毛皮の仕上げ(ボリューム感を出すもうひとつの方法)

毛皮の仕上げの工程で、ミンクを例にとるとボリューム感を出すのに、いくつかの方法があります。

ひとつは、2012年8月6日付けの当ブログで書いたもっとも簡単にできる、スチームをかけて綿毛の根元のほうを縮れさせ方法です。

毛のボリューム感 http://wp.me/p2t2t1-7f

もうひとつは、あまり一般的ではありませんが、コラーゲンを使った方法です。毛をしっかりさせボリューム感をだすことに効果があるかもしれないと聞き、とにかく試してみようと思い、材料(コラーゲン)を仕入れて使ってみました。 (さらに…)

レットアウトのシミュレーション(島精機のCAD(PGM)の使いやすさ)

本日は弊社アトリエで島精機のCADがどう生かされているかをご説明したいと思います。

島精機のアパレルCADは通常のアパレルCADと違い、レイヤー形式になっていません。大きなキャンパスに、自由にパーツ化したパターンを置き、そしてパターン内部線やそれ以外の線も自由に書くことができます。

自由にパーツ化するというのが意外に他のレイヤー形式のCADではできません。出来ないというよりも、大変な労力がいるということになるのでしょうか。通常は透明レイヤーに線を引き、重ねてみることによって様々な作業をしていますが、島精機のCADはすべてがパーツ化してあります。

仮に100個の小さなパーツを使って”自由に”作業をすると、レイヤー形式のCADだと、多くのレイヤーが必要になりますが、島精機のCADはパーツが100個大きなキャンバスにあるということになり、都度、アクティブにするためにレイヤーを指定する必要もありません。
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レットアウト


レット・アウト(let-out)

今日はPFAFF3560レットアウトミシンで縫った、毛皮コートの裏側をお見せいたします。

一般のかたのなかにも毛皮の裾がフラシ仕様(裏地の裾が閉じられていない仕様)になっている場合には、毛皮の裏の縫い目をみたことのあるかたがいらっしゃるかもしれませんね。

後日、理論的なことは書きますが、今日は裏の縫い目を見てください。(細い線すべてが縫い目です)

今日は見てもらうだけで、たいした説明はありませんが、よく、お客様のなかで、裏が見えるようになっているのが、お値段の高いコートだというような認識がありますが、それは間違いです。 (さらに…)

ブルーアイリス(ミンクコートの軽さ、柔らかさ)

 

今日は、昨年9月9日に当ブログでご紹介したブルーアイリスミンクのオーダーメイド(ロングコート)の続きを書こうと思います。画質があまりよくありませんが、まずは上の動画をご覧ください。

メスの1サイズはカナダのオークションで買い付けた原皮で、オスに比べてサイズは同じでも毛質は総体的に柔らかく、そしてボリュームがある原皮です。

色は濃く、少しメタリックな感じがしますが、私がこの原皮で感じたのは濃いと言っても、綿毛はさほど濃くはない感じがしました。原皮に動きが加わり、綿毛の色が濃い刺し毛の隙間から飛び出してくると、青白いブルーアイリス本来の微妙な色がまるで蛍光色のように青白く光ります。私は、いつもこの感動を求めて、毛皮を作っているようなもので、それくらい綺麗です。 (さらに…)

チンチラの毛捌きとボリューム感

前回のブログ更新から10ヶ月も経ってしまいました。一年以上もグーグルの検索では一位だった毛皮のオーダーメイドも、二位、三位、四位、五位と順位が下がってきました。

さすがに更新しないとダメかと思い、何を書こうか迷っていて、毛皮で一番やっかいなチンチラをさらに突詰めて書いてみることにしました。

チンチラの良さや欠点をこれまでも、いろいろな角度から書いてきましたが、今日はチンチラの毛捌きというテーマで書いてみます。チンチラのいい商品として自分が上げるならば、フィンランドのリンナネンというメーカーのチンチラは私がみても綺麗だとおもえます。

以前も書きましたが、チンチラは皮の脂分が一般的にはとても多く、その脂分が下手な加工技術だと、というか、ちゃんとした設備と技術がないとうまくいきにくいのです。 (さらに…)

インペリアルセーブル (New York City) の技術力

今月は四日続けて、毛皮のオーダーメイド(原皮の調達、その二)に関する記事を書きました。話題が都度、飛んでしまい読みづらいかもしれませんが、今後も、大事だとおもうことをあっちこっち飛びながら書いていきたいと思います。よろしくお願いします。

ラインを太くする方法 (09/11/2013)
オーダーメイドの難しさ (09/10/2013)
ブルーアイリスミンクのオーダーメイド(作りの部分)
(09/09/2013)
毛皮のオーダーメイド(原皮の調達、そのニ)(09/08/2013)

今日は毛皮の技術者がはまりやすいところに焦点をあててみます。

一般的に、技量のある職人さんほど、カットしてカーブに縫ったり、複雑なジョイント方法を使ったりといろいろな、ごまかすテクニックを使いますが、本来のベストは、ぴったり毛の長さ、色、ボリュームを合わせ、余計なごまかしはしないという作りです。

そうすることで毛皮をいじめず、本来の良さを維持しながら毛皮を生かすことが出来ます。いつか書きますが、インペリアルセーブルというニューヨークのお店があり、そこにマーティン・パスウォール?という人がいて、セーブルやリンクス等を販売しているお店ですが、その彼が作るセーブルはまさに、そういう作りです。 (さらに…)

ラインを太くする方法

ラインを太くする方法として、メスの3サイズくらいのものを二枚で一つのラインにする方法があります。ですから、販売の現場で、少し毛皮の方法を知っているひとは大きいサイズを使わなくても出来ると言うかもしれません。しかし、それは原皮を足すと言うことが、どれほど難しいかを知らないからなのです。

セーブルはよく、頭から前足のクロスという部分まで落として、もう一枚の原皮のお尻部分の下に足すという方法があります。ミンクも毛の長いものや色の濃いものはやることがあります。 (さらに…)

ブルーアイリスミンクのオーダーメイド(作りの部分)

今回は作りの部分にも少し触れていきましょう。今回の問題点は、メスといえども、オスと同じくらいになると、毛質はメスの柔らかさを持っていても、皮はさすがに2~3サイズと比べると厚くなり、そのまま仕上げたのではオスの0サイズを使ったような重い仕上がりになってしまいます。

当然、私が通常やる再なめしということも考えたのですが、再なめしによって、ブルーアイリスにわずかにかけたブルーイングという青味をつけた色がなめしによって必ず落ちてしまい、しかも、均一に落ちれば再度ブルーインをすればいいのですが、落ち方が均一じゃない場合は、せっかくマッチングして選びこんだ材料の色がバラバラになりかねません。そのために再なめしは諦めることにしました。

しかし、このままでは必ず重い仕上がりになってしまいます。 (さらに…)