Skip navigation

Category Archives: 機械設備・道具のお話し

今日は、毛皮クリーニング 毛皮の皮から脂を抜く難しさ というタイトルです。

一般の方には、すごく解りずらい内容ですね。

 

私のブログでは何度も書いていますが、

簡単にいうと、毛皮は皮の脂を抜き過ぎると、干物のようにカチカチになります。ほんとのことです。するめイカのようになります。

毛皮を鞣すというプロセスがあります。業者さんは鞣しをそのままプロセスとも呼んでいます。

この鞣しのときに入る脂の量というか、脂の抜き方で毛皮が商品になったときの仕上がりとその後の保管による毛皮の皮の部分の硬化や劣化に対して大きな差が出ます。

この脂の入り加減に三つのパターンがあります。

 

一つ目は、脂を抜き過ぎると、するめイカのようにカチカチになります。そのままでは加工することも商品にすることも出来ません。抜き過ぎると本当にカチカチになります。

 

次に、脂が適度に入っている、、、言い方を変えると適度に抜くが正しいかもしれませんが、実際に適度に抜かれた皮は、湿気も吸収しにくく、柔らかく、さらにさらっとしていて、乾いた感じがします。

ただ、この状態はすごく幅がせまく、鞣しやさんがやるドライクリーニングでも、なかなかピッタリにはなりません。でも、この感覚を触って分かるようになるには、豊富な経験が必要です。何度も様々な条件の皮を加工して仕上げてみて初めて分かることです。単に何千本と毛皮の皮を触っても理解することはできません。

 

最後に一般的によくあるタイプで、脂が残り過ぎの状態です。ほとんどがこの状態です。この状態は、鞣し上がりの初期状態はとても柔らかくてよさそうに見えます。しかし、時間の経過とともに湿気を吸収して、徐々に硬さがでます。原皮屋さんが長期保管した毛皮のほとんどが硬く湿気を吸収して重く感じるのは、このことが原因です。しかし、鞣し上がりのときはすごくよく見えます。

 

このように原皮の段階でも、上に書いた三つの状態があります。

 

それではどうして、二番目の一番ベストの状態に、なかなかできないのか?ですが、鞣し屋さんで使っているドライクリーニングの機械は、大型で溶剤だけで毛皮を入れて回し、気化した溶剤を再度、液化する装置が付いていて、ドライの効果も強く、そして早く脂を抜くことができます。

ただ、この早く抜くことが出来るというところに、もしかしたら微妙なコントロールが効きにくいのかもしれません。私は実際にやってみていないので明確なことは言えませんが、抜き過ぎて問題になるより、抜きが少し足りないくらいが一番コントロールしやすいのかもしれません。

そういう意味では、私がやっている通常の毛皮用のドラムで、オガと有機溶剤を混ぜて、少しずつ長時間かけて脂を抜くほうがコントロールが効きやすいとも言えます。

実際に、市販の有機溶剤を使って、毛皮の皮をびちゃびちゃに濡らして絞り、そのまま乾燥すると、カチカチになります。

ドライクリーニングの機械ではジャブジャブ有機溶剤で洗い、ドラムの中で回転させながら乾かすのだと思いますが、回転させながら有機溶剤を気化させますので一旦は柔らかくなりますが、仮に抜き過ぎたとすれば、水に濡らすとカチカチになります。ただ、このへんの最終仕上げ方の詳細は私は分かりません。想像です。

ただ、私がやっていることは想像ではなく事実です。ベストの状態というのは、すごく範囲が狭く、脂が残り過ぎると湿気を吸って重くなったり硬化したりしますし、抜き過ぎると逆に硬くなります。本当にベストの状態は難しいのです。

ですから、効率は悪く、時間はかかってもゆっくり時間をかけて抜くしかないのです。そのためにリフォーム前にやるクリーニングはドラムに丸二日間入れて回しながら自然に有機溶剤が気化して自然に乾燥するまでドラムに入れるのです。

ただ、私がここに書いているようなことは、誰も気にしてはいません。

ここまでやっていることさえ、一般の業者さんには、このブログを読んでも理解もできず、信じることもないのかと思います。

皮をギリギリまで薄く鋤くことや、長期の柔らかさを維持するための皮に入った脂の量を調整したりすることは国内どころか海外でさえも、誰も気にしていないのが現実です。

もちろん、これだけでパショーネの商品が綺麗に見えるわけではありません。実際に作る感性と技術があっての現在の品質ですが、同じように私が作っても皮の状態の悪いものは、同じ仕上がりにはなりません。

それだけははっきり言えます。それくらいに皮の状態が仕上がりに影響します。

今日書いたことは、理解してもらうのには、かなり難しいテーマでしたが魅力的な毛皮にするという意味では、すごく大事な問題です。

 

長澤祐一

 

追伸  先日、鞣しの技術者さんと話をする機会があり、皮を鋤くためには鞣し用の油を入れるらしいです。脂ではなく油です。その油の目的は、皮を鋤くときに毛根を切らないようにするために皮を膨らませる目的だそうです。油を皮に塗って染み込んだ後にコーンスターチを溶かしたものを塗ってさらに皮が膨らむようにするようです。その時に使った油を抜くためにもドライクリーニングが必要だとも言っていらっしゃいました。頂いた電話で40分も話し込んでしまい、申し訳ありませんでした。そして互いに知識を深められたこと嬉しく思いました。いつかこのことは別に書きたいと思います。

 

私が34歳の時、この仕事で独立した頃、当時、海外の有名な某ブランドのアトリエに入って仕事をされた経験をお持ちの方に付属屋さんの紹介で、お会いする機会がありました。国内でも当時は有数の職人さんだったかと記憶しています。

その当時、数回お会いし、当時のその方のアトリエを拝見させていただいたり、いくつかヒントを頂いたり、お作りになられた商品を見せていただいたり、自分の作ったものを見ていただいたりと、大変お世話になった記憶があります。

当時、私は、まだWindowsではなく、DOSVパソコンをいじりだしたころで、その頃、すでに、いずれ、こんな手仕事でも必ず、コンピュータを多用する時代がくると、今では考えられないような貧弱なソフトで作り方を記録していたり、アシストカルクという表計算ソフトでデータを管理したりして、毛皮という超アナログな仕事にコンピュータを使うことをトライしていました。

何かの電話で、当時その崇拝するほど距離のあった、その職人さんにコンピュータについて話す機会があり、こっちは独立したばっかりの超ド新人で、それでも、熱く思いっきり、いつかコンピュータの時代が来ると、その職人さんに語ったのを記憶しています。

反応は、もちろん冷ややかなものでした。ご自身の仕事に大きなプライドをお持ちでしたから、コンピュータでものが作れるなら苦労しないと言われ冷ややかに笑われたことを覚えています。
もちろんこっちは、何も言えるはずもなく、黙って奥歯を噛むしかなかったのですが。

それから28年くらい経ちました。私の今の、この超アナログ的な作業の連続の毛皮を作る仕事のなかでも、コンピュータが使えなくなったらどうなるか?など想像しなくてもコンピュータがなければ何もできないことがよくわかります。東北の大震災の時にも電気が使えないというだけなのに、手作業の私たちの仕事が何もできませんでしたから。。

作業の全てが、CADやデジタルデータによってコントロールされているから

その職人さんも、当時を思い出すと細かくノートに裏地のまとめ方などを記録していたのを思い出します。そうなのです、その職人さんも実は、アナログですがデータ化をしていたのです。私はそれを、デジタルデータとして保存したり、作り方の難しいもは動画化して、それをエクセルのハイパーリンクですぐに見たいデータが見れるということをしているだけなのです。

今では、動画はあたり前の時代ですが、20年前では、デジタルビデオカメラなどない時代で、8mmビデオカメラで撮って、デジタルデータ化するのも撮った時間と同じ時間をかけて8mmを回してデータとして取り込んだものでした。今は一瞬で取り込めますが、そんな時代から動画化をしていました。

私たちのような手作業の多い仕事は基本的には頭脳と手先の熟練によって作業が行われていますが、どうしても全ての情報を覚えることは出来ません。膨大なデータ量ですから。仮に、私はデータなど使わないで仕事が出来るという人がいれば、それは、毎日、同じ種類の仕事をしていらっしゃるか、もう一つは少し否定的な意見ですが、たいしたレベルの仕事をしていないという証です。決して自慢できません。

私のアトリエでの仕事は手作業の部分が大半ですが、その作業をコントロールしているのはデジタル化されたデータなのです。こういう場合はこう作れ、、、とか、CADもそのひとつです、何度でも同じデータが使え、プロッターで出力できます。

以前、youtubeで孫正義さんの公演を聞かせていただきましたが、そのなかで、多分チップの能力の話だったかと思いますが、この30年で2の20乗、いわゆる100万倍進化し、さらに今後30年でまた100万倍進化すると言っています。もう、数字が大き過ぎて、よく解らない世界ですが、おそらく私たちの仕事もきっと大きく変わるのだろうと想像はつきます。

私のところにある島精機の古いSDS-ONEでも、コートの色をリアルに替えることができますが、そんなことはもうあたり前で、3Dシミュレーションでデザインやトワルのチェックも出来るという、つい、10年前ではおもちゃのようなソフトも、コンピュータの能力がものすごい勢いで進化したことで、今後はソフトもどんどん進化して私たちの毛皮を作る仕事でさえも、実際にコンピュータのなかで全ての予測や段取りができてしまい、あとは実際のモノづくりだけが手作業として残ってしまう、そんな楽しみな時代が来るのかもしれません。

オーダーもZOZOTOWN(ゾゾタウン)のような考え方があたり前になり、私たちのような小さな規模の企業にも、新しいシステムを導入して行かないと生き残れないというのは、おおよそ想像がつきます。

私たちの、大半が手作業のような毛皮を作る仕事でも、作る人のテクニック以外のほとんどのものがコンピュータやデジタル化された機器によってコントロールされる時代がくるのでしょう。そうなればなるほど、私たちの手作業の部分だけが大事な仕事として残ります。もちろん、手作業以外がデジタル化によってコントロールされた企業になったときの話ですが。

そして、当然、三回目のブームと言われているAIも大きく関わることになるのだろうと思います。私のところも、パターンを作る作業等で、毎回同じ作業を強いられます。毎回やっているにも関わらず、毛皮専用のパーツパターンを作ったりすると、細かいミスが頻発します。

マニュアル化しても、人がやれば、やはりミスは何度も起こります。AIがもっと身近になれば、こんな問題はなくなるのでしょうが、現状はまだ難しいのです。

私の仕事が現役で出来る限られた時間との勝負になるのでしょうが、早くそんな時代がくれば、より手作業でしかできない仕事の大切さがクローズアップされるのだろうと思います。

今日のテーマは、一週間かけて少しずつ書き溜めましたので昔のブログのように少し長めになりましたが、今日のテーマのコンピュータは、私のなかでも、本当に大事なツールであり、同志のような存在です。

もちろん、分からないことが多くてたくさん苦戦もしていますが、これからも、コンピュータの能力に注目し、自分の仕事にどう活かせば、もっと仕事が楽しくなるのかを考えて日々の仕事をして行こうと思います。

長澤祐一

 

にほんブログ村 ファッションブログ オーダーメードへ

もう、どのくらい更新をしていないのか忘れてしまうほど長期に渡ってお休みをさせていただいておりました。にも関わらず、毎日アクセス数は変わらずに続いており、ダイレクトで入って頂いている読者の方や、Google等から入っていらっしゃる読者の方、本当にありがとうございます。

四月で、ようやく三年以上お待たせしてきたお客様のものが終わり、あとは、デザインが決まらずに、仕掛ることができないもの等、まだまだ仕掛らなければならないものはたくさんありますが、昨年決定したもの以外や、デザイン未決定のもの以外は一応一区切りという状態になりました。

最後に仕上げたものは薄いピンクのアーミンのコートでした。本当に、長期に渡りお待ちいただきましたが、仕上がりには本当に喜んでいただいて、長い間、仕掛れずに苦しんできたことも、ようやく報われたような気がいたします。

そして、長期間お待ち頂けたことを誇りにも思います。写真は正面からだとデザインが全部分ってしまいますので横からのものをアップします。

アーミンコート Read More »

今日は、ミシン針の針先を研ぐ(その2)の続編として、毛皮用で使う三角針について集中して書いてみます。

前回、グラインダーで研ぐと書きましたね。最近、家内の意見を聞くと、少し訂正をしないといけないと感じました。

三角部分の針先も研いだほうがいいというように書いてありますが、男性と女性では指の力が違うようで、女性は、三角部分を研ぐことで、皮を切って進んでいくことがしにくくなり、ザクッという刺さり心地がなくなり、丸針と同じ、ヌルッとした刺し心地になるようで、それが刺さりが悪いと感じるようです。

三角針は、表面を削ってあるぶん錆びやすいこともあり、私はグラインダーで研ぎますが、それが、女性には刺さる感じが鈍くなると感じるようです。 Read More »

スクリーンショット 2015-07-22 09.16.12

今日は以前当ブログで書いた>Dropbox プロ(個人ユーザー向け)の使い勝手で、最近判明したことを少し訂正をしようと思います。

以前からも会社で使うHPのZ1というワークステーションが重く感じることがあったのですが、ドロップボックスプロの導入後、特に重く感じることが多くなりました。 Read More »

messagepart

今日は以前書いた特殊ミシン、ハンドステッチミシンの続編を書いてみます。

このハンドステッチミシンの語句は意外に検索に引っかかるようで、ハンドステッチミシンに興味をもっていらっしゃるかたがたくさんいらっしゃるのでしょう。

以前の記事を読んでもらうとわかりますが、私のところのハンドステッチミシンはコンプレットタイプなのです。AMFなんて、とても買えません。

年に数回しか使わないのですから。それでもひとに頼んでステッチをかけるのは委託加工ということになり、どうしても微妙なタッチが伝わらず、さらにわずかの仕事をわざわざ仕様書を書き、説明もも加え電話をし、、、、と 自分でやったほうが早いかも、、とおもってしまうのです。 Read More »