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今日はリンクスキャット(Lynx Cat)の主な特徴について書いてみます。

リンクスキャットと他の毛皮の違いは、通常の毛皮は腹をメインに使いません。しかし、このリンクスキャットは腹の白い部分に大きな価値があります。このことはすでに知られていることですね。腹だけで作られたものをベリーと呼び、価格も1000万を軽く超えるものも多く、今ある毛皮のなかでも、もっとも高額な種類に属します。

リンクスキャットの特徴として真っ先に思い浮かぶものは、綺麗な斑点模様です。だいたいこのへんまでのことはネットで検索をすればすぐに出てきます。今回は、一般的なことは省き、ネットで調べても出てこないことを書いてみます。

リンクスキャットの皮質

リンクスキャットの特徴のひとつに、皮質があります。鞣し方にもよりますが、一般的には腹の白い部分以外は、意外に皮は厚いのです。ですから、ベリーは別にして、一般的にリンクスキャットのコートは結構重さがあります。背中の厚みのある部分を使うからです。

そして、もう一つ皮質の特徴があります。それは、皮の密度が高く、とても粘りもあり、ナイフの刃がすぐに刃こぼれしてしまうほどです。これは、何を意味するかというと、毛根をしっかりと絞め付けているせいかどうかは正確ではありませんが、一見弱そうに見える細い毛でも、抜けづらい特徴があります。おそらく皮質の繊維が細かく、粘りがあるせいかもしれません。あくまで想像ですが。チンチラのように皮が弱いものはやっぱり、毛根も弱く、少し強く引っ張るとすぐに、束で抜けてしまうチンチラとはまったく違います。

リンクスキャットの皮を鋤く

私のところでは、チンチラなど特殊なもの以外は、ほとんど独自の技術で皮を鋤きますが、リンクスキャットもやはり鋤いています。

一般的には、ほとんどが皮の厚いままで使われていますが、私のところの基準では厚すぎます。リンクスキャットの皮の厚い部分は2mm近くあるところもあり、最低でも半分以上は鋤かないと、思ったような軽さにはなりませんので、相当鋤きます。もちろん手なんかではやりません。

機械を使います。まず、最初に鋤き始めると、皮の表面が毛羽立つようになり、これを縦横と繰り返し鋤いていくと、ようやく、毛羽立ちがとれて、普通の皮の表面になってきます。そこからも繰り返し鋤き、ようやく思うような軽さになります。皮質のせいかどうかわわかりませんが、リンクスキャットの皮には鞣しで使う脂分が、とても少ないのです。そのため、皮を薄くすると、とても柔らかさが出て、フワフワの状態になります。

ただし、ここで気を付けなければ脂がほんとに少ないので、このまま使うならばフワフワのままなのですが、加工途中で一度水につけると、カチカチに硬くなります。私は、アルコールを水で少しだけ薄めて使い、出来るだけ硬くならないようにしますが、皮の奥まで水分が染みてしまうと、相当硬くなります。ドラムで柔らかくもなりますが、一度、しっかり水が染みてしまうと、元の状態にはなかなか戻りません。

ひとつ失敗談を言いますと、鋤きすぎて皮を切ってしまうことも数回ありましたが、ミンク等では、少し鋤いただけでも、毛根が飛び出し、すぐに刺し毛が抜けてしまう状態になりますが、リンクスキャットは皮が破れる寸前まで、毛が抜けませんでした。厚い頭の部分でやりましたが、ほんとにペラペラの状態になるまで毛が抜けませんでした。

裂けて始めて毛が抜けるという感じです。このことは、毛根が浅いということと、皮の繊維密度が高く、皮の粘りが強くあり、それによって毛が抜けるのを防いでいるのだろうという私が立てた仮説を立証するものでした。

リンクスキャットの腹の模様

次にリンクスキャットの模様、または斑とも言われますが、あの綺麗な斑点について書いてみます。

動物を飼われていらっしゃる方などは、たとえばアメリカンショートヘアーなどは背中の模様はほぼ左右対象だということは知っているかと思いますが、実はリンクスキャットの腹の斑点模様も、ほぼ左右対象に並んでいます。

コートになるとそれを意識して職人さんが作っていないものがほとんどなので斑はランダムなものだと、、それが天然というものだと、、、思われがちですが、実は、綺麗にほぼ、左右対象に並んでいます。多少左右の斑の大きさや形が違ったりしますが、基本的には左右対象になっていて、さらに中心もしっかりとあります。もちろん、左右対象じゃない、左だけにあったりするものもあります。100%左右対象ではありません。
リンクスキャットの背中の模様

上の写真を見てもらうとわかりますが、顎から下の部分で接ぎ合わせていますが、腹の中心を綺麗に合わせて作るとこうなります。意外に綺麗に左右そろっていますね。毛は斑の並びがわかりやすいように左から右へブラシをかけてあります。赤のラインの延長線上が接ぎ目になります。ここでいい加減な中心出しをして接いでしまうと、綺麗に中心のラインは通りません。

リンクスキャットの背中の模様2

もうひとつ上の写真をみてもらうとわかりますが、腹の中心に綺麗に直線に斑が並んでいるのがわかります。このようにコートでみるとランダムに並んでいるように見える斑点模様も実は7割は規則正しく並んでいるのです。腹の下のほうにいくと、どんどん斑が大きくなりわかりずらくなりますが、ランダムではありません。

もうひとつ写真を載せます。下の写真は最近作ったコートです。私はどちらかというと、真っ白のベリーよりは、少し黄色い部分が入ったもののほうが好きなのです。
リンクスキャット(Lynx Cat)

真っ白も確かに技術的にも簡単ではありませんが、原料次第という部分もあり、黄色の部分が入ったほうが斑やボリューム感、毛の長さ等を綺麗に合わせないと綺麗に出来ませんし、自然の色同士が、うまくマッチングしたときの色の立体感からいっても、やはりベリーよりは、こちらのほうが好きなのです。

このコートの写真の赤いラインの延長線上の前中心にも腹の中心が通っていますね。

ちなみに、このコートを作るのに使った枚数は24枚です。ベリー以外で、よく見られる一般的なリンクスキャットのコートの使用枚数は、8枚~12枚くらいです。しかも、小さな原皮でパサパサの毛質で、私のなかで綺麗だとおもうものは、ほとんどありません。同じリンクスキャットでも、白い腹の毛のボリューム感や毛の長さ等を比べてみてもピンからキリまであるのです。

リンクスキャットだからすごくイイもの?、、、というわけではありません。イイものを選ぶ目はプロだから持っているわけでもないのです。理解できていないプロもたくさんいます。ほんとにイイものは素人の方でも、うぁ~ 、、 という感動が心の奥から湧き出てきます。それが毛皮の本当の魅力であり魔力です。

背中心の大切さ

前々回のブログで書きましたが、背中心を正確に出すことの大切さが、今回の写真でもお分かりになるかと思います。

今回は背中ではなく腹ですが、それでもちゃんと中心があり、中心を合わせることで、左右に中心のラインが通り、一見ランダムに見える斑も生き生きとしてきます。

つくりを考えれば、リンクスキャットはいくらでもごまかせます。

適当に斑と毛の長さ、色を合わせれば、素人が作っても、なんとかなります。毛皮のミシンさえ、適当に縫えれば素人でも、部分的には簡単にできそうなのです。しかし、左右対象に黄色い部分をいれて自然にみせたり、しっかりと中心を出し、それを綺麗に活かすということを考えると突然、難易度の高い技術を求められます。

最寄りの、毛皮サロンに行くことがありましたら、そんなことを考えながら、商品を見てみるのも良いかもしれませんね。本当に良い商品は少ないのがよくわかります。

長澤祐一

 

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