クリーニング溶剤と毛皮クリーニングについて

今日は、クリーニング溶剤と毛皮クリーニングについてという話題です。

先日、あるサイトで毛皮クリーニングで、お客様の要望を聞きながら使う溶剤の種類を選ぶと記載がありました。

私のブログで書いていることと似たような記載もあったり、出来ないところは既存のパウダークリーニングに逃げていたりと、実際やっていないで書いていることが露骨にわかるようなサイトでした。

私は、通常のドライクリーニングは詳しくは解りません。

しかし、毛皮のことなら解りますので少し誤解があるので書いてみます。

用途に応じて、または要望に応じてという部分には理解ができません。どんな用途があるのか?溶剤を使い分けるほどの具体的な用途とは? それをお客様側から要望できるのか?

そんなことはありません。大半の毛皮業者も具体的に何十年も経った毛皮素材をみて、劣化の進行状態や毛の傷み具合を見抜けるひとはほとんどゼロに近いはずです。

お客様が溶剤を使い分けるための要望を具体的に提案することなどできません。

なぜ溶剤(有機溶剤)を使うかという意味は、毛皮の皮面や毛についた、または元々残留していた汚れや脂を溶かして、気化させるかオガに吸収させて取り除くかという目的です。

ドライクリーニングでは洗剤も一緒に入れると聞いたことがありますが、毛皮に洗剤は使えません。生地と違って洗いずらい素材です。

以前ロシアから仕入れたバイオクリーニング剤は洗剤ではありませんが、多少泡立ちはします。皮面に染みこむほど濡らすことはしませんが、毛の部分の半分以上は濡らして汚れを拭き取る感じで作業します。

私も、何度かやりましたが絶対的な結果は出ていません。

しかし、国内業者がメインにしているパウダークリーニングよりは良い気がします。

話戻しますが、溶剤の使い分けがあるとすれば、速乾性や油汚れなどを溶かすスピードのために使い分けがあるように感じます。

理由は簡単です。一つの作業を終えるのに、より短い時間で同じ効果が得られるからです。そうすれば、儲かるからです。

液体フロンのようなものも以前毛皮でも使ってましたが、今は使えません。

お客様の要望を聞いて溶剤を使い分けるというのは、一見正しいことを書いているように見えますが、自信があるならば、その詳細を逃げずに記載すべきだと思います。

今、私のところもホームページを作っていますが、それらしく、、、それっぽく、、、 やってはいけない気持ちのよい表現に、つい手を出したくなりますが、1を100に、表現だけで見せるなんてことはやりません。

そんなホームページを作ったら、このブログやオンラインショップで書いてきたことの信頼が総崩れします。

最後に問われるのは、書いていることがどこまで信頼してもらえるかです。

そのために多面的に記載もし、さらにそれに応えるだけの作業を提供しています。

生地のクリーニングで生地の特性を知らずに仕事をする人は少ないでしょうが、毛皮のクリーニングにおいても、適当に表面だけの知識でクリーニングが出来るほど甘い仕事ではないはずです。

せっかく、お客様の要望に応じて溶剤を使い分けると記載するならば、その内容まで踏み込むべきです。

深く突っ込んで記載しても、お客様にはわからないからという理由で記載しないというならば、お客様の要望に応じてなどと、まるでお客様が細かい部分まで知ってて要望を出し、それに対応して溶剤を使い分けるという記載はそもそもが違うだろう、、と思ってしまいます。

でも、こんな記載はネットのいたるところに見られます。

最後にタイトルに戻りますが、毛皮という曖昧な素材のクリーニングの難しさは、毛皮を作ることと同じくらい難しいと私は感じています。

その意味もあって、これだけたくさんのクリーニングの記事を書いています。

長澤