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Category Archives: 毛皮のクリーニング

今日は、オガの保湿力と吸収力です。

前回のオガの汚れ具合と吸収力(2022年3月25日)の続きになります。

 

やっと、前回紹介したバイオクリーニング剤で洗ったオガが完全に乾燥しました。前回のときにすでに二週間経っていましたので、ほぼ二か月間、完全に乾燥するのにかかったことになります。

 

ヒノキの匂いは消えていません。一般的にプロの間で言われているオガの外側のチャカチャカした部分は取れてしまっているのかもしれません。顕微鏡で見ればわかるのかもしれませんが、顕微鏡がないのでわかりません。ただ、以前からオガのチャカチャカした毛羽立ちが汚れを取るともいわれていますが、その効果は明確にはわからないのです。

 

私がオガに求めているものは、一般的な毛皮のクリーニングで使うような、簡易的に効果も期待できないような安易な使い方ではなく、毛皮の毛と皮の両面を徹底的に洗うための、汚れや皮や毛に含まれる脂分を取り除くための用途としてのものです。

 

そのため、今回オガを水洗いしてみてわかった水分の吸収力や保湿力は十分な結果だと判断しています。

以前、洗った時には単純に水洗いをしました。その理由は、最近の洗剤のほとんどが香料が入っていてオガの洗浄には使えないからです。今回使ったバイオクリーニング剤は無香料なので安心して使えました。

それと、以前に洗ったときの乾燥方法は、セメントの上に布を敷いて、そこにオガを敷き詰めるようにして乾燥しましたが、その時の乾燥時間は早かったのですが、セメント側から雑菌が入ったせいか、乾燥中にカビが発生してしまいました。

そのため、今回は深さのある大きな容器に入れて乾燥してみました。表面から乾燥して白くなっていき、そのため毎日数回はオガを中から混ぜるようにして乾燥しています。今回は雑菌が入らずカビの発生はありませんでしたが、乾燥に三倍以上の時間がかかりました。

オガの価格からみても、この洗って再利用する意味はない気がしますが、オガの誰も知らない本当の能力・効果を見極めるには大事なことでした。

 

以前も書きましたが、私の毛皮クリーニングのなかでオガに求める役割は、汚れを吸収して毛皮の皮に戻さないための吸収力と保湿力でしたので、完璧とは言えませんが、私が想定していた役割は担ってくれているようです。

前回書き忘れましたが、前回クリーニングしたコートはブラック強化染めのコートでした。そのため、あれほどまでに水が真っ黒になったのかもしれません。しかし、逆に言うと、それくらい皮から染み出してオガに染料が吸収されたことが証明出来ています。

最近、毛皮の染色もやることにしましたが、毛についた染料は簡単には落ちませんが、皮面についた染料は皮面に染料が刺さっているような状態ですので落ちやすいとも言えます。その皮面についた染料が前回クリーニングでは落ちたことが証明されています。

 

毛についた染料は簡単には落ちません。落ちるとすれば60度前後のお湯のなかで、ペーハーを上げてアルカリ性に変えていくと色は落ちていきますが、普通の水につけたくらいでは落ちません。

 

上に書いた60度のお湯を使うとありますが、普通の状態の毛皮ではだめですから絶対にやらないでください。染色屋さんではクロム鞣しという前処理をしてからやります。クロム鞣しをしないでやるとお湯の中で縮んでカチカチに固まってしまいます。

 

話それました。クリーニングのために使うオガの役割としては、濯ぐときの水の役割ですので、一般的な毛皮のクリーニングで使う少量のオガでは汚れを有機溶剤で溶かして、その汚れや脂分を十分に吸収するという一番大事なことが出来ません。

写真の上が今回洗ったオガです。一回で最低でもこれくらい一着のコートを洗うのに必要になります。

下の写真は、上で書いたコンクリートの上で布を敷いて乾燥した時のものです。この乾燥でカビが発生してしまいました。

 

 

今流行りの言葉に持続可能というのがありますが、ただ、形を変えるだけのリフォームでは、持続可能とは言えません。毛皮を持続可能なものにするために必要なことがあります。

 

丁度、クリーニングや保管の時期になって来たところですが、時々は毛皮のことを思い出してケアーのことを考えてみるのも良いかもしれません。

 

長澤祐一

今日は先日の、オガの一般的な効果と可能性というタイトルの続きです。

一般的に通常の鞣しで毛皮をドライクリーニングする場合にはオガが極端に汚れることはありません。

 

そして一般的な毛皮専用と言われているパウダークリーニングでも、多少の有機溶剤を使うと書いてあるところもありますが、極少量の有機溶剤とオガでコートの表側だけをクリーニングするだけなら、ほとんどオガが極端に汚れるということはありません。

私がやっているリフォーム時にせっかく裏地や付属を外したのであれば、皮裏面も含め徹底したクリーニングが出来ればと大量のオガと有機溶剤を使ったクリーニングは、これまでのクリーニングとはまったく違うものです。

写真を見ていただければわかります。

これは一度クリーニングしたオガを試しに洗ってみました。洗う方法は前回書いていますので省略いたしますが、洗濯機のなかの水は真っ黒になります。毛皮は水でジャブジャブ洗ったりすすぐことができませんので、皮や毛に染み込んでいる脂や汚れと匂いなどを有機溶剤で溶かしオガにしみ込ませ吸収するということをしますが、クリーニング後にオガを見ても、多少黒く変色しますが、実際のところどれくらい汚れが落ちているかはわからないのです。

そんなこともあってオガを洗ってみました。オガの価格からいえば、大きな袋で2,000円くらいなものですから洗う手間より買ったほうがはるかに安く上がりますが、オガが実際に汚れを吸収しているかどうかを知るには、このように洗ってみるしかないのです。

さらに、もうひとつ今回の実験で分かったことがあります。オガの水分の吸収力というか保湿力というか、とにかく乾燥しているのですが、すでに二週間以上経っていても、まだ半分くらいしか乾きません。やっとサラサラになってきましたが、まだまだ湿気を含んだままです。

洗ったらヒノキの香りは無くなるかと思いましたが、まだまだ十分にヒノキの香りがします。

リフォーム品によく見られがちな強い匂いも、このヒノキの消臭効果によって強いカビ臭さが取れているのかもしれません。

毛皮にも様々な技術が受け継がれてきていますが、その技術の意味も考えずに継承するということもよくあります。

オガについても以前から毛皮のムダ毛を取ったり汚れを取ったりすることに効果があると言われていました。ただ、それは以前から受け継がれてきた技術であり自分の努力から導き出したものではないのです。

そんな意味もあって、今回のように実際に自分で、その効果を検証してみるということは自分の技術への自信を深めるという意味でも大切なことです。

これまで毛皮のクリーニングにつきましては何度も、このブログで書いてきましたが、今日の投稿で、今後新しい発見がない限りは一旦終了といたします。毛皮という難しい素材のなかでもクリーニングは特に技術を極めるという意味では難しい作業です。この難しいテーマを継続して読んでいただきありがとうございました。

 

次回以降は、また新しいテーマを見つけてブログを書いてまいります。

最後にもうひとつだけ、、 毛皮にとって正しいクリーニングができるということは、とても大事なことです。最後にそのことだけお伝えいたします。

長澤祐一

 

 

 

今日のタイトルは、オガの一般的な効果と可能性です。

私もオガの科学的な知識はありません。あくまで使ってみた経験から得た知識でしかありません。

何十年も前のことですが、大量のオガを使ってフォックスのエリを綿や裏地を付ける前にかけたことがあります。私が毛皮を初めて四年くらいの頃だと思います。当時新しい工場の立上げに関わり、大きなドラム(毛皮の毛を取ったりクリーニングするための機械)が導入され試験的にオガでフォックスのエリに加工されたものの毛取りをしたことがありました

 

そのときのオガで毛を取り除かれたフォックスのエリの綺麗さは、今でも私の記憶から無くなっていません。目的はフォックスをカットして製品内に残った無駄毛を取り除くということだけなのですが、現実にはそれ以上に製品そのものの魅力というか、毛皮の魅力が最大限に引き出された状態で、大きな感動とともにその効果のすごさにショックを受けたことを覚えています。

一般的にはドラムという機械を小さな加工屋さんでは持つこともなく製品化されていらっしゃるところも多かったり、ドラムがあっても、毛皮の仕上がり時にわずかに加工時にでた毛を取り除くためだけに、わずかな時間をかけるだけのところが多いのですが、本来は、加工時に水を使うことで皮が硬化したものを柔らかくしたり、加工時に汚れた毛を綺麗に戻すという大事な役割があり、ドラムとオガの組み合わせは想像以上のものが存在します。

 

もちろんすべてのひとがオガとドラムによって仕上がったものに感動するとは限りません。しかし、最低限、作る側の人間ならばその効果を感じられる必要があります。

 

オガについては一般的に専門家の間では、オガの周りについている細い繊維(チャカチャカと飛び出ていると言われています)が毛のほこりや汚れを引っかけて取るともいわれています。そして、そのチャカチャカが無くなってしまうと、オガの効果はなくなるとも言われています。

鞣し業者さんでもオガを繰り返し使い、オガの交換の時期をそのチャカチャカが無くなった頃と判断しているようです。ただ、これは実際には顕微鏡でオガを見るようなことをしているかどうかはわかりませんので、おそらくですが経験的に何回使ったら廃棄するということになっているのだろうと推測しています。

ここで次に私のところでの使い方を記載してみます。

一般的には鞣しやさんで使う場合には、新しい原皮を仕上げるためにオガをつかいます。しかし、私のところで使う目的は商品化したものに対して使う一般的な使い方と、もう一つには古い毛皮、例えばリフォーム品などの皮や毛が極度に汚れたものを洗う場合にも使います。

そのためにオガについているチャカチャカによって毛の表面についている汚れだけを落とすだけではなく、以前も書きましたが、有機溶剤を同時に使って毛に付着している脂汚れや皮についている匂い成分や実際の汚れも落とします。

ずっと悩んでいたことがあります。

本当に、自分が想像した通りに、有機溶剤で皮や毛から溶け出した汚れが落ちているのだろうか?? 通常の洗濯の中で使われる濯ぎの時の水の役割をオガがしているのだろうか?という疑問をどこかで解決しなければなりませんでした。

 

そのために以前一度やったことがあるのですが、そのときに写真を撮ることを忘れてしまったり、洗う量が多すぎて上手くいかなかったこともあり、再度、オガを洗ってみて実際にどの程度オガが汚れを吸収しているかを確認してみました。

結果は想像通り、水は真っ黒になりました。

最近の洗剤は香料がついていることもあり使用せず、さらに、有機溶剤で溶け出した脂をオガが吸収しているとすれば、汚れとともに脂も溶かす必要がありますので、脂を落とす方法として、最近流行りのバイオクリーニング剤を使いました。洗濯機のなかにお湯をため込みバイオクリーニング剤を入れて水となじませてから、シーチングといわれる綿の平織りの生地に入れたオガを洗濯機の浴槽に入れて回しました。

 

結果は次回、写真でお見せいたしますが水が真っ黒になりました。有機溶剤は一般的な油も落とせますが、毛皮で使われるアブラは油ではなく脂なので油よりもさらによく溶かすことができ、オガに吸収されます。

但しです、脂、いわゆる樹脂製のものなのですので水だけで充分落とせると思い、鞣し屋さんからも専用洗剤を譲ってもらい、洗いましたが私が望むような落ち方はしませんでした。やはり一般的なドライクリーニングで使う規制のかかった有機溶剤でなくとも最低限有機溶剤である必要があることは経験でわかりました。

 

今回使った家庭用のバイオクリーニング剤は、例えば台所のガス器具周りの油汚れも落とせることで、強い油の洗浄力があることが解っていましたので、オガに汚れとともにしみ込んだ脂くらいは溶かすことが可能であろうと推測して使用しました。

 

以前やったときには、単純に水だけでしたが、今回はバイオクリーニング洗剤を入れましたのでやはり水の汚れかたが違っています。

 

ここで一度、オガに有機溶剤で溶かされた汚れが吸収されることがわかりましたので、ここでこの話は終わります。

 

今回のタイトル、オガの一般的な効果と可能性の、可能性という部分の話をしてみます。

 

前回も苦労しましたが、洗った後のオガの乾燥が問題でした。今回もそうですが、完全に乾燥するまでにひと月以上かかります。乾燥する専用の機械でもあればいいのですが、普通に表面を広くして広げて乾かしてもなかなか乾きません。

逆に考えると、保湿効果が高いとも考えることができ、その強い保湿効果で、有機溶剤によって毛皮の毛や皮から溶け出した汚れをオガが強力に吸収してくれるということが推測できます。

一般的な洗濯のように水をどんどん入れ替えて濯ぎをすることができませんので、オガに汚れを吸収する能力が高いということは、今回のテストでわかりましたが、とても大事なことなのです。

 

最後に少しだけ書きますが、前回の投稿二日後に起こったロシアのウクライナ侵略戦争が始まって以来、インスタグラムで知り合ったウクライナの友人二人の安否を毎日インスタグラムでのオンラインで確認したりメッセージで数日はやり取りしていましたが、さすがにメッセージを確認してもらう時間もないだろうと、ただひたすら相手のオンライン状態で相手の生存を確認するという状態が続きあっというまに20日間経ってしまいました。

さらにはインスタグラムでブロックされてしまったロシアの友人も、アメリカに移住したいと言っていたりして、しかし、アメリカは毛皮産業にとっては厳しい地域だったりと、自分のことも含め今後のことを心配する日々が続いています。

今はひたすら、ウクライナの友人の無事とロシアの友人の今後の仕事の無事を祈ります。

 

次回、今回つけることができなかった画像を上げたいと思います。

昨年四月から、再度書き始めたブログです。やっと一年近く経ってグーグルなどの検索にも引っ掛かりやすぐなってきていますので、ここで止める訳にもいきませんので、また再開いたします。

今日のオガの可能性については、今後も他では絶対に得られない、誰かに聞いた話を書くということではなく、私が実際に確認したことを書いてまいります。またこのブログに来てもらえると嬉しいです。

 

長澤祐一

 

今日は、毛皮クリーニング 毛皮の皮から脂を抜く難しさ というタイトルです。

一般の方には、すごく解りずらい内容ですね。

 

私のブログでは何度も書いていますが、

簡単にいうと、毛皮は皮の脂を抜き過ぎると、干物のようにカチカチになります。ほんとのことです。するめイカのようになります。

毛皮を鞣すというプロセスがあります。業者さんは鞣しをそのままプロセスとも呼んでいます。

この鞣しのときに入る脂の量というか、脂の抜き方で毛皮が商品になったときの仕上がりとその後の保管による毛皮の皮の部分の硬化や劣化に対して大きな差が出ます。

この脂の入り加減に三つのパターンがあります。

 

一つ目は、脂を抜き過ぎると、するめイカのようにカチカチになります。そのままでは加工することも商品にすることも出来ません。抜き過ぎると本当にカチカチになります。

 

次に、脂が適度に入っている、、、言い方を変えると適度に抜くが正しいかもしれませんが、実際に適度に抜かれた皮は、湿気も吸収しにくく、柔らかく、さらにさらっとしていて、乾いた感じがします。

ただ、この状態はすごく幅がせまく、鞣しやさんがやるドライクリーニングでも、なかなかピッタリにはなりません。でも、この感覚を触って分かるようになるには、豊富な経験が必要です。何度も様々な条件の皮を加工して仕上げてみて初めて分かることです。単に何千本と毛皮の皮を触っても理解することはできません。

 

最後に一般的によくあるタイプで、脂が残り過ぎの状態です。ほとんどがこの状態です。この状態は、鞣し上がりの初期状態はとても柔らかくてよさそうに見えます。しかし、時間の経過とともに湿気を吸収して、徐々に硬さがでます。原皮屋さんが長期保管した毛皮のほとんどが硬く湿気を吸収して重く感じるのは、このことが原因です。しかし、鞣し上がりのときはすごくよく見えます。

 

このように原皮の段階でも、上に書いた三つの状態があります。

 

それではどうして、二番目の一番ベストの状態に、なかなかできないのか?ですが、鞣し屋さんで使っているドライクリーニングの機械は、大型で溶剤だけで毛皮を入れて回し、気化した溶剤を再度、液化する装置が付いていて、ドライの効果も強く、そして早く脂を抜くことができます。

ただ、この早く抜くことが出来るというところに、もしかしたら微妙なコントロールが効きにくいのかもしれません。私は実際にやってみていないので明確なことは言えませんが、抜き過ぎて問題になるより、抜きが少し足りないくらいが一番コントロールしやすいのかもしれません。

そういう意味では、私がやっている通常の毛皮用のドラムで、オガと有機溶剤を混ぜて、少しずつ長時間かけて脂を抜くほうがコントロールが効きやすいとも言えます。

実際に、市販の有機溶剤を使って、毛皮の皮をびちゃびちゃに濡らして絞り、そのまま乾燥すると、カチカチになります。

ドライクリーニングの機械ではジャブジャブ有機溶剤で洗い、ドラムの中で回転させながら乾かすのだと思いますが、回転させながら有機溶剤を気化させますので一旦は柔らかくなりますが、仮に抜き過ぎたとすれば、水に濡らすとカチカチになります。ただ、このへんの最終仕上げ方の詳細は私は分かりません。想像です。

ただ、私がやっていることは想像ではなく事実です。ベストの状態というのは、すごく範囲が狭く、脂が残り過ぎると湿気を吸って重くなったり硬化したりしますし、抜き過ぎると逆に硬くなります。本当にベストの状態は難しいのです。

ですから、効率は悪く、時間はかかってもゆっくり時間をかけて抜くしかないのです。そのためにリフォーム前にやるクリーニングはドラムに丸二日間入れて回しながら自然に有機溶剤が気化して自然に乾燥するまでドラムに入れるのです。

ただ、私がここに書いているようなことは、誰も気にしてはいません。

ここまでやっていることさえ、一般の業者さんには、このブログを読んでも理解もできず、信じることもないのかと思います。

皮をギリギリまで薄く鋤くことや、長期の柔らかさを維持するための皮に入った脂の量を調整したりすることは国内どころか海外でさえも、誰も気にしていないのが現実です。

もちろん、これだけでパショーネの商品が綺麗に見えるわけではありません。実際に作る感性と技術があっての現在の品質ですが、同じように私が作っても皮の状態の悪いものは、同じ仕上がりにはなりません。

それだけははっきり言えます。それくらいに皮の状態が仕上がりに影響します。

今日書いたことは、理解してもらうのには、かなり難しいテーマでしたが魅力的な毛皮にするという意味では、すごく大事な問題です。

 

長澤祐一

 

追伸  先日、鞣しの技術者さんと話をする機会があり、皮を鋤くためには鞣し用の油を入れるらしいです。脂ではなく油です。その油の目的は、皮を鋤くときに毛根を切らないようにするために皮を膨らませる目的だそうです。油を皮に塗って染み込んだ後にコーンスターチを溶かしたものを塗ってさらに皮が膨らむようにするようです。その時に使った油を抜くためにもドライクリーニングが必要だとも言っていらっしゃいました。頂いた電話で40分も話し込んでしまい、申し訳ありませんでした。そして互いに知識を深められたこと嬉しく思いました。いつかこのことは別に書きたいと思います。

 

こんにちは。投稿の間隔が少し短いですが、前回が結構空いてしまったので、今日もアップします。

これまでも何度も一般的な毛皮のクリーニングで使われている手法のパウダークリーニングを施されているコートのリフォームをしてきましたが、最近ようやく少し理解できたことがあります。

私のところでも、リフォームを依頼されることがあります。最近気づいたことですが、コートを解体して最後に作業台の上に、小さな粒が残ります。粉というよりもさらに大きな粒なのですが、クリーニングで使うおが屑とも違います。確定は出来ませんが、毛皮のクリーニングで一般的に言われるパウダークリーニングのパウダーと言われる粉だと思われます。それ以外に毛皮のコートの中に入るものはありませんから。

よくオガ屑も一緒にコートの中に入ることがありますが、今回はオガ屑ではなく小さな粒がたくさん、コートを解体した後に作業テーブルの上に残りました。以前もよくありましたが、このコートのお客様に聞いたところ、随分昔に二回ほど毛皮のクリーニングに出して、そのまま保管していらしゃったようです。

今日の一番のテーマは、毛皮のクリーニングをする業者さんが、クリーニング後の結果をほとんど知らないという事実です。しかし、それはしょうがないこととも言えます。クリーニング後に、その自分がクリーニングしたコートをじっくりと見ることがないからです。

一般的に使われている毛皮クリーニングの手法、パウダークリーニングを誰が最初に考えたのかは分かりませんが、今実際に作業している人たちは、きっと何も考えることもなく疑問も持たずに作業をしているのだと思います。もちろん責められることではありません。しかし経営者は今のパウダークリーニングが本当に効果があるのかは検証する必要があると私は思います。

私も、過去に毛皮クリーニングについて、かなりの量の記事を書いていますから、都度書いたものに責任を感じてはいます。

毛皮は本来クリーニングするものとしては、かなり特殊なものです。一般の布帛以上に都度取り扱いを分ける必要があります。

話を戻しますが、作業をする人がなんの疑問も持たずに作業をして良いと言えるほど本来は簡単な素材ではないのです。もちろん、作業しているひとがこの記事を読んだときに、肯定するか否定するかは分かりません。しかし、何割かの人は確かに、、、と思うはずです。一般的には作業効率が何よりも優先するのが当たり前ですから、敢えてパウダークリーニングを否定はしませんが、今現在、国内で主流になっているパウダークリーニングには問題も多く含まれていると私は感じます。

毛皮のクリーニングは基本的には裏地が付いた状態であれば、オガや有機溶剤、またはパウダーと呼ばれるものを使ったとしても、絶対に手洗いして、オガやパウダーを払い落すためにドラムにかけるというのが正解でしょう。考えれば当たり前のことです。

オガやパウダーと一緒にドラムにかけたら、絶対に裏地と毛皮のまつり口からオガやパウダーとよばれる粉がコートのなかに入ります。おそらくですが、いや絶対と言いましょう。業者はそのことを知っています。知っていて知らぬふりをしています。絶対です。こんな簡単なことが分からないはずはありません。それでも、それしか方法がない、、、 儲かる方法ですよ。儲かる。それしかないと考えてパウダークリーニングをしています。

私のインスタグラムのフォロワーのロシアの業者さんは、全て手洗いです。中にはバイオクリーニングをしているところもあります。ロシアのほうがクリーニングは遥かに高いレベルでやっています。しかも、日本のように毛皮が分からないクリーニング業者がやるのではなく、毛皮業者が自分でクリーニングをしています。

クリーニング屋だって、その気になってちょっと調べればすぐにわかります。しかし今やっていることを替えようとはしません。

現実に以前、都内(中野)にあるブランド品を専門に扱うクリーニング店の社長さんから問い合わせがあり毛皮のクリーニングをして欲しいと依頼を受けたことがあります。その方も今のパウダークリーニングに大きな疑問を持たれていたようです。もちろん私のところでクリーニングを大量に受けて仕事にすることなどありませんので、お断りをして毛皮専用のクリーニングドラムがなくても出来るクリーニング方法をアトリエに来ていただいて二度ほど少しだけ教えて差し上げたことがあります。ただひとつだけ言えば、毛皮の本来の状態を知らずにクリーニングの方法だけを学んでも無理はあります。またいらっしゃると良いのですが。

話もどします。パウダークリーニングは毛の表面、または毛の少し奥のところまでしか洗うことが出来ません。そのため、例えば匂いですが、表面に付いている匂いはパウダークリーニングで一度は取れる可能性があります。しかし、毛の奥から時間の経過とともに匂いが戻ります。極端なことを言えば、スチームなどを仕上げに使えば簡単に匂いが戻ってしまうのです。あとは時間の経過とともに湿気が出たり入ったりすることで匂いはさらに戻ります。

仮に毛の奥まで匂いをとっても、皮についている匂いを落とさなければ、またすぐに皮から毛の奥へ、毛の奥から表面へと嫌な臭いが戻ります。毛皮のクリーニングは本当に難しいのです。そのためには有機溶剤とオガで洗うしかないのですが、そのためには裏地や付属を全部外して洗う以外に方法がありません。

私のところでやる毛皮のクリーニングは、毛皮専用のクリーニングドラムを使いますが、時間で言えば48時間くらいかけます。オガと有機溶剤で洗いますが、丸一日程度では足りません。有機溶剤が皮に染み込み、皮の脂分が有機溶剤で溶かされ、オガに吸収され、さらに毛皮やオガから有機溶剤が完全に抜けるまでドラムを回し続けます。

以前は一日程度で終わっていましたが、研究を重ねた結果、48時間を目途にドラムをかけるようになりました。その理由は匂いもですが、柔らかさが一日では十分ではなく、有機溶剤が完全にゆっくりと飛びきったところで初めて完璧に柔らかくなります。理由は私にはわかりませんが結果が示しています。

でも、パウダークリーニングを専門にやっているところで丸二日もドラムにかけたら仕事になりません。コストも合いません。ですから仕方ないことなのです。

私のところでも、リフォームはコストがほとんど合いません。それでもとことんやる意味は技術向上と仕上がりのためです。お客様が誰とかも関係ありません。目の前の毛皮と向き合うだけです。もちろん既成の商品やオーダー品を作るときもそうです。

毛皮には見た目の美しさが十分にありますが、その美しい毛皮に嫌な臭いがあったり硬さがあったりすれば、毛皮本来の美しさは出ません。

作る職人さんは毛の仕上がりには拘るかもしれませんが柔らかさや軽さ、匂いにまでは気を使うことはあまりありません。

でも、その全てが上手くいかないと本来の毛皮の魅力が出ないのです。その意味でも毛皮のクリーニングは、古い毛皮の汚れや匂いを落とすということと同時に新たな商品を作るときにも絶対に必要な技術なのです。

美容室で髪をカットして、その後シャンプーをしてセットをしないことは少ないかと思いますが、それと同じです。新しい原皮だからすべてがパーフェクトとは限らないのです。皮が厚ければ皮を鋤いて薄くもします。匂いや硬さがあればクリーニングもします。

汚れたり匂いのついた毛皮を洗う技術は新しい商品を作る上でも、とても重要な技術なのです。

そしてパショーネがファーブランドとして生き抜くためにも毛皮のクリーニングは絶対に不可欠な技術なのです。

 

最後にやっと今日の大事なテーマ(クリーニングが出来ることの本当の意味)に戻れました💦

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

長澤祐一

毛皮のリフォームで検索するとたくさんのリフォーム専門業者さんがトップページに出てきますね。私のところは以前は4ページ目くらいに出てきましたが、最近はリフォームの投稿もないため、何ページめくっても出てきません。

出てくるのは私が知っている業者さんが一ページ目に何件かでてきて、あとはほとんど知りません。それくらい様々な業者さんがリフォームをテーマにネットでアピールしています。

それはそれでいいんです。ただ残念なのは、ほとんどの業者さんが既成の商品をつくらずにリフォームしかやっていないことです。なんとなく、ただのお直し屋さんオンパレードになっていませんか?正規の商品を作ることをあきらめたその腕に大事なリフォームを託して良いのだろうかと悩みます。もちろん、リフォームは決して簡単な仕事ではありません。

 

今現在行われているリフォームとは一般的には、よく言われる表紙を変えて中身が変わらないというものがほとんどです。でもそれで良いんですか?だって皮も劣化進行中なのですよ。そのまま放置したら、どんどん劣化が進行するのです。もちろん、染色加工のしてあるクロム鞣しが施されているものは劣化しにくいですが、20年以上前の時代のものでコートで染色加工をしてあるものは少なく、ほとんどのものがドレッシングという毛皮を柔らかく仕上げるための鞣しがほとんどで、劣化しやすいものがほとんどです。黒でも鞣し屋さんで酸化染料で加工されたものは、やはり劣化は進みます。

 

それでも、知ってか知らずかは分かりませんがそんなことには、全く関知せずに形だけ変えるリフォームがほとんどなのです。一部には私のこのブログで気が付きリメイク前にクリーニングをと謳っているところもありますが、それでも、通常の業者がやるパウダークリーニングでしかやっていません。通常のパウダークリーニングで使う有機溶剤やオガの量では毛皮の皮から適切に劣化の原因になりやすい脂を抜くことはできません。

さらに自分でやったこともないのにパウダークリーニングが良いと何故言えるのかが解りません。毛皮のクリーニングは結果が目で見て解りにくく、様々な経験をしてやっとこれだと辿り着けるものです。クリーニングをホームページやブログに記載するならば、自身でそこまでやってから書くべきです。

以前からも、このブログで書いていますが、皮の劣化を止めるクリーニングをするタイミングがあるとすれば、リフォームをするこのタイミングしかないのです。

 

その一番大事なタイミングを知識経験がないことを良いことに、自分の都合で見た目のデザインだけを替えて、それをリフォームだと言い張るのは正直、どうなんだろうかと感じます。

本来、毛も、皮の状態も良くなったのであれば店頭の売り場に出してもおかしくないものが出来るはずです。

 

しかし、一般的には、これはリフォームだから、一般の既製品には劣りますという言い訳が、よく聞こえます。

パショーネのリフォーム品のレベルは、絶対ではありませんが、私が目指すものは、常に店頭で販売できるレベルにするということです。出来るかどうかは問題ではなく、そう思って努力や工夫をするところに意味があり、毛皮の状態が良いものは本当に店頭にだせるようなものになることがあります。

 

ただ、表表紙だけを替えてリメイクしましたという、よくある他社のリメイクとは違います。本気で店頭に並べ新品同様に扱ってもらえる仕上がりをリメイク後の状態と考えています。ここで書いてるだけではないですから。本気でそうなるよう、努力しています。良く考えれば当たり前のことです。低い技術で作られたコートをパショーネがクリーニングをしてリメイクするのです。最初より綺麗になるのは私にとっては当たり前のことです。また、かなり危ないことを書いてますが、本気で店頭に置ける品質のものを常に目指します。

例えばバッグやマフラー等の小物を作るときでも、必ずコートをばらしたときにクリーニングをします。古いコートにはダニや匂いが付いているものがほとんどです。小物だからと言って手を抜くことはありません。

 

本当に形だけのリフォームが多いことに残念な気持ちになることが多いのです。

 

最後に記載しますが、パショーネはリフォーム専門業者ではありません。メインの仕事は常に新作も作り、オーダーも受けています。そしてお客様のクリーニングも受けています。そのパショーネがリフォームをするというところに価値と意味があるのです。

 

長澤祐一