にやることはかなり難しいのです。簡単だと思われている職人さんはレベルが低いということです。

もしくは綺麗に縫えたものを見たこともなく、自分の技量でこんなもんだと、別の次元を知らない人達もいるかもしれませんね。

パショーネの刈毛の技術

よく、昔から”パショーネの刈毛の技術は真似ができない”と言われています。でも、そうではありません。私のところの商品を全て見てもらうと良くわかります。ほとんどのひとが当社の商品すべてを見る機会がありませんから、みなさん、大きな勘違いをしていらっしゃいます。ブームが過ぎた刈毛だけで、あの本店のサロンに残れるほど甘くはありません。

前回も書いた背中心を出すことや今回のお尻合わせの縫いが完璧に出来ること、さらにもっとたくさんの毛皮の基本的な技術が完璧にできないと、綺麗な刈毛のコートはできません。逆にいうと、それさえできれば、そこそこ近い仕上がりにはなります。

アトリエでは最後に縫い目をすべて仕上げ刈りをしていますが、その違いがあったにしても、基本的なことがパーフェクトにできれば、そこそこの刈毛の仕上がりにはなるはずです。刈毛が綺麗にできないということは、やはり、元々の基本的な技術に問題があるからです。

ですから、綺麗な刈毛ができるということは、お尻同士が縫い合わさる肩の部分や、刈毛を横に縫っても目立たないように縫えることなど、その技術の全てが小物全般にもストールなどの大きめな小物、そしてコートにも生かされており、どんなものを作っても高いレベルを維持できるということになります。

でもそんなこと、ごく、あたりまえのことなのです。他では、うちで作る刈毛コートの縫い目を刈りそろえることにだけ注目して真似ようとしていますが、本当はしっかりパーフェクトに縫わないと肩などのお尻同士を縫い合わせる部分や他の部分もそうですが、あとから仕上げ刈りをしても絶対に綺麗になりません。

今日も前回同様、自覚のあるひとにはよくわかる、、、という書き方を致しましたが、一般の方にはわかりづらい表現が一杯あったこと、お詫びいたします。一般の方のために、刈毛コートの肩の仕上がりについて書いた記事がありますのでリンクを貼っておきます。

長澤祐一

 

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