毛皮を軽くする

passione_6_5_2015

今日のテーマは「毛皮を軽くする」です。軽くする方法は最近の傾向は、毛皮の分量を減らし、オーガンジーのような軽い素材と組み合わせたりする方法が主流ですね。でも、これは、私にとっては、なんとなく逃げているようにしか思えずにいます。

私がいつも書いている軽さは、このことではなく、毛皮そのものを軽くする方法です。毛皮そのものを軽くできれば、他社がやっている軽い素材との組み合わせをすれば、もっと軽くなります。

そんななかで今日の写真はセーブルの皮を手作業で鋤いたものです。道具は、職人さんならわかると思いますので載せません。 (さらに…)

ロシアンブロードテールの作りについて(パーツ割り編)

ロシアンブロードテールの作りについて(パーツ割り編)

今日は、以前少しだけ書いたロシアンブロードテールと島精機PGM(CAD)というタイトルの内容を少し掘り下げて書いてみます。

写真1はCAD上で、後ろ身頃の原皮の割り振りを書いたもので、矢印右側がバーツを分割したものです。 この割り方で気になるのは背中が一枚の毛皮の幅でカットされていて、その左右は何故細いのか?ということです。

ロシブロパーツ割り

これはイスラエル等で作られる手縫いプレートにも、よく見られますが、中心や身頃前端に安定感を持たせる意味で真ん中やプレート端に一枚皮を持ってくることがあります。 (さらに…)

毛皮の染色後の毛癖取りと仕上げ

毛皮の染色後の毛癖取りと仕上げ

今日は毛皮が染色されたときに、一般的にどうなるのか?を書いてみます。毛皮の染色は、わたしは専門ではないので、いつもの自分のやったことのように100%の自信を持って書く事はできませんので、ご了承ください。

毛皮の染色の染料は、聞いたところによると特に毛皮用ということではないらしいのです。染色には酸性染料と酸化染料があるらしく、これは髪の毛も同じですね。このことについては、また次回お話することにして、今回は染色後の毛がどうなるか? そして、それをどうやって仕上げるかを書いてみます。

毛皮の染色後は、60~70度くらいのお湯のなかで染めるらしいので、熱がかかった状態で、おそらく、その毛皮を絞り、乾燥させるために、毛が上の写真のようにギラギラうねった状態になってしまいます。 (さらに…)

毛皮の水張りで使う道具

今日は一般の方には、まったく面白くない道具のお話です。

毛皮は生地のようにアイロンをかけたりして表面を平にすることもありますが、基本的には少量の水を使い、皮の表面に湿らせ、皮を伸ばしながら求める形に皮を張って平らな状態にして線を引いたりカットしたりして作業をします。

職人さんによって、その仕事の呼び名は様々なようです。水で湿らすことを味をする、、、ともいいますね。私は、職人さんに教わった経験がないので、あまり、通常、職人さんが使う言葉を知りませんので、ここではその呼び名は控えます。 (さらに…)

ミシン針の針先を研ぐ(その2)

2014年7月24日に、このタイトル「ミシン針の針先を研ぐ」で書いて、こんな記事誰も読まれないだろうと思っていたのですが、以外に検索から入ってくることが多く、今日は追加で毛皮用の針について書く事にしました。

一般的には、商品として完成している針を研ぐのは??と疑問に思うひとが多いと思います。しかし、検索ではよくこのタイトルに近い語句で入って来ていただいてます。

毛皮針の針先研ぎ方とその他、気になること

毛皮の針で、三角針という、先が三角に削られている針があります。毛皮の皮が硬い場合には、よく刺さって良い針です。しかし、この針で生地を刺すと、場合によっては生地を傷めます。それと、三角に削ってあるぶん、少しだけザラつきがあり、針先の三角部分は少しだけ、滑りがわるいことがあります。このザラつきが皮を切って刺さっていく大事な部分でもあり、しかし、この三角針の弱点でもあるのです。他のひとは違う考えをもつかもしれませんね。あくまでわたくし個人の意見です。 (さらに…)

毛皮用ミシンのテクニック 

2015年5月2日付けの当ブログ記事“フォックス (FOX) のボリューム感を減らすテクニック”の最後に書いた『パショーネコンセプトのなかに”あたりまえのことをあたりまえにこなす とあります。口でテクニックを語るひとはたくさんいますが、実際に正確に縫える人はひと握りだということも最後に付け加えておきたいところです』の箇所が少し誤解を招きそうな気がしましたので、”毛皮用ミシンのテクニック”の観点から補足を書いてみようと思います。

毛皮用ミシンのテクニック

毛皮用のミシンのテクニックというと、スピードとかを競うような部分もあり早く縫えるひとが優秀と、とられがちなところがありますが、実際にはスピードはさほど問題ではないと私は思います。 (さらに…)

フォックス (FOX) のボリューム感を減らすテクニック

今日は久しぶりに毛皮のテクニック的なことを書いてみます。以前、当ブログのシルバーFOXマフラー(Silver Fox) でも書きましたが、わたしが書いた記事ではないのでテクニック的なことがあまり書かれておりません。今回、少し書いてみようと思います。

フォックスのボリューム感

フォックスは見たとおり、毛も長く毛皮のなかでも、最もボリューム感のある素材です。そのため、エリなどはフルスキンで使う場合が多いですが、コート全体になると、ボリュームが出すぎてしまい、以外に綺麗に見えないことがあります。

そのボリューム感を減らすテクニックはたくさんあり、例えば直線で縦にレザーを挟んだり、横にレザーを挟んだり、Vにカットしてレザーをはさみこんだりしてボリューム感を落とすテクニックが一般的ですね。商品でもそのようなものは、よく見かけます。 (さらに…)

毛皮用のクリーニングドラムについて

ご無沙汰しています。本日からまたブログ投稿を再開いたします。昨年9月に少し書いて、その後、2015年11月の更新が最後になっていました。

最初は、もっとしっかり更新しようと思っていましたが、お客様の受注を遅らせながら更新するわけには行かず、ずっと更新できずにいました。まだ、新規受注以外に難しい仕事が数点残っているなかでの更新ですが、今日はそのお客様達にも少しお伝えする意味でも更新をしようと思いました。

私とところでは、オーダーであれリフォームであれ、毛と皮の状態を最高の状態にするということに差はなく、どちらも徹底して自分の納得のいくところまでやらさせていただいております。それを知っているお客様もいらっしゃれば、知らないお客様もいらっしゃる訳で、しかし、知っていようといまいと、毛質と皮の状態についてはとことんやらせていただいております。 (さらに…)

毛皮の作り方のポイントを動画化

IMG_1111弊社アトリエでは、一年に数回しかやらないという仕事がたくさんあります。すべての作り方を記憶するというのには、とても難い情報量です。そんなことで、20年前くらいから作り方のポイント等を動画化しておくようになりました。

しばらくぶりにやる仕事はだいたい、最初は思い出しながら、最後のほうでやっと思い出し、あ~~~前回もこうやったよな~~とかになるのが一般的です。

これによって、車でいえば、久しぶりにやる仕事は、ローギアから入って、セカンド、トップっというように徐々に、思い出しながら作業スピードが上がっていきますが、動画化してあると、スタートもセカンドギヤからのスタートが出来ます。

それ以前は紙やPCに記録し、テキストや画像でマニュアル化していましたが、意外に画像でも理解が遅い場合が多いのです。

動画の場合は、一気に情報が入ってきますので、とても助かります。今でこそ、動画は当たり前ですが、当社では20年前からやっていて、島精機SDSONEを買ったときにも、HELPを動画でマニュアル化したら、、、と提案したのを覚えています。 (さらに…)

ロシアンブロードテールと島精機PGM(CAD)

ロシアンブロードテールという素材を接ぎ合せる作業について書いてみます。まずは下の写真を見て下さい。

1 パターン

passione1

2 ロシブロの縫い

passione2

3 袖の縫い上がり

passione3

4 袖の仕上がり

passione4

通称ロシブロと言われるこのロシアンブロードテール素材は、附に特徴があります。その附を利用して、原皮を接いでいくのですが、一般的には、手縫いの一着分になったプレートとして売られています。 (さらに…)