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Category Archives: 原皮のお話し

毛皮の作る時に注意しないといけないこと

今日は毛皮の作る時に注意しないといけないことを書いてみます。毛皮は裏側で作業します。皮面で線を引いたりカットして縫ったりです。でも、肝心なのは表側の毛なのです。それで、当然、私は何度も毛の方を確認します。カットして縫ったら毛の確認は絶対に必要です。

表の毛の色、毛の長さ、毛の質感、とにかく綺麗に馴染んでいるか、自然に見えるかを確認する作業をします。縫いっぱなしだと、毛が自然に見えないのでスチームをかけながらブラシをかけて何度も確認します。

ここで、少し注意しなければならない素材があります。繊細な素材、例えばセーブルやチンチラなどは、ブラシを強くかけると毛が切れてしまうことがあるのです。仕上がるまで何度も確認するためにブラシをかけますが、かけ過ぎると、毛のボリューム感がいつの間にかなくなってしまうことがあります。

ブラシに切れた毛や抜けた毛がつきますので、ブラシをすればするほど毛が少なくなるわけです。もちろん、ひとに分かるほどじゃないのですが、その素材の元の凄さを知っていると、時々、あっ、やってしまったと後悔をします。人にはわからないレベルでも自分ではわかるのです。

そのときのショックはものすごいものがあります。素材は元には戻りませんから。現在の状態を見たい、見たいと何度も確認するためにブラシを強くかけ過ぎると毛のボリュームがなくなり、気がついたときには、もう元に戻らない時もあります。やっぱりつい安心したくてブラシをして確認したくなるのです。もちろん、一般的には誰も気が付かない範囲のことなのですが、それでもプロであれば、そこは気がつかないといけません。

ブラシを確認作業でかけすぎない

そうならないためにどうするかというと、単純なことですが、ブラシを確認作業でかけすぎないということしかないのです。この我慢をすることが意外に難しく、ついつい確認と言いながらブラシをしてしまうのです。私も以前は、何度も仕上がりが怖くて確認作業のためブラシをかけすぎた経験があります。そして何度も後悔をした経験があります。

先日、インスタグラムのDMから、毛皮の仕事をしていらっしゃる男性か女性かはわからないのですが、DMがありました。毛皮の作ることに興味があり、お仕事もされていらっしゃるようです。この毛皮の業界のなかできっと貴重な存在だと思います。今日はそのひとに、これから毛皮を作るときに参考になればと書いています。

個別のテクニックも大事なのです。しかし、意外に誰もきにしてないようなことなのですが、今日書いていることはとても大事なことです。コートを仕上げていくときに、何度も確認したくなる。

これをできるだけ我慢して、もちろん最低限の確認は必要ですが、我慢しながら、自分のやっている作業をしっかりと毛の長さ、色、質感を常に意識し、毛が仕上がったときに下を向くのか、横なのか、上を向くのかで、自然になじむ、なじまないを判断し、頭のなかでシミュレーションしたことが現実になるように作業をしていくのです。

そうすることで、最後の仕上がり状態が最高の状態で仕上げられるのです。私は、このことで今でも本当に悩みます。もっとよくできたんじゃないだろうかと。毛質はファーの命ですから。

ブラシをかけ過ぎていけない素材のなかにチンチラがあります。毛の質感を綺麗に残すのが一番難しい究極の素材です。作り手によってはブラシなんて論外だろうというひともいるかもしれません。しかし、場合によっては、ブラシが必要な場合もあります。このチンチラは毛ぐせなどないように感じますが、背中心の部分に強い癖がつき、取れないときがあります。

世にでている汚いチンチラのほとんどは、この癖がとれていません。この癖を一般的にはとることができませんが、私はとります。ほとんど、とることができます。この癖を取った状態はチンチラの命ですから。でも、それだけではありません。毛の全てがコントロールが難しい素材です。そして、扱い方で、目も当てられないほと、ひどい状態になる場合もあります。毛も抜けやすい、切れやすいという、超難関素材です。

途中経過を極力、見ないで我慢する

今日のテーマに戻りますが、途中経過を確認することは大事なのですが、やり過ぎないということを本当に注意することです。世の職人さんには傷やハゲもたいして見ないひとも一杯いますが、それはダメですが、やり過ぎ、毛・皮をいじめ過ぎも良くないのです。ここの、さらっと確認しながら我慢して、自信をもって作業していくことが一番難しいのです。手を抜いて確認を省くこととは、まったく違いますからここは、しっかり認識しておくことです。

今日は、私が今でも苦しんでいる、悩んでいることを書きました。これから毛皮を始めるひと、すでに始められているひと、そんな誰かに役に立てればと書いてみました。

最後にもう一回、仕上げのブラシ、ひとによってはアイロンを毛にあてる(私は必要に応じて使います)、スチームをあてる等、いくつかありますが、夢中になって、やり過ぎないよう気をつけ、その作業を少し省くためにも、頭のなかで仕上がりをイメージして毛の長さ、色、質感を確認して組み立てていくことです。

これをするには、各素材別の毛の長さ、質感、色の部位による変化、毛の向きの強さ(場合によってはどっちにでも向く毛もある)等を覚えて頭のなかでシミュレーションすることができるようになることです。もちろん、それでも悩みますが。

最近、インスタグラムにもアップしたチンチラのショールを載せます。チンチラ画像がインスタグラムにも反乱してますが、ひどいものが多いです。国内業者のものをたまにみますが中国で作っているかはわかりませんが、がっかりするものばかりです。最近、フォロオーをしてもらったところにチンチラの業者(海外)さんがいますが、さすがに一社だけですが、綺麗だとつい、いいね!をしてしまったところがあります。

もちろん、相手も、自分のその写真に自信をもっていらっしゃるのでしょうね、逆いいね!されました。ほんとにそこは綺麗です。見る度に私でもドキッとします。チンチラの真髄を知っていないと、ああは作れませんから。また、書きます。

長澤祐一

 

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以前、毛皮の基本的な技術(その1)というブログを書きました。

毛皮の基本的な技術(その1)

今日はその続編を書きます。

以前、毛皮の背筋(キャラクター)についてこの中で書きましたが、そのときにホワイトミンクでも見る気になれば、はっきりと見えると書いたような記憶がありますが、写真の薄いピンクに染色したミンクで背中心を出す作業をしたときに撮った写真です。

丁度良い写真がありましたので載せますね。

ミンクをバキューム台の上でスチームアイロンをかけて、毛を真っ直ぐに整えてから、ミンクの毛を立てた状態のものです。

ここでわかるのは中心が少し周りの色よりは暗く沈んで見えますね。

こうすることでミンクの背中心がはっきり解ります。ホワイトミンクも同じです。

何故こうなるかと言うと、スチームアイロンでまっすぐになった毛をバキューム台の上にパンパンと叩きつけるとスチームアイロンで伸ばされて均一になったミンクの毛が立とうします。

そのときに背中心の刺し毛だけは、毛根の生え方が他の刺し毛に比べてお尻に向けて急な角度で生えていることと毛が少し硬めで短い分、立ちにく、そのため、おしり側から斜め45度くらいの角度から見ると、ちょうど視線に対して真っ直ぐ向かってくるようになり、刺し毛の腹に当たる光の反射がなく、綿毛だけが見えて、暗く沈んで見えます。

それ以外の刺し毛は背中心の刺し毛よりも毛も少し長めで立ちやすい角度で生えていますので、毛の横面の光の反射が目に映り白っぽく見えるのです。

ただ、背筋の濃い部分をチェックするだけではなく、迷ったら、こんな背中心のチェックの方法もあります。ホワイトミンクで真っ白なためキャラクターが見えにくいと、つい、この辺だろう、、、と安易に背中心を出すことが、最終の仕上がりに大きく影響があることを知っていれば、いい加減な作業は出来ません。

綺麗な仕上がりとは、こうした基本的な作業の繰り返しの延長線上にあるだけのことで、特別なことをするというわけではありません。

このブログでも、哲学のように、あたり前のことをあたり前こなすと何度も書いていますが、わずかな甘えが、あとから取り返しのつかないことになることを常に頭に入れて、ものづくりをしたいものです。

読者の皆様へ
今は、以前のように、長い深く踏み込んだブログが書けません。申し訳ありません。しかし、文字数は少ないですが、都度内容の濃さに変わりはありません。どうぞ、これからもときどき見に来ていただければ嬉しく思います。

長澤祐一

 

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今日は”毛皮の魅力を撮る”のタイトルで書いてみます。

最近、インスタグラムを始めました。自分が一番アップする写真でこだわっているところは、Furの本質的な魅力が表現できればと思ってアップしてます。

【Instagram】株式会社パショーネ
https://www.instagram.com/passione.co.jp/

Furや毛皮やFurbagとハッシュタグ検索すると、もう見切れないほどの画像が出てきますね。でも、あの小さな携帯の画面で、ハッとするような画像はあまりないように感じます。あくまで私の主観ですが。

毛皮の魅力を知らずに、ただデザインだけで掲載されている写真は腐るほどありますね。毛に癖がつこうが、毛が潰れていようが、お構いなしの写真がたくさんあり、毛皮の奥深い魅力を知っている自分にとっては、とても残念な気がしてなりません。

私はカメラマンの技量などまったくなく、カメラワークの技術もまったくありません。ただ、他人と違いを出せるとしたら、毛皮の奥深く秘められている、毛の柔らかさ、天然だからこそ表現できるその色、毛皮にしか出せない陰影、ここしかないと思って撮っています。

撮影技術が無い分、数枚撮って、自分がハッとするものをアップしています。見ていただくひとに感じるかどうかは二の次なのです。まずは自分がハッとするかどうかで判断しています。パショーネ作品にとって一番大切にしている部分だからです。

毛皮の商品を作る上で、このハッとする毛皮の奥深く潜む魅力を感じて作ることは、私にとって何よりも大事だからです。逆に言うと、その本当の魅力がわからずに作る技術者の作品には毛皮として一番大事なものが欠けていると、いつも思います。

よく、今はデザインの時代だと言うバイヤーや専門家がいますね。それも大事なことです。でも、デザインだけでよければ、大事な毛皮を使う必要なんてないんです。生地でも皮でも何でも良いはずです。例えば、ジュエリーが全てはデザインだと言い張るなら、本物の石じゃなくてもいいはずです。

毛皮も同じなのです。販売の現場にいても、ほんとうによくそんな言葉をよく聞きます。悲しいことですが、そんな言葉を間に受けて作られた毛皮商品に魅力などあるはずがありません。

デザインが大事なことなど、あたりまえのことなのです。だからと言って毛皮の品質がどうでもよいということにはなりません。それなりのお値段を頂いているからです。

話を戻しますが、だからこそ、ひたすらその魅力にこだわるのです。毛皮の毛も皮も、人間の毛や頭皮と同じです。作り方だけではなく、毛そのものを綺麗に仕上げ整える、まるで綺麗な髪のモデルの髪の毛のように仕上げるのです。

もともとのポテンシャルの高い毛皮は、大きく化けるのです。そんなものが表現できればと思い、インスタグラムにも投稿しています。もし、パショーネのインスタグラムを見る機会がありましたら、是非そんな部分も少しでも感じていただければいいかなと思っております。

長澤祐一

 

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今日は毛皮の逸品という言葉の意味について書いてみます。ネット検索すると「逸品」すぐれた品(しな)。絶品。とあります。他の商品については私は解りませんし書くつもりもありませんが、毛皮なら書く事ができます。

最近、よく逸品会というものが各小売店でありますが、毛皮の逸品とは?果たして何を示すのかという疑問をよく持ちます。大半が中国で作られた毛皮製品、一部に海外ブランド、一般の人があまり聞いたことのないインポートものという大きな枠で括られた商品群。

一般の国内毛皮加工が海外品から大きく劣るという国内事情もあり、中国産やヨーロッパ製品で決して抜群に綺麗なとどは言えないものでも逸品として陳列するしかなく、しかも、値段がより高額なものが逸品だと認識されているこの業界のなかでは正直、目もあてられない現状があります。

例えば、牛肉のなかでも一般の牛肉と、逸品と言われる牛肉があり、それは毛皮に置き換えれば、ミンクでも、チンチラでも、セーブルでも、リンクスキャットでも、とても逸品と言えないものもあれば、うぁ~綺麗!! デザインも最高! と思わず感動してしまうようなものがあるということです。リンクスキャットだからセーブルだからと一括りにして逸品と扱うのは、完全な売る側の勉強不足なのです。

ミンクでも、例えチンチラの小物でも、圧倒的に優れた素材や作りの違いがあるものが逸品と呼ぶのに相応しいのであって、素材が高ければ、値段が高ければ ”糞でも味噌でも”逸品というのは売る側にも問題があるような気がします。

逸品会等のカタログに出ているもののなかで、おっ、これは、ほんとうに逸品なのか?と目を疑うものもあり、その出品されているものを良く知っていると、そう感じるものがあります。そんなものが出ていると、知らない他の商材にも疑問を持ったりもします。ただ、ひとつ商材を揃える側に立って理解するところがあるとすれば、厳密に逸品しか出さないと言ってしまうと出展する商材がほんとうに限られてしまうという現実もあることもよく理解できるのです。しかし、こと毛皮という商材に限れば、疑問は大きく残ります。

毛皮の話に戻りますが、一般のお客様はリンクスキャット、セーブル、、、と聞くと、すごい、高い、というようなイメージを持たれるかと思います。しかし、リンクスキャットやセーブルでもピンキリなのです。ボリューム、毛質、色、腑の綺麗さ等でランクが別れ、さらに、作り方でも大きく品質が変わります。腹だけを使って作られる真っ白いリンクスキャットのベリーでさえも、ろくでもない商品はたくさんありますし、ネットでは十把一絡げでセーブルやチンチラを扱われていますが、本来の価値はそれぞれに大きく差があるのです。

今日はこれ以上書くと、いろいろと支障がでますので、いつもよりも短いですが、ここまでで止めておきます。書き出すと止まらなくなりますから。(笑)

今日の写真は、最近インスタグラム(Instagram)を始めて、私が綺麗と思う写真をアップしていますが、その中のいくつかを載せてみます。

一番上の1枚は チンチラカフスセット(マグネットでマフラーにも使えるタイプ)の写真です。

よく、このブログで背中心を正確に出すことや腹のラインを正確にチェックすることなどを書いていますが、このチンチラをよく見ていただければ、背中の黒い部分の分量や白い腹の分量が正確に左右に別れていることがわかりますね。

そして、写真で見ても、デンマーク産の最高ランクのチンチラの良さが解ります。ちなみにこれはブラックベルベットタイプではありません。それでも、これだけ白、グレー、黒がはっきりしていて、まさしくこれが逸品なのです。腐ったセーブル、チンチラ、リンクスキャットは逸品ではありません。

もう一枚は、見て解りますが、写真からも、その毛のシルキーさが伝わるような黒染めのチンチラです。チンチラブラック染めは、どうしてもチンチラの毛のウエーブが染色工程で伸びでしまいボリュームが落ちます。

そのため、デンマーク産のものでも、さらに選び込まれたボリュームのある原皮を選ばなければなりません。写真でも黒の沈み込むような黒さと毛の横面に光があった部分でチンチラの立体感が出ていますね。これも、間違いなく逸品なのです。逸品だからと言って、価格の高さや雰囲気に踊らされることのない購入が望まれるところです。

長澤祐一

 

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今日はリンクスキャット(Lynx Cat)の主な特徴について書いてみます。

リンクスキャットと他の毛皮の違いは、通常の毛皮は腹をメインに使いません。しかし、このリンクスキャットは腹の白い部分に大きな価値があります。このことはすでに知られていることですね。腹だけで作られたものをベリーと呼び、価格も1000万を軽く超えるものも多く、今ある毛皮のなかでも、もっとも高額な種類に属します。

リンクスキャットの特徴として真っ先に思い浮かぶものは、綺麗な斑点模様です。だいたいこのへんまでのことはネットで検索をすればすぐに出てきます。今回は、一般的なことは省き、ネットで調べても出てこないことを書いてみます。

リンクスキャットの皮質

リンクスキャットの特徴のひとつに、皮質があります。鞣し方にもよりますが、一般的には腹の白い部分以外は、意外に皮は厚いのです。ですから、ベリーは別にして、一般的にリンクスキャットのコートは結構重さがあります。背中の厚みのある部分を使うからです。

そして、もう一つ皮質の特徴があります。それは、皮の密度が高く、とても粘りもあり、ナイフの刃がすぐに刃こぼれしてしまうほどです。これは、何を意味するかというと、毛根をしっかりと絞め付けているせいかどうかは正確ではありませんが、一見弱そうに見える細い毛でも、抜けづらい特徴があります。おそらく皮質の繊維が細かく、粘りがあるせいかもしれません。あくまで想像ですが。チンチラのように皮が弱いものはやっぱり、毛根も弱く、少し強く引っ張るとすぐに、束で抜けてしまうチンチラとはまったく違います。

リンクスキャットの皮を鋤く

私のところでは、チンチラなど特殊なもの以外は、ほとんど独自の技術で皮を鋤きますが、リンクスキャットもやはり鋤いています。

一般的には、ほとんどが皮の厚いままで使われていますが、私のところの基準では厚すぎます。リンクスキャットの皮の厚い部分は2mm近くあるところもあり、最低でも半分以上は鋤かないと、思ったような軽さにはなりませんので、相当鋤きます。もちろん手なんかではやりません。

機械を使います。まず、最初に鋤き始めると、皮の表面が毛羽立つようになり、これを縦横と繰り返し鋤いていくと、ようやく、毛羽立ちがとれて、普通の皮の表面になってきます。そこからも繰り返し鋤き、ようやく思うような軽さになります。皮質のせいかどうかわわかりませんが、リンクスキャットの皮には鞣しで使う脂分が、とても少ないのです。そのため、皮を薄くすると、とても柔らかさが出て、フワフワの状態になります。

ただし、ここで気を付けなければ脂がほんとに少ないので、このまま使うならばフワフワのままなのですが、加工途中で一度水につけると、カチカチに硬くなります。私は、アルコールを水で少しだけ薄めて使い、出来るだけ硬くならないようにしますが、皮の奥まで水分が染みてしまうと、相当硬くなります。ドラムで柔らかくもなりますが、一度、しっかり水が染みてしまうと、元の状態にはなかなか戻りません。

ひとつ失敗談を言いますと、鋤きすぎて皮を切ってしまうことも数回ありましたが、ミンク等では、少し鋤いただけでも、毛根が飛び出し、すぐに刺し毛が抜けてしまう状態になりますが、リンクスキャットは皮が破れる寸前まで、毛が抜けませんでした。厚い頭の部分でやりましたが、ほんとにペラペラの状態になるまで毛が抜けませんでした。

裂けて始めて毛が抜けるという感じです。このことは、毛根が浅いということと、皮の繊維密度が高く、皮の粘りが強くあり、それによって毛が抜けるのを防いでいるのだろうという私が立てた仮説を立証するものでした。

リンクスキャットの腹の模様

次にリンクスキャットの模様、または斑とも言われますが、あの綺麗な斑点について書いてみます。

動物を飼われていらっしゃる方などは、たとえばアメリカンショートヘアーなどは背中の模様はほぼ左右対象だということは知っているかと思いますが、実はリンクスキャットの腹の斑点模様も、ほぼ左右対象に並んでいます。

コートになるとそれを意識して職人さんが作っていないものがほとんどなので斑はランダムなものだと、、それが天然というものだと、、、思われがちですが、実は、綺麗にほぼ、左右対象に並んでいます。多少左右の斑の大きさや形が違ったりしますが、基本的には左右対象になっていて、さらに中心もしっかりとあります。もちろん、左右対象じゃない、左だけにあったりするものもあります。100%左右対象ではありません。
リンクスキャットの背中の模様

上の写真を見てもらうとわかりますが、顎から下の部分で接ぎ合わせていますが、腹の中心を綺麗に合わせて作るとこうなります。意外に綺麗に左右そろっていますね。毛は斑の並びがわかりやすいように左から右へブラシをかけてあります。赤のラインの延長線上が接ぎ目になります。ここでいい加減な中心出しをして接いでしまうと、綺麗に中心のラインは通りません。

リンクスキャットの背中の模様2

もうひとつ上の写真をみてもらうとわかりますが、腹の中心に綺麗に直線に斑が並んでいるのがわかります。このようにコートでみるとランダムに並んでいるように見える斑点模様も実は7割は規則正しく並んでいるのです。腹の下のほうにいくと、どんどん斑が大きくなりわかりずらくなりますが、ランダムではありません。

もうひとつ写真を載せます。下の写真は最近作ったコートです。私はどちらかというと、真っ白のベリーよりは、少し黄色い部分が入ったもののほうが好きなのです。
リンクスキャット(Lynx Cat)

真っ白も確かに技術的にも簡単ではありませんが、原料次第という部分もあり、黄色の部分が入ったほうが斑やボリューム感、毛の長さ等を綺麗に合わせないと綺麗に出来ませんし、自然の色同士が、うまくマッチングしたときの色の立体感からいっても、やはりベリーよりは、こちらのほうが好きなのです。

このコートの写真の赤いラインの延長線上の前中心にも腹の中心が通っていますね。

ちなみに、このコートを作るのに使った枚数は24枚です。ベリー以外で、よく見られる一般的なリンクスキャットのコートの使用枚数は、8枚~12枚くらいです。しかも、小さな原皮でパサパサの毛質で、私のなかで綺麗だとおもうものは、ほとんどありません。同じリンクスキャットでも、白い腹の毛のボリューム感や毛の長さ等を比べてみてもピンからキリまであるのです。

リンクスキャットだからすごくイイもの?、、、というわけではありません。イイものを選ぶ目はプロだから持っているわけでもないのです。理解できていないプロもたくさんいます。ほんとにイイものは素人の方でも、うぁ~ 、、 という感動が心の奥から湧き出てきます。それが毛皮の本当の魅力であり魔力です。

背中心の大切さ

前々回のブログで書きましたが、背中心を正確に出すことの大切さが、今回の写真でもお分かりになるかと思います。

今回は背中ではなく腹ですが、それでもちゃんと中心があり、中心を合わせることで、左右に中心のラインが通り、一見ランダムに見える斑も生き生きとしてきます。

つくりを考えれば、リンクスキャットはいくらでもごまかせます。

適当に斑と毛の長さ、色を合わせれば、素人が作っても、なんとかなります。毛皮のミシンさえ、適当に縫えれば素人でも、部分的には簡単にできそうなのです。しかし、左右対象に黄色い部分をいれて自然にみせたり、しっかりと中心を出し、それを綺麗に活かすということを考えると突然、難易度の高い技術を求められます。

最寄りの、毛皮サロンに行くことがありましたら、そんなことを考えながら、商品を見てみるのも良いかもしれませんね。本当に良い商品は少ないのがよくわかります。

長澤祐一

 

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背中心

背中心を出す

今日は「毛皮の基本的な技術」について書いてみます。写真を見てもらうとわかりますが、セーブルを水張りして余分な部分を落とし、背中心でカットしたものです。

写真が少しぼやけてますが許してください。写真では中心でカットしてあり、その中心側の左右が黒っぽくなっていますが、これがセーブルのキャラクター(背中心)です。左右にバランスよく、黒い毛が分かれていますね。

これが以外に難しいのです。写真では幅が2cmくらいありそうに見えますね。しかし、毛が広がって、そう見えているだけで、実際の毛の濃い部分は左右あわせても1cmあるかないかです。この背中心の出し方は、それぞれ技術者によって違いがあるかとおもいます。例えば一番多いのは下にチャコぺーバーを敷いてルレットなどで毛皮の上から、背中心の濃い部分をなぞる方法があります。他にもいろいろとあるでしょう。

しかし、大体の職人と呼ばれる人達の、そのキャラクターを出す精度は、かなりいい加減なレベルであると断言できます。一般的なものづくりでは、技術の日本と呼ばれていても、こと毛皮の技術になると、技術者のレベルは残念ながら、厳しい言い方ですが、こんな基本的なことさえもできないひとたちが大半であると言わざるをえません。 Read More »