PFAFF 3560でセーブルをレットアウト

今日は以前、紹介いたしましたがPFAFF 3560というミシンでセーブルを縫う動画をご紹介いたします。ビデオはワンクールだけで短いですが、多分ヘビーシルバリーセーブルを縫ったときのものだと思います。シーズン中で急いでいて、一瞬だけ撮ったのだと思います。

この動画はセーブルの皮の薄さと縫いの薄さを知ってもらうために、縫っている部分に近づけて撮っていますので、手ブレが少し起きています。でも、縫い目はしっかり見れますので是非ご覧ください。

PFAFF 3560でセーブルをレットアウトする

30年以上前に多分、当時の西ドイツで作られたこの大きなミシンは、当時、日本で大流行していたミンクのコートのレットアウトをするために作られました。私が独立する前にも当時代理店をやっていたところに来てもらい、縫いのサンプルなどをみせていただき、ちゃんと調整すれば縫えるのだろうと確信していました。 (さらに…)

パショーネのアトリエ設備

今日は先日、久しぶりにパショーネのアトリエ一階の掃除・片付けをしたので、写真にして初めて公開しようとおもいます。興味のある方は見てください。興味がないひとにはまったく面白くない今日のブログです(汗)。

お客様にもあまり見せることがない、この一階には、二階アトリエで設置できないものが置いてあります。

パショーネのアトリエ設備

下の画像の左端のキャメル色の扉のついている大きな四角い形をしているものが(半分しか写っていませんが)乾燥機です。90c × 180c の板が ゆとりを持って6枚は入ります。しかし、今は全部入れることはありません。 その右隣、写真中央の白いテーブルにブルーの色をしている機械が回転アイロンです。ローリングアイロンとも呼ばれているようですね。多分、イタリア製だと思います。 (さらに…)

島精機 SDS-ONEの問題点(その二)

以前、島精機 SDS-ONEの問題点という記事を書きましたが、このタイトルと同じ語句で検索されて、このブロクに入ってきてくださる方がたくさんいらっしゃいます。そんなこともあり、少し追記をしてみようと思います。

当時10年以上前のことですが、島精機SDS-ONEを購入時にはこの業務用コンピュータの性能と価格の安さに驚きました。私は東レのCADを解約して、このSDS-ONEに乗り換えたわけですが、今でも、これから書く事以外のアフターやフォローについては、申し分がないのです。誤解のないよう読んでください。

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10年前の島精機 SDS-ONEの現在の状態

ただ、ひとつ辛いのは、これだけPCの性能が上がった時代でも、10年前のPCを使って作業をしなければならないという不便さがあります。 (さらに…)

毛皮の作り方のポイントを動画化

IMG_1111弊社アトリエでは、一年に数回しかやらないという仕事がたくさんあります。すべての作り方を記憶するというのには、とても難い情報量です。そんなことで、20年前くらいから作り方のポイント等を動画化しておくようになりました。

しばらくぶりにやる仕事はだいたい、最初は思い出しながら、最後のほうでやっと思い出し、あ~~~前回もこうやったよな~~とかになるのが一般的です。

これによって、車でいえば、久しぶりにやる仕事は、ローギアから入って、セカンド、トップっというように徐々に、思い出しながら作業スピードが上がっていきますが、動画化してあると、スタートもセカンドギヤからのスタートが出来ます。

それ以前は紙やPCに記録し、テキストや画像でマニュアル化していましたが、意外に画像でも理解が遅い場合が多いのです。

動画の場合は、一気に情報が入ってきますので、とても助かります。今でこそ、動画は当たり前ですが、当社では20年前からやっていて、島精機SDSONEを買ったときにも、HELPを動画でマニュアル化したら、、、と提案したのを覚えています。 (さらに…)

ロシアンブロードテールと島精機PGM(CAD)

ロシアンブロードテールという素材を接ぎ合せる作業について書いてみます。まずは下の写真を見て下さい。

1 パターン

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2 ロシブロの縫い

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3 袖の縫い上がり

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4 袖の仕上がり

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通称ロシブロと言われるこのロシアンブロードテール素材は、附に特徴があります。その附を利用して、原皮を接いでいくのですが、一般的には、手縫いの一着分になったプレートとして売られています。 (さらに…)

レットアウトのシミュレーション(島精機のCAD(PGM)の使いやすさ)

本日は弊社アトリエで島精機のCADがどう生かされているかをご説明したいと思います。

島精機のアパレルCADは通常のアパレルCADと違い、レイヤー形式になっていません。大きなキャンパスに、自由にパーツ化したパターンを置き、そしてパターン内部線やそれ以外の線も自由に書くことができます。

自由にパーツ化するというのが意外に他のレイヤー形式のCADではできません。出来ないというよりも、大変な労力がいるということになるのでしょうか。通常は透明レイヤーに線を引き、重ねてみることによって様々な作業をしていますが、島精機のCADはすべてがパーツ化してあります。

仮に100個の小さなパーツを使って”自由に”作業をすると、レイヤー形式のCADだと、多くのレイヤーが必要になりますが、島精機のCADはパーツが100個大きなキャンバスにあるということになり、都度、アクティブにするためにレイヤーを指定する必要もありません。
(さらに…)

キヤノン EOS 70Dで撮る毛皮画像

TOWARU

昨年11月にキヤノン EOS70D (CANON EOS 70D)というカメラを買いましが日々の業務に追われて手付つかずだったのですが、最近やっとこのカメラを使い始めました。

この機種はプロ用ではありませんが、アマチュア用としては、結構ランクの高いほうの機種だったように思います。もちろん私はプロのカメラマンではありません。 (さらに…)

ぴか蔵で毛皮用ナイフの刃を研ぐ


ナイフ

今日は毛皮用ナイフのことについて書いてみます。

先日「ミシン針の先を研ぐ」ことを書きましたが、毛皮のナイフには昔の職人さんたちが使っていた、畳包丁のようなものから、写真のように刃が取り替えられるものといくつかあります。

包丁は私も以前使いましたが、研ぐのに手間がかかりすぎます。細かいところも切りずらいです。

上の画像は長方形の刃を半分に割って使うタイプのナイフです。私は付属屋さんからドイツ(多分)製のナイフをいただいています。今日も、ただの紹介で終わるのでは、このブログの意味がありませんので、隠しネタを少し書いてみます。

このナイフの刃、特にドイツのものは本当によく切れます。危ないほど切れます。 (さらに…)

アトリエの設備投資


ヒートレスアイロンHSP320(ナオモト工業)

今年また設備を少し増やしました。昨年11月27日付けの当ブログ「毛皮の毛の癖をとる」で書いたインバータコントロール付きで、仕上げ馬が二台付いていて、バキューム/吹き上げの付いたバキューム台です。

これでバキューム/吹き上げの付いたバキューム台が二台と吹上のないタイプが一台になり、表生地を縫う時などは、片方で通常のアイロン、もう片方で仕上げのアイロンというように同時作業も出来るようになり効率が上がりました。 (さらに…)

ミシン針の針先を研ぐ

今日は毛皮用ミシン(カップシーマー)の針について書いてみます。
毛皮用のミシン針は、通常の平縫いミシンの針より少しだけ長いのが特徴です。そのぶん針穴から針先までも長いのです。縫う素材によって太さが変わるのは当たり前なのですが、一般のミシン針よりは細い針の種類が多いかもしれません。
私の普段の仕事のなかでは既成で完璧に仕上がっている針先を研ぐというのは当たり前のことなのです。例えば、本縫いミシンであれば生地によって糸引きが起きないよう、先を少し丸くしたものとかがありますね。
私は、本縫い用の針でも毛皮用ミシン針459Rでも、針先が気に入らない時にはダイヤモンドやすりで削ります。毛皮ようのまつり針で三角針という、先が三角に削られているものがありますが、あそこまでにはしませんが、既成の針先が甘いと感じると必ず先を研ぎます。
その後、少し先がとがりすぎている状態で使うか、バフをかけて磨くかは縫うもの次第になります。
少し前のことですが、一度、過去にミシン屋をやっていた方と、一緒に仕事をする機会がありました。その彼に、針先を研ぐ話をしたところ、その彼は、ミシン屋として、完成されたミシン針の先を削るなんて邪道でありえないと、きっぱりと言い切りました。
しかし、仕事のなかで、その先の尖った、かかりのよい針の使い心地を知ると、いつしか、自分から針先を研ぐことするようになっていたのです。
既成概念で、新しい針なら大丈夫だと、そう信じてしまうのかもしれませんが、メーカーが作った針がすべてパーフェクトではないのです。一般的には毛皮の針はとくに先が欠けたら、もう使い物になりませんので100%取り替えるしかないのですが、私は針先が折れても針先を研いて使うことも試みます。
もちろん、コストのことも少しはありますが、それよりも縫い心地が優先します。毛皮のミシンは皮の薄いものだと、0.3mmくらいの薄さで縫わなければならず、わずかな針先の欠けでも皮が縫えずパンクする原因になり、とても神経をつかうところです。針先が曲がっても直すこともあります。意外に針穴にバリが残っていて、テンションを強くかけると、その針穴のバリのせいで糸切れが起こります。針穴が綺麗な状態の針は多少、曲がっても直しますし、先は削って使い、折れるまでは使います。
よくリフォーム品でほどきながら思いますが、糸切れ、パンクの量の多さに、ほどく気力がなくなるくらい糸切れ、パンクの多いものがあります。技術が未熟なことは当然なのですが、針先がかけているのに気が付かずに縫っていたりすることで起きるパンクも多いのです。
縫い目を見れば、技術者のだいたいの力量も解ってしまうほど、毛皮にとってミシンワークは大事な仕事です。もちろん、簡単に、いい加減に縫うことはどんな世界でもあることですが、毛皮ミシンのテクニックはいろんな素材を扱うということもあり、私はかなり難しいと考えています。
そんななかで針を研いで使う。そして、針の正確な知識を知るということが、ミシンワークのなかで意外に大きな割合を占めているということも見逃せないのです。
写真はシュミッツの459Rの一般的な太さの45番ですが、針先は拡大すると意外に丸いのです。写真ではなかなかわかりにくいのですが、倍率のすごく高いルーペ等を使えば想像したよりも先が丸いのが解ります。
長澤祐一
毛皮用ミシン針459R

 

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