オガの一般的な効果と誰も気付かない可能性

今日のタイトルは、オガの一般的な効果と可能性です。

私もオガの科学的な知識はありません。あくまで使ってみた経験から得た知識でしかありません。

何十年も前のことですが、大量のオガを使ってフォックスのエリを綿や裏地を付ける前にかけたことがあります。私が毛皮を初めて四年くらいの頃だと思います。当時新しい工場の立上げに関わり、大きなドラム(毛皮の毛を取ったりクリーニングするための機械)が導入され試験的にオガでフォックスのエリに加工されたものの毛取りをしたことがありました

 

そのときのオガで毛を取り除かれたフォックスのエリの綺麗さは、今でも私の記憶から無くなっていません。目的はフォックスをカットして製品内に残った無駄毛を取り除くということだけなのですが、現実にはそれ以上に製品そのものの魅力というか、毛皮の魅力が最大限に引き出された状態で、大きな感動とともにその効果のすごさにショックを受けたことを覚えています。

一般的にはドラムという機械を小さな加工屋さんでは持つこともなく製品化されていらっしゃるところも多かったり、ドラムがあっても、毛皮の仕上がり時にわずかに加工時にでた毛を取り除くためだけに、わずかな時間をかけるだけのところが多いのですが、本来は、加工時に水を使うことで皮が硬化したものを柔らかくしたり、加工時に汚れた毛を綺麗に戻すという大事な役割があり、ドラムとオガの組み合わせは想像以上のものが存在します。

 

もちろんすべてのひとがオガとドラムによって仕上がったものに感動するとは限りません。しかし、最低限、作る側の人間ならばその効果を感じられる必要があります。

 

オガについては一般的に専門家の間では、オガの周りについている細い繊維(チャカチャカと飛び出ていると言われています)が毛のほこりや汚れを引っかけて取るともいわれています。そして、そのチャカチャカが無くなってしまうと、オガの効果はなくなるとも言われています。

鞣し業者さんでもオガを繰り返し使い、オガの交換の時期をそのチャカチャカが無くなった頃と判断しているようです。ただ、これは実際には顕微鏡でオガを見るようなことをしているかどうかはわかりませんので、おそらくですが経験的に何回使ったら廃棄するということになっているのだろうと推測しています。

ここで次に私のところでの使い方を記載してみます。

一般的には鞣しやさんで使う場合には、新しい原皮を仕上げるためにオガをつかいます。しかし、私のところで使う目的は商品化したものに対して使う一般的な使い方と、もう一つには古い毛皮、例えばリフォーム品などの皮や毛が極度に汚れたものを洗う場合にも使います。

そのためにオガについているチャカチャカによって毛の表面についている汚れだけを落とすだけではなく、以前も書きましたが、有機溶剤を同時に使って毛に付着している脂汚れや皮についている匂い成分や実際の汚れも落とします。

ずっと悩んでいたことがあります。

本当に、自分が想像した通りに、有機溶剤で皮や毛から溶け出した汚れが落ちているのだろうか?? 通常の洗濯の中で使われる濯ぎの時の水の役割をオガがしているのだろうか?という疑問をどこかで解決しなければなりませんでした。

 

そのために以前一度やったことがあるのですが、そのときに写真を撮ることを忘れてしまったり、洗う量が多すぎて上手くいかなかったこともあり、再度、オガを洗ってみて実際にどの程度オガが汚れを吸収しているかを確認してみました。

結果は想像通り、水は真っ黒になりました。

最近の洗剤は香料がついていることもあり使用せず、さらに、有機溶剤で溶け出した脂をオガが吸収しているとすれば、汚れとともに脂も溶かす必要がありますので、脂を落とす方法として、最近流行りのバイオクリーニング剤を使いました。洗濯機のなかにお湯をため込みバイオクリーニング剤を入れて水となじませてから、シーチングといわれる綿の平織りの生地に入れたオガを洗濯機の浴槽に入れて回しました。

 

結果は次回、写真でお見せいたしますが水が真っ黒になりました。有機溶剤は一般的な油も落とせますが、毛皮で使われるアブラは油ではなく脂なので油よりもさらによく溶かすことができ、オガに吸収されます。

但しです、脂、いわゆる樹脂製のものなのですので水だけで充分落とせると思い、鞣し屋さんからも専用洗剤を譲ってもらい、洗いましたが私が望むような落ち方はしませんでした。やはり一般的なドライクリーニングで使う規制のかかった有機溶剤でなくとも最低限有機溶剤である必要があることは経験でわかりました。

 

今回使った家庭用のバイオクリーニング剤は、例えば台所のガス器具周りの油汚れも落とせることで、強い油の洗浄力があることが解っていましたので、オガに汚れとともにしみ込んだ脂くらいは溶かすことが可能であろうと推測して使用しました。

 

以前やったときには、単純に水だけでしたが、今回はバイオクリーニング洗剤を入れましたのでやはり水の汚れかたが違っています。

 

ここで一度、オガに有機溶剤で溶かされた汚れが吸収されることがわかりましたので、ここでこの話は終わります。

 

今回のタイトル、オガの一般的な効果と可能性の、可能性という部分の話をしてみます。

 

前回も苦労しましたが、洗った後のオガの乾燥が問題でした。今回もそうですが、完全に乾燥するまでにひと月以上かかります。乾燥する専用の機械でもあればいいのですが、普通に表面を広くして広げて乾かしてもなかなか乾きません。

逆に考えると、保湿効果が高いとも考えることができ、その強い保湿効果で、有機溶剤によって毛皮の毛や皮から溶け出した汚れをオガが強力に吸収してくれるということが推測できます。

一般的な洗濯のように水をどんどん入れ替えて濯ぎをすることができませんので、オガに汚れを吸収する能力が高いということは、今回のテストでわかりましたが、とても大事なことなのです。

 

最後に少しだけ書きますが、前回の投稿二日後に起こったロシアのウクライナ侵略戦争が始まって以来、インスタグラムで知り合ったウクライナの友人二人の安否を毎日インスタグラムでのオンラインで確認したりメッセージで数日はやり取りしていましたが、さすがにメッセージを確認してもらう時間もないだろうと、ただひたすら相手のオンライン状態で相手の生存を確認するという状態が続きあっというまに20日間経ってしまいました。

さらにはインスタグラムでブロックされてしまったロシアの友人も、アメリカに移住したいと言っていたりして、しかし、アメリカは毛皮産業にとっては厳しい地域だったりと、自分のことも含め今後のことを心配する日々が続いています。

今はひたすら、ウクライナの友人の無事とロシアの友人の今後の仕事の無事を祈ります。

 

次回、今回つけることができなかった画像を上げたいと思います。

昨年四月から、再度書き始めたブログです。やっと一年近く経ってグーグルなどの検索にも引っ掛かりやすぐなってきていますので、ここで止める訳にもいきませんので、また再開いたします。

今日のオガの可能性については、今後も他では絶対に得られない、誰かに聞いた話を書くということではなく、私が実際に確認したことを書いてまいります。またこのブログに来てもらえると嬉しいです。

 

長澤祐一

 

インスタグラムでの友人

ここで政治の話をするつもりはありません。しかし、心配です。

私のインスタグラムのお互いにフォローをしているアカウントのなかにウクライナの友人が数人います。その彼らと、DMでわずかなやり取りをしています。

返信はわずかですが、爆撃が始まった、、とか、ヨーロッパからトラックで武器が届く、届いたら反撃する、、、 等とわずかな言葉のなかに緊張感が走ります。

その友人たちの年齢はおそらく50代か60代だろうと思います。それでも、国を守るために戦うといいます。ニュースではよく聞いていますが、現実にインスタグラムでしかやり取りしていない私にも国を守るといいます。

言葉がでません。

 

ロシアにも何人かずっとやり取りしている友人が何人かいます。そのひとりとやり取りしましたが、政府のやることを全く指示できない、、、と言っていました。ロシアでも自分の意志ではなく戦いたくさんの若者が亡くなっています。

きっと経済制裁によってこれから友人達の仕事も大変なことになるかもしれません。ロシア国内だけでなくヨーロッパへ商品を販売していると聞きいたことがあります。

とにかく早い収束と、友人たちの命の無事、経済的な無事を祈ります。  長澤祐一

毛皮のパウダークリーニングの疑問、そしてクリーニングが出来ることの本当の意味

こんにちは。投稿の間隔が少し短いですが、前回が結構空いてしまったので、今日もアップします。

これまでも何度も一般的な毛皮のクリーニングで使われている手法のパウダークリーニングを施されているコートのリフォームをしてきましたが、最近ようやく少し理解できたことがあります。

私のところでも、リフォームを依頼されることがあります。最近気づいたことですが、コートを解体して最後に作業台の上に、小さな粒が残ります。粉というよりもさらに大きな粒なのですが、クリーニングで使うおが屑とも違います。確定は出来ませんが、毛皮のクリーニングで一般的に言われるパウダークリーニングのパウダーと言われる粉だと思われます。それ以外に毛皮のコートの中に入るものはありませんから。

よくオガ屑も一緒にコートの中に入ることがありますが、今回はオガ屑ではなく小さな粒がたくさん、コートを解体した後に作業テーブルの上に残りました。以前もよくありましたが、このコートのお客様に聞いたところ、随分昔に二回ほど毛皮のクリーニングに出して、そのまま保管していらしゃったようです。

今日の一番のテーマは、毛皮のクリーニングをする業者さんが、クリーニング後の結果をほとんど知らないという事実です。しかし、それはしょうがないこととも言えます。クリーニング後に、その自分がクリーニングしたコートをじっくりと見ることがないからです。

一般的に使われている毛皮クリーニングの手法、パウダークリーニングを誰が最初に考えたのかは分かりませんが、今実際に作業している人たちは、きっと何も考えることもなく疑問も持たずに作業をしているのだと思います。もちろん責められることではありません。しかし経営者は今のパウダークリーニングが本当に効果があるのかは検証する必要があると私は思います。

私も、過去に毛皮クリーニングについて、かなりの量の記事を書いていますから、都度書いたものに責任を感じてはいます。

毛皮は本来クリーニングするものとしては、かなり特殊なものです。一般の布帛以上に都度取り扱いを分ける必要があります。

話を戻しますが、作業をする人がなんの疑問も持たずに作業をして良いと言えるほど本来は簡単な素材ではないのです。もちろん、作業しているひとがこの記事を読んだときに、肯定するか否定するかは分かりません。しかし、何割かの人は確かに、、、と思うはずです。一般的には作業効率が何よりも優先するのが当たり前ですから、敢えてパウダークリーニングを否定はしませんが、今現在、国内で主流になっているパウダークリーニングには問題も多く含まれていると私は感じます。

毛皮のクリーニングは基本的には裏地が付いた状態であれば、オガや有機溶剤、またはパウダーと呼ばれるものを使ったとしても、絶対に手洗いして、オガやパウダーを払い落すためにドラムにかけるというのが正解でしょう。考えれば当たり前のことです。

オガやパウダーと一緒にドラムにかけたら、絶対に裏地と毛皮のまつり口からオガやパウダーとよばれる粉がコートのなかに入ります。おそらくですが、いや絶対と言いましょう。業者はそのことを知っています。知っていて知らぬふりをしています。絶対です。こんな簡単なことが分からないはずはありません。それでも、それしか方法がない、、、 儲かる方法ですよ。儲かる。それしかないと考えてパウダークリーニングをしています。

私のインスタグラムのフォロワーのロシアの業者さんは、全て手洗いです。中にはバイオクリーニングをしているところもあります。ロシアのほうがクリーニングは遥かに高いレベルでやっています。しかも、日本のように毛皮が分からないクリーニング業者がやるのではなく、毛皮業者が自分でクリーニングをしています。

クリーニング屋だって、その気になってちょっと調べればすぐにわかります。しかし今やっていることを替えようとはしません。

現実に以前、ブランド品を専門に扱うクリーニング店の社長さんから問い合わせがあり毛皮のクリーニングをして欲しいと依頼を受けたことがあります。その方も今のパウダークリーニングに大きな疑問を持たれていたようです。もちろん私のところでクリーニングを大量に受けて仕事にすることなどありませんので、お断りをして毛皮専用のクリーニングドラムがなくても出来るクリーニング方法をアトリエに来ていただいて二度ほど少しだけ教えて差し上げたことがあります。ただひとつだけ言えば、毛皮の本来の状態を知らずにクリーニングの方法だけを学んでも無理はあります。またいらっしゃると良いのですが。

話もどします。パウダークリーニングは毛の表面、または毛の少し奥のところまでしか洗うことが出来ません。そのため、例えば匂いですが、表面に付いている匂いはパウダークリーニングで一度は取れる可能性があります。しかし、毛の奥から時間の経過とともに匂いが戻ります。極端なことを言えば、スチームなどを仕上げに使えば簡単に匂いが戻ってしまうのです。あとは時間の経過とともに湿気が出たり入ったりすることで匂いはさらに戻ります。

仮に毛の奥まで匂いをとっても、皮についている匂いを落とさなければ、またすぐに皮から毛の奥へ、毛の奥から表面へと嫌な臭いが戻ります。毛皮のクリーニングは本当に難しいのです。そのためには有機溶剤とオガで洗うしかないのですが、そのためには裏地や付属を全部外して洗う以外に方法がありません。

私のところでやる毛皮のクリーニングは、毛皮専用のクリーニングドラムを使いますが、時間で言えば48時間くらいかけます。オガと有機溶剤で洗いますが、丸一日程度では足りません。有機溶剤が皮に染み込み、皮の脂分が有機溶剤で溶かされ、オガに吸収され、さらに毛皮やオガから有機溶剤が完全に抜けるまでドラムを回し続けます。

以前は一日程度で終わっていましたが、研究を重ねた結果、48時間を目途にドラムをかけるようになりました。その理由は匂いもですが、柔らかさが一日では十分ではなく、有機溶剤が完全にゆっくりと飛びきったところで初めて完璧に柔らかくなります。理由は私にはわかりませんが結果が示しています。

でも、パウダークリーニングを専門にやっているところで丸二日もドラムにかけたら仕事になりません。コストも合いません。ですから仕方ないことなのです。

私のところでも、リフォームはコストがほとんど合いません。それでもとことんやる意味は技術向上と仕上がりのためです。お客様が誰とかも関係ありません。目の前の毛皮と向き合うだけです。もちろん既成の商品やオーダー品を作るときもそうです。

毛皮には見た目の美しさが十分にありますが、その美しい毛皮に嫌な臭いがあったり硬さがあったりすれば、毛皮本来の美しさは出ません。

作る職人さんは毛の仕上がりには拘るかもしれませんが柔らかさや軽さ、匂いにまでは気を使うことはあまりありません。

でも、その全てが上手くいかないと本来の毛皮の魅力が出ないのです。その意味でも毛皮のクリーニングは、古い毛皮の汚れや匂いを落とすということと同時に新たな商品を作るときにも絶対に必要な技術なのです。

美容室で髪をカットして、その後シャンプーをしてセットをしないことは少ないかと思いますが、それと同じです。新しい原皮だからすべてがパーフェクトとは限らないのです。皮が厚ければ皮を鋤いて薄くもします。匂いや硬さがあればクリーニングもします。

汚れたり匂いのついた毛皮を洗う技術は新しい商品を作る上でも、とても重要な技術なのです。

そしてパショーネがファーブランドとして生き抜くためにも毛皮のクリーニングは絶対に不可欠な技術なのです。

最後にやっと今日の大事なテーマ(クリーニングが出来ることの本当の意味)に戻れました💦

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

長澤祐一

どれだけ、書いていることとやっていることが一致しているか?

どれだけ、書いていることとやっていることが一致しているか?

今日のテーマも難しいですね。

 

しかし、これはこれまでのお客様に判断していただくしかありません。

と、普通は書きますね。

確かに、これまでやってきたことでしか判断はしてもらえないのです。しかし、それは事実と違う場合があります。

それは毛皮という素材をお客様が理解できないということがあります。私は、お預かりしたものはどんなことがあっても最高の状態にしようと未知の劣化の酷いものでも、何とかしようとします。

お客様に判断して頂ければと言えるのは、簡単なことです。とても綺麗な言い方で誰でも言いそうな文言です。現実はそんな簡単ではありません。

以前書いたかどうか記憶にありませんが、本当にどうにもならずに、お客様に極限までやれることをやり、どうにもならずに、ご理解いただいたことが一回だけあります。

blogを始めて二三年のときだったかとおもいます。劣化等について書き始めた頃に、駆け込み寺のように、たくさんの問い合わせがありました。その中でどうしても、思うようにならないコートがあり、その時は、頭を下げ、お客様には許していただきました。都度途中経過も説明しながらです。

最後は、長澤さん、もう良いですよ。もう十分やっていただきました、、、と言ってもらいながら、これ以上は無理だと自分で判断しあきらめたことがあります。

 

劣化のあるものは読み切れるものと、先が全く読めないものがあります。そんなこともあり普通は絶対やりません。一般的な業者のほとんどは、劣化や硬化に対して知識がないということもありますが、そのために少しでもリスクのあるものは受けません。それは仕方ないことなのです。責任が持てないということが一番の理由です。まして高額な毛皮という素材ですから。

私の場合は自分なら出来るかもしれないという気持ちと、なんとかして上げることが出来ないだろうかという気持ちが半々で、お引き受けすることがほとんどです。

もちろん、利益なんか度外視です。利益やリスクを考えるから他の業者さんは絶対に手を出しません。それはよく解るのです。でも、だから何時までたっても、技術力が進歩しないともいえます。

 

確かに、リスクのある状態のコートのリフォームは利益なんかまったく出ません。しかし、ノウハウという大きなメリットは自分に残せます。そのノウハウは次に必ず役に立ちます。

もちろんすぐではありませんが、複数の結果は必ず回答を導きだしてくれることがあります。

 

ただ、正直言うと、複数の失敗したデータから導きだされた結果が、一番最初に解っていれば、あの時のあのコートももっとよく出来たのではないかと思うこともあり、申し訳ないと思うことも多々あります。というかその連続です。科学技術も含め、それはあたり前のことと思いながらも、あの時に今ある技術があれば、もっと良い処理が出来たのではと思うことが多いのも事実です。

ちなみに劣化について少し説明しますが、完全に繊維のチェーンが外れてしまい、段ボールの紙のようになってしまうと、水に濡らしただけで簡単に切れます。こうなるともう100%どうにもなりません。

じゃあ何故こんなに格闘するかというと、ほとんどの場合は劣化しかかっている状態であったり、硬化してしまって元に戻すことができないと判断されてしまったりして一般的な業者からは、これは元には戻りません、または出来ませんと言われてしまうのです。

一見、丈夫そうに見えるヌートリアが簡単に切れることを以前書きましたが見た目ではなかなか判断が出来ないのです。

 

今日もタイトルと一致したかどうかわかりませんが、いつも頭のなかでぐるぐると考え悩んでいることです。

どれだけ、書いていることとやっていることが一致しているか?難しいテーマです。

ただ、お一人でも、このブログを読んで、もしかしたら、、と思いお問い合わせくださる方には、これからも、全力でフォローを致します。

前回のファーブランドとして生きるという記事でも書きましたが、毛皮が好き、、毛皮で助けて欲しいという方がいらっしゃいましたら私にできることは、時間はいただきますが全力で致します。

 

長澤祐一

 

 

小さくてもファーブランドとして生きる

今日は、小さくてもファーブランドとして生きる、、、というタイトルですね。

パショーネの元は毛皮を純粋に作るところから始まっています。

20年以上前は、少しだけ小売店等にも卸したりしていましたが、その後一昨年まで20年くらいいた百貨店の毛皮サロンに常設しパショーネブランドを前面に押し出した販売をしてきました。一昨年、その百貨店をやめたことを機に、昨年4月にオンラインショップを立上げたのですが、それでも、小売店という意識は、まったくありません。

かと言って、どこかに卸して、よりたくさんの商品を売るというようなことも考えていないのです。これまでもOEMも含め、国内某ブランドからのお誘いや各方面からのお誘いもあったりと、いろいろありましたが何処かに卸すとか、他の販売ルートを考えるとかは、一切ありませんでした。

それは、パショーネとしてのブランド価値を頑なに守ることが、すべてにおいて優先してきたからです。規模の大小は関係ありません。

そういう意味ではパショーネは一般的な小売店ではないのです。

オンラインショップやアトリエに併設した商品をお見せする場所もありますが、決して小売店ではありません。

小さくてもファーメーカーもしくはファーブランドとして存在しようとしています。そしてその商品提供の窓口が、アトリエに併設した接客スペースであったりオンラインショップだったりしています。

一般的に、小売店なら何を売っても成り立つのです。

しかし、パショーネは毛皮以外のものを売ろうなんて欠片も思っていません。

国内の某有名ファーブランドが通販でお酒も販売していますが、私のところでファー以外を商品として販売することはありませんし、もちろん洋服なども販売はいたしません。

ひたすら毛皮だけを販売してまいります。それは今後も変わることはありません。余計なものに目や時間を取られて毛皮に目を向ける時間がなくなることは避けています。

しかし、毛皮以外を扱うことを批難している訳ではありません。企業が継続していくということは、それほど難しいということも私は知っています。

ただ、私は企業として大きくするよりも自分の納得いくものをやりたいと、それだけを優先してきました。しかし、それでも事業継続は簡単ではありません。売上が取れれば何でもやりたいという気持ちは誰よりも分かるつもりです。

ただ、それだと何処かで本当にやらならなければならないことを見失うような気もします。他のアイテムを扱いだしたら、ファーの品質なんて継続して保つことなんか出来ません。出来ているというならそれは、厳しい言い方ですが、その程度のものです。ファー以外のものに目が行ったらファーのことは何処かに行ってしまいます。

ファーが宝飾のように大きな市場にならないのは暖冬や毛皮に対する誤解もありますが、ファー素材の均一化が難しく、とても曖昧だからです。個体ひとつずつすべてが大きく違いが存在して、さらに作る職人のレベルでも他の業種以上に大きな差が存在します。

その分、いい加減なところも一杯あり、顧客からみて基準が曖昧というか、ほぼ無いに等しいからです。顧客は業者を信じるしかなく、その業者もいい加減な知識で販売しているところが多く、顧客から絶対的な信頼感を得ることが難しいからです。

そんな難しい素材で、他のビジネスに目が行ったら、毛皮の高い品質を維持するのは私は難しいと考えます。毛皮をビジネスとして捉えてたくさんの企業が大小過去に存在しましたが、大半は潰れて行ったことでも、そのことが分かります。

パショーネは、これからも小さな規模のまま今の商品力とアフターや技術力のみでファーブランドとして存在していきます。

ただひとつ必ず変わるだろうと言えることは、これまでも百貨店内の競合他社の絡みもあり出来なかったサービスやアフターもありますが、今後は少しずつ変えて行こうと思っています。

そしてパショーネにしかできない商品とその”ものまわり”を充実させてまいります。

それが、今日の、小さくても”ファーブランド”として生きるというタイトルの意味です。

 

ですから、小売店でもなく、加工業でもありません。もちろん、様々な難しいと感じるお直し等も加工屋としてではなくファーブランドとして、接客対応も含め、しっかりとしたお打ち合わせの時間も取りながら、お直し等の仕事も受けてまいりますが、単純な、たいした打ち合わせもなく、お直しだけをするということは基本的にはあまりありません。

ただひとつ、加工だけを受けるとすれば、他社で断られたもので私のところであれば出来るかもしれない、お役に立てるかもしれない、、、という特殊な場合と毛皮がひたすら好きでたまらないという方の要望は出来る限り聞こうと思います。

それが、ファーブランドとして生きる意味のひとつでもあると思っています。  長澤祐一

 

 

 

気が付く限りのことをする

今日は、気が付く限りのことをする、、、というタイトルですね。

最近、お客様への発送があり、既存のお客様のためのものも、オンラインショップで販売されたお客様への発送もあり、ずっとどうすべきかを考えています。

ただ、最終的には、これまでと同じ、サンクスレターのようなものはなく、ブランド品のような綺麗なコストのかかった箱でもなく、ひたすら、お買い上げ頂いた商品を今後どう保管すべきかというところに力を注いでいます。

それで良いかどうかは分かりません。きっとブランドのような煌びやかを求めるお客様からすれば、すごく物足りないのでしょう。

でも、単純に皮のバッグののようなものなら、煌びやかな箱に入ればそれで夢見心地にさせることはできます。しかし毛皮です。ほとんどの人がどう保管し、どう扱っていけばいいか解らないのです。もちろん販売する側のプロでも、怒られるかもしれませんがほとんどが理解していません。

であれば、どうやって扱えばいいかを伝えながら、それに必要な梱包や付属を付けて差し上げたほうが余程親切な気が私はします。

一般のブランドものの扱いは、納品するまでが全てです。サンクスレターも付けて、梱包を綺麗にして、、、 でも、その後どう毛皮を扱えばいいかは、どこも責任を持ちません。どうしたらいいかをお店も解らないのです。

私は、納品が終わって、そこからが一番大事だということを知っています。そのためにどうすればいいかを考え、お伝えすることが納品時に一番大事なことだと考えます。

以前の百貨店時代は競合他社に合わせる必要があり、思うようなことが一部出来ないこともありましたが、今は単独のショップからの販売です。

そのため、私が考えることを出来る限り実践しています。

今日のテーマに沿ったかわかりませんが、気が付く限りのことをするという意味では、これからも徹底して、納品後のことを出来る限り考えて行こうと思います。

コートやマフラーなどの小物も含め、お買い上げ後、一回はクリーニングが無料というのも、その一つとして提供しています。

 

長澤 祐一

オンラインショップビュー数

こんにちは。今日はオンラインショップのビュー数について書いてみます。

もともとファーというアイテムでショップのビュー数がそんなに上がるはずはないと思っていたのです。昨年四月のオープン当初は300くらいあったものが、ここシーズンに入り私が忙しいせいで、なかなか新商品をアップできずにいて数字は伸び悩んでおりました。最近は多い時で200くらいです。

今月の中ごろに、初めてショップで正式なオーダーがありました。お客様ありがとうございます。ひとによっては一年近くやってやっと一点売れたのか、、、と言われそうですね。これまでショップからのお問い合わせで商談として進んでオーダーをいただいたことはありましたが、純粋にショップの商品が売れたのは今回が初めてだったのです。

私のところの情報源としては、このブログとインスタグラム、そしてオンラインショップだけですので、よくインスタグラムの画像と、このブログで書いた言葉だけで、高額な商材を買っていただけたなと、自分は誇りに思っています。

以前も書きましたが、今は動画の時代です。ただ、動画で伝えきれないことが、きっとあるだろうと、これまでこのテキスト文字にちからを込めてまいりました。本来は逆ですよね。テキスト文字で伝えられないから動画を使うのです。それが普通の考え方です。ただ、自分は文字の力にショップの将来を託しました。それでいいと思っています。

その結果かどうかはわかりません。しかし先日、最初のオーダーの納品が終わってすぐにオンラインショップのビュー数がが3200を超えました。最初はなにが起きたのかわかりませんでしたが、もしかしたらお買い上げいただいたお客様が、何かブログやその他のSNSのようなツールで取り上げて頂いたのかもしれません。

実際、それ以外に考えれないのです。もちろんそれが事実かどうかはわかりませんが、それしかありません。

特定できない方にお礼を言うのも微妙なのですが、ここで改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

私のショップやブログの力では、3000を超えるビュー数などあり得ません。感謝しております。 お客様、ありがとうございました。

最後に、その3200もいったビュー数の画像をスクリーンショットして、ここに載せようともおもいましたが、それはやめておきます。ここに書いたことが真実かどうかは、これまでの私の書いたことから判断してもらうしかありません。

前回も書きましたが、動画や画像で真実を伝えるのが手っ取り早いのですが、それが信頼にほんとうにつながるのだろうかと疑問にも感じます。

動画や画像を使わなくても信頼してもらえるような、これまでの蓄積があれば余計なものは本来は要らないはずです。どっちを選べと言われれば、余計なものはなく、ひたすらこのテキストで表現して来たもので自分を証明していくしかないと感じます。    長澤祐一

 

 

お客様が満足さえすればいいのか?それとも自分が納得するまでやるのか?

今日のタイトルも難しいタイトルです。自分でタイトルを決めるので文句はいえませんが。

よく、仮縫いや本仮縫いで、お客様は納得しているのに、私も、当社デザイナー(家内)も、それで良しとしないことがあります。一般的には、お客様が良しとすれば、それで良しとするケースが多いかと思います。

私は、作る立場ですから、デザイナーとは真逆の立ち位置になる場合もあるのです。しかし、パターン的な問題になると解決方法は自分しか解らないこともあり、しかも本仮縫いの場合には仕上がった毛皮そのものに手を付けなければならないこともあり修正は勇気がいります。

修正をするにもカットして良い部分と駄目な部分が毛皮にあり、つなぎ目の毛丈や色が変わることによって大きく仕上がりに問題もでます。単純にパターンだけを修正し、それにコートを合わせれば良いのであれば簡単ですが、そんな簡単な条件はありません。

修正して上手くいかなかったことをつい想像します。当然怖さもありますから、時間をかけてずっと考えます。食べていてもお酒を飲んでいてもです。頭から離れないのでしょうがありません。博打ではありませんからやってみて経過を見るのではなく、私の現時点での知識を全て使って、これで良いかどうかを検証します。

お客様からは既に、OKが出ているのです。

しかし、お客様が知りえる範囲を超えたパターン上の技術的な問題は現実的には、お客様からOKが出たとは言えないのです。でも、お客様がOKを出したという、、そんな言い訳を使い何事もないようにスルーしてしまう現場が多いです。

私もよくそんな場面に直面しますが、やはりやるしかないのです。そのままスルーしたらずっと引きずります。

やって成功するかどうかという問題の解決方法は、徹底して修正方法をシミュレーションするしかないのです。それ以外はありません。

最近、3Ðシミュレーションで試着が見ることができます。私は東レのものを使っていますが、一番パタンナーが求めているものに近いと感じます。ただ、これでみても、うっかり不具合の現象が出ているのに見逃してしまうこともあります。

当然、仮縫いトワールや仕上がった毛皮と同じようには上がりませんが、逆に良くわかるところもあります。そして不具合が出ているにも関わらず私がその兆候を見逃してしまうこともあります。

話戻しますが、洋服の難しさは悪いパターンでも着れてしまうことです。そういう意味ではパターンは難しいと感じます。そこに毛皮という素材の難しさも加わり、さらに高度な考え方を要求されるのです。

今後、いろんなデジタルなツールが出てきますが、最終的には使う私の能力次第だということになります。

問題や不具合に気付いたときに、どうするかは自分に修正する自信があるかどうかであり、気付く力、イコール、修正が出来るということなのです。問題に気付くことにも自身の能力がいるのです。

なんかおかしい、、から始まって、最終的には原因をつきとめ、そして修正方法を考えるところまでいって、さらに再度やり直しのないように正確なテクニックで仕上げるということになります。

タイトルに戻りますが、自分が納得するまでやるということの難しさの根底には、自分への信頼感、自分が出来るという自信、それしか頼れないのです。私がその力があると言ってはいません。ただ、そうなりたいと常に考えてはいます。

長澤

決まった文章、定型文、テンプレートを使わない訳 そしてオンラインでの接客とは

私が、オンラインショップをやるようになって、いやそれ以前からかもしれませんが、お客様に出す情報のほとんどが、余程決まったものでない限り、ほとんどの場合、毎回キーボードで入力します。

他社では、ほとんどの場合、すでに決まっている価格表も含め、こちらを参照ください、、というようなものが多いですね。効率はその方が遥かにいいです。そんなこと解りきってます。

そして、効率を求めるのか、それとも質問を受けたひとつひとつに丁寧に答えようとするかはオンラインもオフラインも本来は変わらないはずです。それは基本的な会社や事業者のお客様に対する姿勢が反映されています。

仮に私達が以前いた百貨店で例えるならば、お客様から、この売り場はどうやって行けばいいですか?と聞かれ、店内見取り図の小冊子を渡して、これをみて行ってくださいというのと同じなのです。オフラインであれば、例えば百貨店であれば即クレームになるようなことが、オンラインでは平気で行われています。

理由は、全ては効率を優先するからでしょう。

でも、私もオンラインショップを始めてみて、またはブログやInstagramから入って頂いたお客様と接してみて、効率を優先するだけでいいんだろうか?とずい分悩みました。オンライン上では接客というものは存在しないのだろうか?と、、ずっと悩みました。

お客様は効率優先でいいのだろうか?当初、オンラインでは高額品はあまりなく低価格のものが多かったようにかんじます。しかし、今は高額品をオンラインで売ろうと様々な業者さんがしています。そうするとお客様の意識が効率だけを求めていいるのだろうか?とも疑問に思います。じゃあ、オンライン上でおもてなしとは何だろうとも考えます。

最近気づいたのは、やはりオンラインでも接客、そしておもてなしというものが存在するんだと認識するようになりました。

それは、とにかく言葉で、、目の前で話すことはできませんが、一時的には一方通行ですが、メールなどのやり取りで接客ということに近い、気持ちのおもてなしは出来るのではと、そう考えるようになりました。

たしかに時間はかかります。オンラインなのに意味があるのかとも不安になります。

しかし、避けては通れないとも感じています。もちろんせっかく力を尽くして書いても無駄になることもたくさんあるのです。しかし、百貨店店内では、そんなことはあたり前で日常茶飯事に起きています。

オンラインのなかでも、そんなことをしっかりと考えていかなければ信頼感、安心感を獲得することは難しいと感じます。

なんか上手く表現できたかわかりませんが、自分が日々悩んでいることを書きました。 長澤祐一

リフォームが専門ではないということの価値

今年初めての投稿です。本来ならばショップの商品のアップが最優先なはずなのです。それでも、このブログのアップが優先するべきだと考えます。

 

ショップも大事なのです。しかし、私達の基本はこのブログにあります。すべてをこのブログに賭けています。Instagram、オンラインショップとありますが、その中心にあるのが、このブログです。

 

タイトルの内容に入ります。

 

リフォームが専門ではないということの価値というタイトルですね。

 

リフォーム専門業者さん、もしくは、もうすでにオーダーをとる力のないメーカー、販売店、その他 たくさんいらっしゃいますね。オーダーも出来ます、、、とサイトに記載していても、どれほどのオーダーを受けていますか?

サイトにオーダー出来ますと、いくら書いてあってもやっているという実態はサイトにはみえませんよね。見えたとしても、こんなものオーダーと言って提供するべきものじゃないだろう???というものがほとんどです。業者さんには叱られるかもしれませんが、事実です。

 

前にも書きましたがオーダーは難しいです。そしてリメイクという呼び方が少しだけかっこよく綺麗に聞こえますがリフォームもリメイクも同じです。

 

そして、オーダーもリフォームも、やることはまったく同じなのです。

使う素材が、一から新しい素材を使うのか、お客様のコートを素材として使うのかだけの違いです。ですから、リフォームとオーダーの違いなどありません。素材として若干の制限があるというだけのことです。

 

それを所詮リフォームですから、、、、というようなお馬鹿な業者がいるかもしれませんね。言葉に出さなくても心のなかでそう思っている業者さん、、いませんか?

 

だからリフォーム屋で終わってしまうのです。

 

定番の形を決めて効率よく仕事を進めることも大事です。しかし、それで本当に満足するもの、、自分もですよ、お客様だけではありません。自分もお作り、納品して納得の行くものが提供できていますか?

 

リフォームという言葉に何か甘えていませんか?

 

でもやることはオーダーと何も変わりません。難しいのです。お客様の好みを聞き、ジャストなものを提案し、さらにジャストなサイズ、デザインを提供することの難しさは、簡単にオーダーが出来ますなどという業者さんが多いですが、そのなかのどれだけの業者がパーフェクトに仕事としてリフォームが出来ているかは難しいところです。

 

今日はすこし攻撃的な内容ですが、リフォームが出来ます、オーダーもできますという、仕事になればなんでもやれますという、その姿勢にほんとうに自信を持っているのかと思う局面が多々あります。

 

言うのは簡単なのです。言っていること、書いていることと出来るということとは大きな隔たりがあるのを業者さん自身が知っていますか?

 

今日はここでやめておきます。ネットにやれそうなように書くこと、実際に話してみて、やれそうなことをいうのと、実際に全てが出来ること、、とは違います。

 

タイトルの通りの内容になったかは分かりません。ごめんなさい。しかし、この思いが少しでも通じればと思います。 今日は今年最初の投稿ですが、書きたいことを思いっきり書きました。  内容チェックはしません。

 

 

長澤祐一