どれだけ、書いていることとやっていることが一致しているか?

どれだけ、書いていることとやっていることが一致しているか?

今日のテーマも難しいですね。

 

しかし、これはこれまでのお客様に判断していただくしかありません。

と、普通は書きますね。

確かに、これまでやってきたことでしか判断はしてもらえないのです。しかし、それは事実と違う場合があります。

それは毛皮という素材をお客様が理解できないということがあります。私は、お預かりしたものはどんなことがあっても最高の状態にしようと未知の劣化の酷いものでも、何とかしようとします。

お客様に判断して頂ければと言えるのは、簡単なことです。とても綺麗な言い方で誰でも言いそうな文言です。現実はそんな簡単ではありません。

以前書いたかどうか記憶にありませんが、本当にどうにもならずに、お客様に極限までやれることをやり、どうにもならずに、ご理解いただいたことが一回だけあります。

blogを始めて二三年のときだったかとおもいます。劣化等について書き始めた頃に、駆け込み寺のように、たくさんの問い合わせがありました。その中でどうしても、思うようにならないコートがあり、その時は、頭を下げ、お客様には許していただきました。都度途中経過も説明しながらです。

最後は、長澤さん、もう良いですよ。もう十分やっていただきました、、、と言ってもらいながら、これ以上は無理だと自分で判断しあきらめたことがあります。

 

劣化のあるものは読み切れるものと、先が全く読めないものがあります。そんなこともあり普通は絶対やりません。一般的な業者のほとんどは、劣化や硬化に対して知識がないということもありますが、そのために少しでもリスクのあるものは受けません。それは仕方ないことなのです。責任が持てないということが一番の理由です。まして高額な毛皮という素材ですから。

私の場合は自分なら出来るかもしれないという気持ちと、なんとかして上げることが出来ないだろうかという気持ちが半々で、お引き受けすることがほとんどです。

もちろん、利益なんか度外視です。利益やリスクを考えるから他の業者さんは絶対に手を出しません。それはよく解るのです。でも、だから何時までたっても、技術力が進歩しないともいえます。

 

確かに、リスクのある状態のコートのリフォームは利益なんかまったく出ません。しかし、ノウハウという大きなメリットは自分に残せます。そのノウハウは次に必ず役に立ちます。

もちろんすぐではありませんが、複数の結果は必ず回答を導きだしてくれることがあります。

 

ただ、正直言うと、複数の失敗したデータから導きだされた結果が、一番最初に解っていれば、あの時のあのコートももっとよく出来たのではないかと思うこともあり、申し訳ないと思うことも多々あります。というかその連続です。科学技術も含め、それはあたり前のことと思いながらも、あの時に今ある技術があれば、もっと良い処理が出来たのではと思うことが多いのも事実です。

ちなみに劣化について少し説明しますが、完全に繊維のチェーンが外れてしまい、段ボールの紙のようになってしまうと、水に濡らしただけで簡単に切れます。こうなるともう100%どうにもなりません。

じゃあ何故こんなに格闘するかというと、ほとんどの場合は劣化しかかっている状態であったり、硬化してしまって元に戻すことができないと判断されてしまったりして一般的な業者からは、これは元には戻りません、または出来ませんと言われてしまうのです。

一見、丈夫そうに見えるヌートリアが簡単に切れることを以前書きましたが見た目ではなかなか判断が出来ないのです。

 

今日もタイトルと一致したかどうかわかりませんが、いつも頭のなかでぐるぐると考え悩んでいることです。

どれだけ、書いていることとやっていることが一致しているか?難しいテーマです。

ただ、お一人でも、このブログを読んで、もしかしたら、、と思いお問い合わせくださる方には、これからも、全力でフォローを致します。

前回のファーブランドとして生きるという記事でも書きましたが、毛皮が好き、、毛皮で助けて欲しいという方がいらっしゃいましたら私にできることは、時間はいただきますが全力で致します。

 

長澤祐一