パフ(PFAFF) 3560

今日はパフ(PFAFF)3560というドイツ製の自動機について書いてみます。パフ社は主にアパレル縫製機器、特に大型機器をたくさん開発している会社です。

今回ご紹介するPFAFF3560は、パフ(PFAFF)社が28年くらい前に、毛皮のビジネスが日本でも勢いを増してきたころに開発された大型のミシンです。毛皮にはレットアウトという、毛皮を斜めにカットしてそれをずらして縫うテクニックがあり、当時はこの加工方法を使ったコートがたくさん売れていて、このレットアウトにとても大きな労力と時間をかけていました。パフ社がこれを人間の手ではなく、機械が全て縫ってしまうという画期的な自動機を出したのです。

価格は全ての費用を足すと、大きめのマンションが簡単に買えるような値段になっていました。しかし、当時、毛皮がどんどん売れていたことや景気もよかったこともあり、高額なミシンにも関わらず国内に10数台入ったそうです。

当時は、このミシンが入ったものの、上手く使いこなすことが出来なかったり、思うように動かなかったりという噂がありました。しかし、ミシンの設定と使い方を工夫すれば使えるのではと思い20年前に、すでにどこも使ってない状態で廃棄したり売りたがっているところがあったので中古で2台買いました。

買った当初は、この機械と毎日格闘するような毎日でしたが、日々の症状をデータ化したりパーツを加工したり、機械全体を調整したりして、やっと最高の状態で縫えるようになってきました。もう、メーカーにもパーツ在庫もない状態ですが2台分のパーツのストックがあり、当面は心配なく使える状態にあります。

ビデオでは縫っている一部分しか見せられませんが大きさは横2.5メートル以上もある大きなものです。当初パフ社はミンクその他の短毛素材のレットアウトという謳いでしたが、当社では高級商材のセーブルで極薄の皮も、このミシンで縫っています。機械は難しいともいえますが、ちゃんと機械が望むように設定・調整をすれば、これほど充てになるものもありません。


パフ(PFAFF) 3560 – PASSIONE

レットアウトを機械でするメリットは伸ばしたい長さに正確に出来るという点です。通常は原皮の左右を縫うのに人間がミシンで縫う場合、人の手の誤差や縫い目が左右で逆になることもあって、それぞれの縫い上がりの長さに誤差がでます。毛皮の皮が伸びる素材ということもあって、縫い上がりの誤差を伸ばしたり縮めたりして調整をしてごまかしています。

長さを調整して、ごまかすことは技術者は一般的な技術と受け止めていますが、実際は皮の左右で、皮を引いている縦横の比率が変わります。コート全体で考えれば至る所でそういう状態の皮が存在する訳です。これが、後の形の変形や歪みの原因になります。

毛皮のコートは一応パターンを使用して作りますが、その後に、生地にバイアスがあるように、毛皮の皮も伸びたり縮んだりしますので、パターンそのままの形を保持しながら、柔らかさや軽さを表現するのは、かなり高度な技術が必要になります。

そんな意味からも、レットアウトがどの皮も予定した長さに縫えるということは、とても大事なことになります。PFAFF3560は人の手ではとても難しいレットアウトを高いクウォリティで仕上げてくれます。もうとっくに寿命は過ぎていますが、いまだに当社では動き続けています。

おそらく、この自動機が動いているのは世界でも当社しかないのではないでしょうか。ミシンが動くところを見たことがないひとが大半だと思いますので、今回は動画でお見せいたします。このミシンで縫ったものが7/7スカングローミンクロングコート、7/19パールミンクロングコート、8/3セーブルショール、8/7ブラックグラマミンクハーフコートです。是非、ご覧いただけたらと思います。

長澤

にほんブログ村 ファッションブログ オーダーメードへ
ファッションブログランキング